アルコール検知器義務化

 

船舶

 

運航管理

 

乗組員は、酒気を帯びて航海当直してはならない

2020.10.17

海上では、クルーズをはじめとする大量旅客輸送、貨物輸送、漁船、レジャーボート等、個人、法人、レジャー、業務を問わず、交通往来は活発です。当然、安全の観点で、船を操舵するひとや、船内で安全に責任を持つ乗組員の飲酒状態は厳しく問われるべきものでありましょう。

2006年9月 海上交通における飲酒対策について

 「船」の世界では、まず、2006年9月に、飲酒の規制強化が行われました。
国土交通省 海事局『海上交通における飲酒対策について』
https://www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/10/100929_.html

1)一般船舶に対する対策
 ・安全マネジメント制度にもとづく海上運送法・内航海運業法の指導強化
 ・船員法における航海当直基準の強化

2)小型船舶に対する対策(いわゆるレジャーボート等)
 ・0.5mg/lから0.15mg/lに
https://www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/10/100929/01.pdf

具体的には、違反や戒告の基準となる酒気帯び数値「0.15mg/l」の明確化(安全管理規定への記載義務)等の措置でした。

2018年末 クルーズ船 酒気帯び事故

 米国グアム島で発生したクルーズ船の岸壁への接触事故。覚えているひともいらっしゃると思います。

 乗組員が、事故発生前に飲酒をし、酒気帯び状態で航海当直を行ったことが明らかとなり、事故の発生と飲酒との因果関係は確認されてはいないものの、多数の旅客を危険にさらし、海上輸送の安全に対する信頼を大きく落とした一件・・・。

 この一件のあと、海運業界・船舶業界で大きな飲酒に関するインシデントはおきていません。ところが、同時期、2018年から2019年、同じ運輸分野でもある航空業界で飲酒の問題が顕在化し、航空法改正をはじめとする一連の飲酒規制が強化されました。

 

2019年、新たな飲酒対策(検討会)

 上記の流れを受け、国土交通省海事局は、海上輸送の安全の確保及び信頼の回復にむけて船舶運航、コーポレート・ガバナンス、陸上分野での飲酒対策、船員保険及び船内労働管理についての有識者からなる検討会を設置し、海運分野における飲酒対策について検討を行いました。

 本検討会においては、有識者からの意見、海運事業者からのヒアリング、また、アルコール検知器メーカーから提供された技術情報等を踏まえ、今後、海運分野において導入すべき新たな飲酒規制についてとりまとめを行い、結果、2019年8月、以下の文書を公表致しました。


報道資料:『海運分野における新たな飲酒対策について』
https://www.mlit.go.jp/common/001301886.pdf
https://www.mlit.go.jp/maritime/content/001304645.pdf

<アルコール検知器の義務化についての概略>
 1.検査を実施するタイミング
  ・乗船前(必須)
  ・当直引き継ぎ時(必須)
  ・当直業務終了後(任意)

 2.不正防止対策
  検査の不正防止の観点から、アルコール検査を行う際には、第三者が現場に立ち会うものとする。

 3.検査の記録
  日時、測定者、立ち会い者及び結果の記録保存(1年間)

 4.アルコール検知器の精度・保守管理
  ・分解能については0.01mg/l単位
  ・アルコール検知器協議会が認定したものを使用すること

 5.飲酒管理に関する教育の充実

2020年4月、海運業界のアルコール検知器使用義務、スタート。

2020年4月、船員法施行規則が改正され、船長は当直乗組員に対し酒気帯びの確認を行う義務があることが明文化されました。



改正前改正後(2020年4月1日~)
第三条の五 次の各号に掲げる船舶以
外の船舶の船長は、航海当直の編成及び航海当直を担当する者がとるべき措置について国土交通大臣が告示で定める基準に従つて、適切に航海当直を実施するための措置をとらなければならない。
一 平水区域を航行区域とする船舶
二 専ら平水区域又は船員法第一条第二項第三号の漁船の範囲を定める政令(昭和三十八年政令第五十四号)別表の海面において従業する漁船
第三条の五 次の各号に掲げる船舶以外の船舶の船長は、航海当直の編成及び航海当直を担当する者がとるべき措置について国土交通大臣が告示で定める基準に従つて、適切に航海当直を実施するための措置をとらなければならない。
一 平水区域を航行区域とする船舶
二 専ら平水区域又は船員法第一条第二項第三号の漁船の範囲を定める政令(昭和三十八年政令第五十四号)別表の海面において従業する漁船
なし2 前項第二号に掲げる船舶以外の船舶の船長は、航海当直をすべき職務を有する者に対し、酒気帯びの有無について確認を行うとともに、当該者が酒気を帯びていることを確認した場合には、当該者に航海当直を実施させてはならない。

  

 


<安全管理規定・アルコール検査実施要領>

○安全管理規定の改訂

○アルコール検査要領(作成例)

○アルコール検査記録簿(モデル様式)