続報です。
8月4日の会議で「アルコール検知器を用いなければならない」と発言した棚橋国家公安委員会委員長が、8月20日の記者会見で、あらためて同様のことを言ったようです。
および
https://www.cao.go.jp/minister/2106_y_tanahashi/kaiken/20210820kaiken.html
より抜粋。
問 交通安全に係る緊急対策のアルコール検知器の活用についてお伺いいたします。8月5日の会見でも言及がありました、「安全運転管理者業務の拡充を図る」という意味ですが、これは具体的に義務化するということでよいのでしょうか。
それと、義務化ということになりますと、裏腹の関係で、警察の飲酒点検についての人材育成や、届出漏れ事業者の把握等の方法を明確にしていかなくてはいけないと思います。この課題についての大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
と記者の質問に対して棚橋委員長は、
答 まず冒頭、八街市で大変痛ましい交通事故が起き、そして、警察においてしっかりと捜査した上で、いわゆる危険運転致死傷罪で検察当局が起訴したものと承知しておりますが、亡くなられたお子様・児童の方の御冥福と御家族への心からのお悔みを申し上げると同時に、おけがをされた子供達が一日も早く回復することをお祈り申し上げるとともに、お見舞い申し上げます。
今、お話がございました件については、飲酒運転の根絶が当然のことながら大切であり、その背景にある使用者対策を強化するため、安全運転管理者が実施する業務の内容の充実を図るという視点で、警察庁において、運転者の運転前後にアルコール検知器を用いて酒気帯びの有無を確認し、記録することを、いわゆる白ナンバーの安全運転管理者が実施しなければいけない業務として、新たに加えることを検討しております。
また、この義務の徹底については、安全運転管理者に対する講習の機会の活用が必要であり、その機会にアルコール検知器の活用法や記録すべき事項等の周知に努めるといったことを警察署や警察本部が連携して取り組むこととなっております。
さらに、業務中の飲酒運転等を検挙した場合には、その背後責任について徹底した捜査を行い、安全運転管理業務の実施状況の確認や使用者に対する指導を行うなど、義務の徹底を図っていきたいと思っております。
そして、肝心の安全運転管理者の未選任事業所の一掃に向けては、関係省庁と連携した上で、選任義務をはじめとした使用者の義務の周知を図っておりますが、警察においては自動車保管場所証明業務との連携による把握にも努めつつ、安全運転管理者の選任状況を都道府県警のウェブサイト上で公開し、選任を促進するなど、確実な選任に向けた環境整備を更に進めてまいりたいと思っております。
何よりも、こういった対策を実現することによって、今般の事故のような飲酒運転による悲惨な交通事故の根絶に向けて、一層強力な取組を進めてまいりたいと思っております。
具体的な改正案をすでにつくりはじめているのでしょうか。だとすると・・。
緑ナンバー&白ナンバー 飲酒規制は同じであるべきか?
このテーマは、避けて通れないと思われます。
おそらくみなさまも思い浮かべるであろう、素朴な疑問が3つ、ありますよね。
1)アルコール検知器の性能要件は?
現在、緑ナンバー事業者は、使用するアルコール検知器はほぼ何でもいいということになっています。性能の定義は、呼気検知であること、結果は「音・光・数字」いずれか、こんなところです。概略は以下当サイト記事をご覧ください。
現在緑ナンバー業界では、アルコールチェックの結果の記録(日時や結果数値)は不要です。
白ナンバー、安全運転管理者制度としては、ここは、どうするんでしょうね・・。
「緑ナンバーも白ナンバーも同じ」になるのでしょうか? それとも、さすがに緑ナンバー業界側はソレをやられてしまうと、立場がないかもしれない・・。
無難な制度設計としては、そもそも、事業用自動車総合プラン2025において、
と3月に宣言済みですから、さすがに、緑ナンバー側は、「検知器の要件追加」、つまり、現行の性能要件の告示改正がある、と考えるのが妥当でしょう。
表現は悪いのかもしれませんが、
・白ナンバーは「おにいちゃん(お姉ちゃん)のおさがりを着る」(ここ10年の実績のある緑ナンバーの義務化スキームを踏襲)
となり、
・緑ナンバーは、「卒業して新しい制服を着る」(アルコール検知器義務化2025新要件時代に入る)
といったところでしょうか。
よもや、妹(弟)が姉(兄)を追い越して、緑ナンバーよりも性能要件が厳しいアルコール検知器を使わなければならない・・(さらには記録を残す等)なんてことになるとは思えません。
しかしながら、緑ナンバーの飲酒規制ではゼロを達成できなかった事実がある以上、同じ内容だと、同じ結果が出るだけなのかもしれません。
いい方を変えましょう。つまり、また死者が出る、ということです。
そこで、本当に根絶を願うなら、昨今の、デジタルガバメント政策や、民間のデジタル化社会を踏まえ、飲酒運転防止のためのアルコール検知器は
「使用していることを証明できる、デジタル記録型アルコール検知器」
が正しいと考えます。
なにせ、いまだに、緑ナンバーで起きたプロドライバーによる飲酒運転事故の営業所で、アルコール検知器が使われていたのかいないのか、国土交通省は調査結果を公表できていないわけですから(飲酒検査の事実のデータをとらなくていい規則だからです。公表したくても、事実認定できないのでしょう)・・。
最低限のテクノロジーすら無視すると、政策評価が、結果的に出来ない制度設計になります。
2)0.00か?0.09か?0.15か?
酒気帯びの定義の話です。
安全運転管理者がアルコール検知器を使用させることになるようですが、目の前の検知器が、「ゼロ」以外の数字が出た場合、どうすべきか、制度として決めなければならないでしょう。
自動車運送業界、航空業界、鉄道業界等、船舶業界、「酒気帯び基準ゆれ」が存在します。
さて、ややこしいのが、この4業種のなかでも、運送業務以外で営業活動や安全活動上、自社車両を保有・使用している場合、「安全運転管理者選任事業所」である可能性があるわけです。
つまり、運輸行政上の飲酒規制と、安全運転管理者制度(道交法)としての飲酒規制が、二重となる可能性があります。
職業運転手と、一般社員の飲酒規制が違うこと自体は、国際的には珍しいことではなく、間違いなわけではありませんが、アルコール検知器の設備投資や設備管理、社内罰則については、運用設計に工夫が必要と思われます。
制度差異の概況です。
3)安全運転管理者選任事業者は、どんな罰則が妥当か?
緑ナンバーでは、飲酒運転事案が発生したとき、事業者が受ける行政処分は決まっています。以下、貨物自動車運送事業者への罰則表です。
https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03punishment/data/transmittal_k110.pdf
さて、白ナンバー事業者、安全運転管理者選任事業所(使用者)としては、例えばアルコール検知器を備えていなかった場合、どんな罰則が妥当でしょうか?
緑ナンバーでいう「アルコール検知器の備え義務違反」(60日車)
使用しなかった場合は? 「不適切な点呼」に該当するのでしょうか・・。
それとも、安全運転管理者個人への罰則? 事業者(使用者)への罰則?
いまごろ、警察庁や法務省や国交省は、このあたりを議論している頃かもしれません。。
ズバリ時期は?
個人的には、
2022年1月パブリックコメント開始
2022年3月パブリックコメント公表
2022年4月 2022年6月1日施行
が、最短ではないかと。
根拠は・・・2022年6月28日があの日であるから。
そうあって欲しい、二度とあのようなことが起きて欲しくないという、社会の総意だと思うから。
無難にいけば、国会審議も必要でしょうし、2023年6月1日なのかもしれませんが・・
・すでに国土交通行政上、運輸業飲酒規制事例が、3部局分も存在していること
・安全運転管理者制度自体に歴史があり、各都道府県組織が整備されていること
・アルコール検知器メーカーが、10社以上存在しており、供給能力があること
・これ以上、悲惨な事故は本当に起きてほしくないと社会が心底思っていること
これらのことから、2022年6月施行が「早すぎる」とは思えないんです。
みなさんは、どう思われますか?
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