「乗合タクシー」のことではありません。
「相乗りタクシー」です。
ややこしいですね。ということで、今回の解禁インパクトをわかりやすく伝えるために、「割り勘」と表現させて頂きました。国交省は、『シェアタク』と名付けています。そう、タクシーシェア の話なのです。
さて、相乗りタクシーは、11月1日から「全国で」、「一律」、一斉に解禁になりました。
若干唐突感はありますが、いきなり決めたというわけではなく、一応国家戦略でありまして、手続きに則って進められてきております。
2018 相乗りタクシー 実証実験
この頃から準備が始まっていました。
報道資料
利用者アンケート
成長戦略実行計画
本件は、国土交通省が決めたわけではなく、成長戦略会議により方向付けされたものです。
地域交通や都市交通よりも大きな概念で、日本における移動交通産業の長期トレンドという大局観をもって、このようなことも次々決まって(変わって)ゆきます。
において、
②タクシーの相乗り導入
過疎化が進む地域において、大型バスの運行に対して補助金を支払うことは非効率であり、交通需要にフィットした移動サービスの最適化が必要である。また、IT化が進展した時代において、アプリを使った乗客のマッチングやリアルタイムの配車依頼に応じた最適なルート選定、キャッシュレスといったサービスの導入を進め、ビジネスモデルのデジタルトランスフォーメーションを図るべきである。
タクシーの相乗りの導入は、利用客にとっては低廉な料金で利用可能であり、同時に、タクシー事業者にとっては生産性向上につながる。限られた交通機関で可能な限り多くの人が低廉に移動することを可能とするため、タクシーの相乗りについて、地域や要件の限定はかけずに一般的に導入を行う。具体的には、道路運送法上の通達等の整備を本年度中に図る。
と2019年に示された経緯があり、そして・・
2020 相乗りタクシー パブリックコメント
粛々とパブリックコメント募集が始まり・・・
パブリックコメント終了:20 の個人及び団体から 34 件
タクシー会社、バス会社、個人、各方面からいろいろ意見が出ました。
そして、2021年11月1日 解禁された次第です。
自動車局長10.29通達 「一般乗用旅客自動車運送事業における相乗り旅客の運送の取扱いについて」
詳細は以下文書とパブリックコメントへの国土交通省の回答をあわせてご確認ください。
1.相乗り旅客の運送の定義について
2.相乗り旅客と乗合旅客の差異について
3.相乗り旅客の運送における運賃の取扱いについて
4.相乗り旅客の運送によるトラブルの防止措置について
5.その他留意事項について
シェアタクは、タクシー需要を喚起するだろうか?
みなさん、すぐアプリをダウンロードして、使ってみて、感じてみませんか?
使わずに論じていても、何もわかりません。
高いと感じるのか、安いと感じるのか? 知らないひとと相乗りするのは、怖い? それとも、雑談でも?
私見ですが、タクシーの敷居をさげる、利用意欲が湧く可能性は大いにあると思います。心理面のハードルはあるかもしれませんが、「慣れ」の問題なのかもしれません。
さて、今回、成長戦略実行計画にある、「交通需要にフィットした移動サービスの最適化が必要である」。この言葉は、あっさりしてますが、重いフレーズと感じました。
残念ながら、国家・行政は言外に、「交通需要はシュリンクするだろう」を前提にしているとしか思えません。ラストワンマイルを誰が担うべきなのかも、端的に示していると思います。その意味で、ラストワンマイルのキープレーヤーとしてタクシー産業への期待、エールなのではないかとも思えます。
筆者は、東京でもタクシーを使いますし、地元静岡でも使います。タクシーは本当に便利だと思いますし、運転者さんと話すのも大好きです。産業としても重要ですし、地域交通の将来を考えると、もっと身近にもっと便利になってほしいと思います。
でも、都市圏も地方も、長期的に、厳しい現実があります。
「交通需要にフィットした移動サービスの最適化が必要」。これは人口減のメガトレンドを指しているわけです。
自家用車と、鉄道と、乗合バスと、相乗りタクシーと、電動キックボードと、自転車が、「コンパクトシティー」内でいくら競争しようが、いくらMaasをつくりあげようが、「これから少なくなってゆく人口なのに、そのひとたちがさらに外に出ない」問題があります。
移動需要、つまり、「家から外へ出て何かをする・移動して体験・体感する需要」をつくらないことには産業の未来は明るくならないのではないかと思います。バスやタクシーが少ない需要を奪い合っても共倒れになるだけです。
交通事業者は、互いに需要を喚起する同士・同志・有志となる必要があるのではないでしょうか。
敵は・・ネットフ○○○スとか、すごもりゲーム。
路上にいる客を奪い合うのではなく、時間消費を奪い合っているというこの現実・・・。
これらに勝てる「コト」を企画するのは、誰の役割でしょうか?
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