福岡県は「飲酒運転の通報」が義務化されている唯一の県であることをご存知でしょうか?
全国初である罰則付きの「飲酒運転撲滅条例」が施行されたのは今から12年前となります。
策定の契機になったのは、海の中道大橋で起きた飲酒運転事故です。
福岡県は、飲酒運転により県民の生命と安全が日々脅かされている事態を
このまま看過することはできないとして条例の策定に動きました。
施行されて10余年「飲酒運転通報の義務」は県民に浸透し、通報件数は年々増えています。
通報を端緒とした検挙数も右肩上がりです。
しかしその一方で、昨今飲酒運転による交通事故も増加を辿っているのです。
今年の1月から10月までですでに82件、前年の同期比で12件も多くなっています。
けれども飲酒運転が増えているのは福岡県に限ったことではありません。
全国的に飲酒運転に対するモラルが緩んでいると思わざるを得ない事件が相次いでいます。
今月から自転車の酒気帯び運転も罰則化となり、連日各所で摘発が続いていますが、
果たしてこの取り締まりがいつまで続くでしょうか?
検挙された人が氷山の一角である以上、福岡県の条例のように
ひとりひとりが飲酒運転に対する厳しさを持ち、モラルを培う下地作りが必要なのではないでしょうか?
またその上で、飲酒運転は取り締まりの強化や各々のモラルだけでは無くすことができない、
という視点も取り入れていかなければなりません。
飲酒運転は常習化や再犯率が高いとされていますが、
それは検挙者の中にはアルコール依存症の問題を抱えている人が多くいるためです。
こうした疾病である場合、啓発や罰則は効力を発揮しません。
このことからも検挙者に対して適切な治療や、更生プログラムといった早期の支援が必須といえます。
また同時に、飲酒運転をする家族を持つ人のサポートや相談窓口の整備も必要不可欠といえるでしょう。
世界の視点からすれば、再犯者へはアルコールインターロックの活用がスタンダードです。
日本での法制化が足踏み状態である中で、アジアでは台湾が2020年にアルコールインターロック法を施行、続いて先月、韓国が同様に常習違反者を対象とした法制化に踏み切りました。
では翻って日本が世界水準の飲酒運転撲滅対策に足並みを揃えるのはいつになるでしょうか。
福岡県が初めて罰則付きとなる「飲酒運転撲滅条例」を策定したように、
現状を打破するための、未来につながる一歩が切望されます。
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