貸切バス

 

軽井沢スキーツアーバス事故

 

15名死亡の軽井沢スキーツアーバス事故から10年。どうしてバスは暴走した? そしてバスは暴走した。そして先月、元運行管理者らは無罪を主張。風化をさせない方法は控訴審で苦しむ遺族の報道だけなのか? 

2025.12.6

2016年1月15日のこと。

15名。2000年代以降の交通事故史上最悪の事故であった。

国土交通 運輸行政による処分は終わっている。

当時、2012年の関越道のツアーバス事故、2014年の北陸道のツアーバス事故が立て続けておきていた。
その矢先。

何よりその死者数の多さに愕然とした。

一方で、徐々に明るみに出てきた イーエスピー社 驚愕の「33件」の行政処分違反。

上記報告書よりも先に、2016年4月、事故から4ヶ月後にNHKがこの事件を報じた。

残念ながらNHKサイトからはフルでアーカイブ映像を見ることはできない。
この放映権を、国土交通省は引き取れないのだろか?

 

バス会社社長 有罪禁錮3年 < 運行管理者 有罪禁固4年

 

2023年6月、地裁の判決が出ている。イースピー社元社長に3年、元運行管理者(統括兼務) 4年。

お気づきだろう、一審は元運行管理者の罪を重く見たということだ。

国土交通省には捜査権がないため、軽井沢スキーツアーバスとは何だったのか、知るにはこちらの方が真実に近いかもしれない。

しかし。

上記を不服とした控訴審が2025年11月に東京高裁で行われた。

その報道がこれだ。

 出典 NHK newsWEB より (いつかリンクが切れるかもしれません)


33件の行政処分違反が認定された現場を統括していた運行管理者、運行管理者を指導するたちばの代表者は、いずれも罪を主張している。

株式会社Cにおいては、輸送の安全の確保に向けて道路運送法等の関係法令及び社内規程で定められた運行管理業務は、殆ど行われておらず、安全管理体制も全く構築されていなかった。そして、被告人Bは、このような株式会社Cの状況を当然認識しており、また、代表取締役である被告人Aも、少なくとも本件一般監査以降は、自社の状況を具体的に認識したと認められるが、同監査以降も改善は全くと言ってよいほどみられず、むしろ点呼については、より一層杜撰な状況になっていたというべきである。このことは、本件事故を受けて関東運輸局が実施した特別監査において、本件一般監査で指摘された項目を含め33項目もの法令違反があったことが判明したこと(甲156)にも強く裏付けられている

 

もちろん点呼記録簿の改ざんも常態化していた。

もしこのときに「自動点呼」が出来ていたら?

いや、33件も違反のある企業には、無駄なツールであろう。

このあと貸切バス業界は、ドラレコ装着と指導の義務化、事業許可更新制、デジタル点呼義務化、デジタコ使用義務化へと規制強化が一気に進んだのであった。

2026年1月15日。もうすぐ10年。でも、刑事裁判も民事裁判も始まったばかり。

風化どころか、現在進行形だ。

もう二度とこのようなことが起きませんように。