2020年10月11日、8ヶ月前のこと。
覚えている方はいますか? 7人の死傷者が出た、千葉県成田市の飲酒運転の事故のことを。
昨年10月11日、千葉県成田市で、飲酒運転者(車)が対向車線にはみ出し、ワゴン車に衝突し、車外へ投げ出された母親は、その後病院で死亡が確認されました。同乗のこどもたちは怪我で済んだようです。
よく読んでみて下さい。
当時報道されたのは、下段、成田警察署の件。
・交通死亡事故の発生(成田警察署)
10月11日午後4時53分頃、成田市青山の道路で、男性運転の普通乗用車が対向車線を走行中の普通乗用車と衝突し、同車に乗車していた女性が搬送先の病院で死亡し、他の同乗者男性1人、同乗の子供4人が負傷
偶然であろうか? 必然であろうか?
この10月11日、「千葉県成田市」とは別の場所で、約45分後、「千葉県八街市」で、八街市の路上で飲酒運転事故が起きています(この日時点では死亡事故ではないようですが、予後は不明)。
・危険運転致傷事件で男を逮捕(佐倉警察署)
10月10日午後5時36分頃、八街市八街の道路で、アルコールの影響で正常な運転が困難な状態で普通乗用車を運転し、交差点を右折した際、路外に逸脱して、後続から進行してきた女性(44)が運転する軽乗用車に衝突しけがを負わせ、その反動で自車をブロック塀や看板に衝突させ、さらに対向から進行してきた女性(50)が運転する普通乗用車に衝突しけがを負わせた自称会社員の男(61)を逮捕
6月28日、偶然であろうか、必然であろうか?
10月11日直後、「アルコールインターロック装置というものがあるらしい。そろそろ県、国で、本気で考えなければ」と考えた方は多かったと記憶しています。実際、そのような動きが千葉県でも見られました。
そして6月28日。
インターネット上の情報、テレビ、新聞等、不要な、不正確な報道が多いと感じています。
現在私が「事実」として認識し、感じていること。
千葉県 成田市の死傷事故が、その後、どういう内容であったのか、どういうことになったのか、続報、調査報道もなく、誰も、覚えておらず、飲酒運転がその後も毎日起き続けているにもかかわらず、今日に至ってしまった、ということ。
あのとき、また千葉県で起きるんじゃないか、と。
なぜなら千葉県が・・
千葉県は、全国ワースト3,関東でワースト1
一般社団法人 日本損害保険協会 2019年 都道府県別飲酒運転事故の状況
- 原付以上(第1当事者)による事故件数-
偶然であろうか? 必然であろうか?
7月1日、昨日です。
・酒酔い運転で男を逮捕(四街道警察署)
7月1日午前零時34分頃、四街道市大日の道路で、酒に酔った状態で軽乗用車を運転した自称会社員の男(45)を同日逮捕
6月30日、おとといです。
・酒気帯び運転で男を逮捕(千葉北警察署)
6月30日午前9時頃、千葉市花見川区大日町の道路で、酒気を帯びた状態で準中型貨物車を運転した自称会社員の男(64)を同日逮捕
6月26日、事件の2日前です。
・無免許・酒気帯び運転で男を逮捕(佐倉警察署)
6月26日午後8時42分頃、八街市八街にの道路で、無免許かつ酒気を帯びた状態で普通乗用車を運転した自称無職の男(64)を同日逮捕
6月25日、事件の3日前です。
・酒酔い運転で男を逮捕(千葉中央警察署)
6月25日午後11時38分頃、千葉市中央区仁戸名町の道路で、酒に酔った状態で普通乗用車を運転した自称無職の男(83)を6月26日逮捕
このような事故の積み重ねが、164件ということです。
当然、千葉県だけではないのです。
飲酒運転者は、事実として、身近に、日常的に、たくさんいるということなのです。
あなたの職業は?
飲酒運転で捕まると、職業が聞かれます(実質、会社名も聞かれているはずです)。
上記をみると「自称」となっていますが、、
統計上、建設業が、最も多いという結果となっています。
交通事故 統計資料集 交 通 総 務 課 千 葉 県 警 察 本 部 令和元(平成31)年
https://www.police.pref.chiba.jp/content/common/000004583.pdf
より本誌が作成
私見
以下は、私見です。
私は20年、企業向けのアルコール検知器を開発・販売する企業に属していますが、わかってきたのは、だいたい周囲のひとは、気づいていることが多いということです。
でも、指摘する勇気がなかったり、人間関係が希薄だと、「見過ごし」「見逃し」があり得ます。ほんのちょっとの、勇気なのかもしれません。
私は、アルコール検知器を企業が備えることが、労働安全衛生法上、安全運転管理者制度としても、正しいあり方だと確信しています。
緑ナンバー、白ナンバーに限らず、アルコール検知器は「一社に一台」あるだけで、社員に毎日義務づけるだけで、お酒に甘い従業員、自己管理能力が低い社員、あるいは、もう自分ではどうしようもなくなっているひとを、見つける機会を提供できます。
取り締まりじゃないんです。
企業が見つけることができるんです。1年使っていれば・・。
社会的コスト、互助(自分が、家族が被害に遭わない、加害者にならない)と捉えられる民間企業経営者が増えることを切に願います。
未来の死者を生まない行動を起こせるひとは限られています。
国は、何かやるでしょうが、時間がかかります。
こういう政治、行政が、繰り返されています。
おそらく、千葉県は、飲酒運転防止条例をつくるでしょう。
そして今度こそ、「飲酒運転者(年間100~150人前後)に、アルコールインターロックを県知事命令で装着させ、かつ、アルコール教育を強制実施させる」という日本初の、「教育とテクノロジー、ハイブリッド型飲酒運転防止条例」となることを、強く期待しています。
こどもも、大人も、路上にいる誰もが、被害者予備軍であり、道路交通法改正まで、待てないんです。
その間、増えるのは、「被害者人口」「加害者人口」です。
飲酒運転は減っている(統計)→そのうち無くなる(思考停止)
残されたひとは、生き続けなければならない。飲酒運転による死者の数は、それ以上の、悲しみを抱えたまま生き続けなければならない遺族人数なのです。
被害者は減っている、ではなく、悲しみを抱えて残されたひとは増えてゆく、という事実があります。
飲酒運転対策にもっとも不要なのは、「評論家」です。
企業として、個人として、自分自身が行動を起こすか(注意する、見逃さない、対処する、体制を整備する)どうか、がすべて。
運輸安全JOURNAL
編集長 杉本哲也
2021.07.02
本記事は、千葉県の方、建設業の方を故意に貶めたり偏見を助長させる意図はございません。データに基づき、他県の方にも注意喚起を促すことを意図しています。ご了承ください。