Fact sheet of 航空業の飲酒インシデント。令和6年上期、10インシデント。検査記録不備がぐっと減ったが、今年に入って不適切事案が多く、もはやその申告は信じられない。
2025.7.26
国土交通省航空局では半期ごとに航空輸送の安全に関する分析レポートを公表しています。
去る2025年6月27日、最新情報(R6年度 2024年4月~2024年9月上期版)が公表されました。
2019年以降、航空の飲酒基準(飲酒のルール、検知器使用の義務等)が出来たことにより、お酒に関するインシデント報告も義務化され、結果、具体的な課題や改善方向性が見えやすくなっています。
アルコール事案は「安全上のトラブル」のうち『その他の安全上の支障を及ぼす事態』のひとつです。
(3) 安全上のトラブル
① 航行中に発生した航空機の構造の損傷(航空法施行規則第221 条の2 第3 号イ)
(例) 到着後の機体点検にてテール・スキッドに接触痕を発見
② 航行中に発生したシステムの不具合(航空法施行規則第221 条の2 第3 号ロ)
(例) エンジントラブル、通信・電気系統のトラブル
③ 航行中に発生した非常用機器等の不具合(航空法施行規則第221 条の2 第3 号ハ)
(例) 火災・煙の検知器の故障
④ 運用限界の超過又は経路・高度からの逸脱(航空法施行規則第221 条の2 第3 号ニ)
(例) 決められた限界速度の超過
⑤ 緊急操作等を要した事態(航空法施行規則第221 条の2 第3 号ホ)
(例) 航空機衝突防止装置等の指示に基づく操作
⑥ その他の安全上の支障を及ぼす事態(航空法施行規則第221 条の2 第4 号)
(例) 無申告危険物の誤輸送、運用許容基準の不適切な適用、アルコールに係る不適切事案
。
「アルコール事案」
飲酒関連は以下のような総括表として報告されています。「アルコール事案」という部分に注目ください。

R6年上期で10件が報告されていました。
ここではパイロットなのか、客室乗務員なのか、整備士なのか、運航管理者なのか・・「アルコール事案」を引き起こした当事者ごとの件数が掲載されています。(アルコール検査に引っかかった件数ではなく、検査漏れや記録漏れなど、関連問題の総数です。誤解なきよう・・)
航空アルコール事案、ケース分析すると・・
上記報告書の別冊として、「航空法第111条の4に基づく報告一覧」というものがあります。いろいろな安全上のトラブルが報告されている中に、アルコール事案も報告されています。社名もあります。
Fact sheet of 航空分野の飲酒インシデント
別冊のインシデント一覧から、5年と6ヶ月分のアルコール事案をまとめてみました。全部で219件。
アルコール事案全体の数です。規制は成果をあげていると言えます。
R5年度はアルコール検出事案はゼロでしたが、R6年は上期で一件。2年連続ゼロは達成できないことがわかりました。
別冊文書からは「誰が」という当事者・主語の省略が多く「不明」としています。
報告書式、分析表現を定型にしたほうがよいと思う。
今回記録不備がぐっと減りました。こんなに急に減るかなあ?
今年に入って起きてる不祥事を見ると、イマイチ信じがたいなあ。
アルコール乗務の過去の記録や、R6年に入っての記録不備の減り方、などなど・・については詳細は別紙エクセルファイルを参照ください。
みなさん、如何でしたでしょうか? 航空業界の飲酒事案。
それにしても例のパブリックコメント・・。上記R6年レポートには含まれない飲酒事案が、今年に入ってからも続々と出てていますが・・・。実に異例なことだと思います。政策担当者も航空業界も、関係者はよく平気でいられますね。法的な手続きから逸脱していますからね。自ら発出したパブコメの。
全219件
過去209件と今回10件を加えた、
一部、独断と推測で類型化したデータもあります。参考にとどめておいて下さい。
(当社(東海電子)のお客様事案もあります・・が、公表情報なので、申し訳ございません、そのまま会社名を消さずにしておきます)
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