パブリックコメント

 

航空飲酒検査

 

航空従事者のアルコール検査、いっそのこと自信があるのなら、「とにかく従事者全員義務化」をやめて、抜き打ちオンリーにしてしちゃえば? 12月提示されたルール改正案、半年以上もウヤムヤな異例事態はなぜ起きている?

2025.7.27

これはワタシの推測ですがおそらく、US DOTやICAO加盟国にヒアリングし、気づいたのかもしれません。

運航前後のアルコール検査を全操縦士・全客室乗務員・全整備士に義務づけしている国などないと。

統計上も「乗務中の飲酒事案は過去5年なかった」し、乗務前の酒気帯び検知件数もほぼゼロになってきたし。

今年に入ってから起きている不適切事案も、「義務化の内容が厳しすぎるからだ」くらいの業界関係者の言い分があったのかもしれません。

この記事でもとりあげましたが、2019年に「ロンドンJAL事案をもう二度と起こさない」という誓いのもとに義務化されてから、約5年で改正を行うためのパブリックコメントでした。

(4) 航空機乗組員等のアルコール検査実施要領(平成 31 年1月 31 日国空航第 2282 号)の一部改正

○ 事業者における飲酒防止対策が有効に機能している場合は、業務中における乗務員間の常時相互確認を徹底することにより、一律の乗務後検査を行わなくてよいこととするが、酒気帯び等が疑われた場合には、機上においてアルコール検知器による検査の実施も含めた確認を行うこと等を求める。飲酒防止対策が有効に機能していないと認められた場合は、その状況に応じ、乗務後のアルコール検知器による検査の実施(抜き打ちによる実施を含む。)を含めた改善措置の提出・実施を求める。


○ 飛行間のアルコール検査について、飛行間の時間の長さに関わらず、事業者の管理下にあり飲酒の可能性が極めて低い場合には不要とする。

 

 

簡単にいうと、「あの義務化内容、厳しすぎたんじゃないのか」ってやつです。

確かに、個人的にはそう思います。現実的なルールに改訂しよう、と。

私も何度か「航空従事者の乗務前後のアルコール検査」の現場風景を見たことがあります。

相当な負荷が掛かっているのは確かです。業界内では衆知のことなので言ってしまいますが、各社、「予備検査」「本番検査」を使い分けています。

その意味で、行政が考えている以上に、航空事業者のアルコール検査負担は大きいのは事実だと思います。

バス・タクシーやトラックと違うのは、「検知事案」の国交省への報告義務があることです。

例えば、トラック事業所のとある朝4時の出庫点呼で、ドライバーが酒気帯び検知されたとします(当然運転者交替ケース)。でも、このとある一件を運輸支局に毎回報告などしていません。監査が入ったときに事実確認はされることはありますが、速報的な都度報告ではありません。

この意味では、同じ「業務前後のアルコール検査義務関連規則」といっても、報告義務に関しては、道路運送法と航空法では違うのです。

こういうスケジュールのハズでした。

 

異例のパブコメ結果公表延期の件、やっと結果公表された! が・・・。

さて、通常であればパブリックコメントが発出されれば、よほどの事が無い限り、たとえ各方面から意見がたくさん出されたとしても、中止や延期になることは見たことがありません。

でも、今回、それが起きています。よほど、パブコメに寄せられた意見が辛辣で、改正施行を踏切るのに躊躇しているとか・・?

5月の結果公表で、航空局におかれましては、このような対応をすることにしたようです。

 

意見一覧はこうです。

ん? アルコール検査規則の改正について、寄せられ意見が皆無?

あの改正内容で、そんなことありますかね?

おっと、よく見ると・・

※「航空機乗組員の健康管理に関する基準」等の一部改正(案)のうち、アルコールに関する教育訓練及び健康管理の充実並びにアルコール検査関係の改正事項としていた「安全管理システムの構築に係る一般指針の一部改正」、「航空機乗組員の健康管理に関する基準の一部改正」、「運航規程審査要領細則の一部改正」及び「航空機乗組員等のアルコール検査実施要領の一部改正」の意見公募の結果につきましては、今後、当該通達の公布に併せて公表する予定です。

 

なんで、5月26日のこのパブリックコメント結果で一体的に公表されなかったんだろう・・?

 

もしかして、消費者等から寄せられた意見があまりにも厳しくて、航空業界と改正内容を調整しているから?

それとも、もしかして、

この航空安全情報の、定期発表を待ったのだろうか? 

もし仮に改正案どおりに強行したとして、その直後にこの統計結果が「大幅増加」とかになってると、12月のときのように、航空行政側の「メンツ」が潰されちゃうから?

 

確かに、12月以後も起きてます。不都合な事案がの

 

 

特別ではない、アルコール検出事案

パイロットなんだから、数百人のいのちを預かってるんだからしっかりしてください、と言いたいわけではないです。

本当に、アルコールの問題って職業なんて関係ないんだなと思う。

警察官も、政治家も、教師も、ドライバーも、パイロットも、一般企業も、アルコール検知器メーカーも関係ない。

世の中には職業や職位にかかわらず、アルコールの知識がなく、普通に大量飲酒し、治療もしない状態のアルコール依存症であるにも関わらず「ただの酒好き」としか思ってない方が多い。

実は先日当社(東海電子)でも、とある工場従業者が出勤時にアルコール検知されるという事案がありました。

実質、酒気を帯びてのマイカー通勤、つまり飲酒運転です。なお、これが初めてのケースではありません。

自分たちだけが清廉潔白、飲酒問題から無縁とはまったく思っていません。むしろ、これだけ飲酒運転に関わっていても、身内でも起きうる。

職業、業種、役職、立場、性別、一切関係ない。

検知器よりも知識や教育のほうがずっと重要だと思う反面、本当にアルコールという物質は、美味しくて合法で、入手しやすく、厄介な毒物だなと思う。

先々週のこと。

アルコールインターロックを装着されたアルコール依存症の方に、校正がてら会いに行った。

再入院されてました。治療がうまくいってないらしい。

アルコール依存症の治療の成功率は低く、3割程度と言われている。

本当に厄介だ。