第3期アルコール健康障害対策推進基本計画、飲酒運転問題に関して15の具体的施策を盛り込むも、アルコールインターロック「普及促進」は、国土交通省にボールを投げて終わり。国交省はもう十分やっているのに。
2026.2.28
11月の関係者会議の件を、以下のように伝えた。
その後、12月22日に第37回関係者会議が開催された。
この場では
2点の資料が提示され、いよいよパブリックコメントの準備が調った。
2月2~2月16日 2週間のパブリックコメント
ずいぶん、短いな。
アルコール関連問題としての、飲酒運転問題に切り込んだ、16の施策
今回の5年計画の冒頭「はじめに」では、飲酒運転を明確にこのように位置づけている。
アルコール健康障害は、本人の健康の問題のみならず、家族への深刻な影響や重大な社会問題として、ヤングケアラーの問題や配偶者暴力、飲酒運転や不慮の事故死等を生じさせ得る。世界保健機関(以下「WHO」という。)の「疾病及び関連保健問題の国際統計分類」第 11 回改訂分類(ICD-11)でも、「アルコールの有害な使用」の特徴の一つとして、他者の健康に対する害となる行動が存在することが記載されている。
そう、「本人の健康の問題のみならず」、言い換えれば、「オレのカネで飲むのがなぜ悪い、不健康で何が悪い、オレの飲み方に立ち入るな」ではなく、明確に
「他者の健康に対する害」
「家族(の精神と憎体)に有害」
な、ことをしていると言っているのである。
今回の推進基本計画の基本認識、大前提は、こうだ。
アルコール健康障害が、飲酒運転、暴力、虐待、自殺等の問題に密接に関連することに鑑み
飲酒運転に関する施策は、以下15が掲げられたので抜粋する。
| 1 | 評価・検証のための関連指標>③ 飲酒運転による交通事故件数 |
| 2 | 飲酒開始年齢に近い世代の運転免許取得者に対し、自動車教習所で実施している飲酒運転防止に係るカリキュラムの確実な履行を徹底する【警察庁】 |
| 3 | アルコール健康障害に関連して生ずる飲酒運転、暴力、虐待、自殺等の防止に資するため、地方公共団体、関係団体、事業者等と連携し、社会全体で、飲酒が身体運動機能や認知機能に及ぼす影響や、飲酒の結果、理性の働きが抑えられること等の正しい知識の普及に取り組む。【厚生労働省】 |
| 4 | 飲酒運転等をした者やその家族について、精神保健福祉センターや保健所等を中心とした地域の関係機関の連携により、適切な支援につなぐ体制を構築することを目標として、以下の施策を実施する。 |
| 5 | 飲酒運転をした者について、アルコール依存症等が疑われる場合には、地域の実情に応じ、精神保健福祉センター・保健所等を中心として地域の関係機関が連携し、当該飲酒運転をした者を、アルコール関連問題の相談や自助グループ等の行う断酒に向けた支援、専門医療機関等における治療につなぐための取組を推進する。また、飲酒運転をした者の家族についても、その求めに応じ同様の取組を推進する【警察庁、厚生労働省】 |
| 6 | 飲酒運転をした者に対する取消処分者講習において、地域の相談・治療機関リストの提供や、自助グループの活用等により、アルコール依存症のおそれのある者が医療機関等における治療や相談を受けにいくきっかけとなるよう取組を行う。また、アルコール依存症が疑われる者の割合や、飲酒運転が生じた背景等の調査結果を踏まえるなどし、受講者自身の気付きのきっかけとなるように講習の内容等の見直しを進める【警察庁、厚生労働省】 |
| 7 | 飲酒運転による受刑者や保護観察対象者等に対しては、刑事施設や保護観察所における指導等を行う際に、社会内での相談機関の紹介や自助グループ等の支援活動、医療機関等の専門治療につなげる取組を引き続き推進するほか、刑事施設において飲酒運転による受刑者に対するアルコール依存回復プログラムの実施施設を拡大したことを踏まえ、刑事施設や保護観察所における指導の充実について検討する。【法務省】 |
| 8 | 飲酒運転をした者について、年齢層等の分析を行い、その結果を積極的に広報する。【警察庁】 |
| 9 | 飲酒運転の根絶に向け、交通安全教育等の機会や都道府県警察のウェブサイトにおいて、アルコール依存症のスクリーニングテスト等について、積極的に広報を行うことで、アルコール依存症のおそれのある者やその家族の気付きのきっかけとなるような取組を進める。【警察庁】 |
| 10 | 地域における飲酒運転防止条例の制定状況などを含めた最新の取組事例を収集・周知する【厚生労働省】 |
| 11 | 飲酒運転をした者について、その頻度や動機、アルコール使用障害が疑われる者の割合、医療機関の受診経験等の実態を把握するための調査を実施する。【厚生労働省】 |
| 12 | 飲酒運転をした者について、年齢層等の分析を行い、その結果を積極的に広報する。【警察庁】 |
| 13 | 飲酒運転をした者について、その頻度や動機、アルコール使用障害が疑われる者の割合、医療機関の受診経験等の実態を把握するための調査を実施する。【厚生労働省】 |
| 14 | 運輸事業における乗務員等の酒気帯び乗務の防止のため、飲酒禁止基準による規制・指導等を適確に実施するとともに、講習・セミナー・マニュアル等を通じ、アルコールに関する基礎知識やアルコール依存症に関する理解等について周知・指導を行う。また、乗務前のアルコール検知器の使用と目視等での酒気帯びの有無の確認等について、更なる徹底を図るとともに、各交通機関の特性に応じて、事業者への情報提供等により、アルコール・インターロック装置の普及促進を図る。【国土交通省】 |
| 15 | ○ 職域での不適切な飲酒をなくすため、事業者に対し、望ましい対応(アルコールチェックに反応するなど飲酒傾向が強い者に対するアルコール教育、減酒のサポート、受診の勧奨等)を周知するなど、産業保健部門と安全管理部門の双方向の連携を図る。特に、アルコールチェックが義務付けられている事業者は、その適切な実施に加え、乗務員に対してアルコール依存症のリスクを正しく周知するとともに、必要に応じて医療機関への受診の促進に努める。【厚生労働省、関係省庁】 |
本誌読者のうち、身近に感じられる部分は以下であろう。いわゆる、「緑ナンバー(旅客・貨物自動車運送事業者」「白ナンバー(運輸業以外の一般企業の安全運転管理者選任事業所)」にかかわるところ。
| 職域における対応の促進 | 職場教育の推進 |
| 【厚生労働省、関係省庁】 | 【国土交通省】 |
| 職域での不適切な飲酒をなくすため、事業者に対し、望ましい対応(アルコールチェックに反応するなど飲酒傾向が強い者に対するアルコール教育、減酒のサポート、受診の勧奨等)を周知するなど、産業保健部門と安全管理部門の双方向の連携を図る。特、アルコールチェックが義務付けられている事業者は、その適切な実施に加え、乗務員に対してアルコール依存症のリスクを正しく周知するとともに、必要に応じて医療機関への受診の促進に努める。 | 運輸事業における乗務員等の酒気帯び乗務の防止のため、飲酒禁止基準による規制・指導等を適確に実施するとともに、講習・セミナー・マニュアル等を通じ、アルコールに関する基礎知識やアルコール依存症に関する理解等について周知・指導を行う。また、乗務前のアルコール検知器の使用と目視等での酒気帯びの有無の確認等について、更なる徹底を図るとともに、各交通機関の特性に応じて、事業者への情報提供等により、アルコール・インターロック装置の普及促進を図る。 |
特に、白ナンバーのお客様、安全運転管理者の皆様におかれては、
”アルコールチェックに反応するなど飲酒傾向が強い者に対するアルコール教育、減酒のサポート、受診の勧奨等”
現在、このようなことやられてますか? 今後、国の方針はこうなった次第。企業サイドは、積極的なアルコール教育や減酒サポートが期待されることに。
基本計画に「アルコールインターロック」が入ったことを歴史的とみるか、「アルコールインターロック=運輸の現場」という典型的な短絡的思考に陥ったと見るか?
今回、アルコール健康障害対策基本法が出来て以降初めて、推進基本計画に”アルコール・インターロック”が入った。客観的に言えば、ある意味歴史的なことなのだろう。

第1期 アルコール健康障害対策推進基本計画
第2期アルコール健康障害対策推進基本計画
第3期アルコール健康障害対策推進基本計画(今回パブコメ案)
が、しかし、アルコールインターロックの専門家から言わせれば、相当事実を誤認した議論が関係者会議で行われた結果であり、残念に思う。数々のご遺族に、「朗報です」と無邪気に伝えられる内容ではない。
なぜなら、国土交通省や業界団体におかれては、すでにアルコールインターロックの助成制度を十二分に行ってきていおり、普及啓発も相当やってきている事実がある。その事実を、後追いでこれから行う新たな施策であるかのように考えることはできない(事実、業界の人なら、アルコールインターロックの補助制度が昔からあることをご存じであろう)
以下、記事をあらためて提示したい。
違う。違う。そうこじゃない。そこじゃない。
第四期アルコール健康障害対策推進基本計画は、5年後か。
この間、年間2万人の検挙者は、上記15の施策にアルコールインターロックが入らなかったことで、ほっとしていることだろう。表面的な教育や、表面的なスクリーニングで「はいはい」言っていればいいのだから。
運輸事業者による被害者と、そうでない職業や、「アルコール健康障害に関連しての飲酒運転者」がどこにいるのか、警察庁や厚生労働省は、本当にわかっていないのだろうか?
EBPMとは名ばかり、と今回ほど思ったことはない。曲解ではないか?




