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(写真はイメージです)
(5) 準中型トラックの酒気帯び事故
【メールマガジン「事業用自動車安全通信」第799号(R7.2.21) 】より
2月20日(木)午後0時27分頃、神奈川県横浜市の県道において、同県に営業所を置く準中型トラックが信号待ちをしていたところ、ブレーキペダルから足を話してしまい車両が後退し、後続の車両に衝突した。
この事故による負傷者はいないが、準中型トラックの運転者が酒気帯び運転により逮捕された。
さて、今回の事案、どういうドライバーなのでしょうか・・。
会社として
「やっぱりあのひとか・・」
なのか
「まさかあのひとが!?」
なのか・・・
国土交通省、トラック協会がいま積極的に推奨している「アルコールスクリーニングテスト(通称AUDIT)のデータは社内に残されているでしょうか?
この日が「はじめての飲酒運転」とは思えない・・・。
本人に聞きたい。
いままで何度、そういう飲酒(運行前後、運行中、休憩中)をしていたのですか? 月に何回飲酒運転してきたのですか? と。
今回は点呼後の飲酒なのですか?
あなたの飲酒習慣(auditの点数等)は?
あなたの健康診断結果は?
おそらく来年、「事業用自動車総合安全プラン2025」検討会は、プラン2030をつくることになると思います。ぜひとも、事案全件しっかり分析してほしいです。
というか、国交省や検討会は、ほんとは分かってますよね? 実態。
ところで、プラン2025
国土交通省は、3年前、2021年3月にプラン2025で飲酒運転防止の施策実施を宣言。
一部実施されているが・・・。
確認してみよう。
・「点呼の正しいタイミングの周知」 → どんな施策?
・「アルコール検知器の要件追加」→貸切バスの2024年4月1日からのアレ?
・点呼時のアルコールチェックの強化→貸切バスの2024年4月1日からのアレ?
貸切バスの酒気帯び事案はトラックと比べて圧倒的に少ないにもかかわらず、アルコールチェック規制を単独で強化した。統計的にはダントツでトラックドライバーによる飲酒運転が一番多いにもかかわらず、である。
貸切バス事業者のほうが厳しい飲酒検査体制を問われかつ行政処分の加点対象も増設されている。
これはいかなる制度設計であろうか?
なぜ、貸切バスで施行した要件追加をトラックに適用しないのだろうか?
今回、死者が出ました。
このドライバーは乗務後点呼をどう乗り切るつもりだったのか?
まさか、点呼執行者不在?
繰り返します。
プラン2025のフォローアップ会議においては、貸切バスは統計上の飲酒運転ゼロを達成している業種とされている。
トラック業の飲酒運転対策として、貸切バスの飲酒検査規則改正とは違う施策が用意されていると期待したい。
プラン2025の検討会は、群馬県伊勢崎のトラック飲酒死亡事故を、どう総括するというのか?
ところで、令和7年施策 飲酒運転根絶施策、ナシ? 群馬県のことが5月に発覚していれば・・
さて、今年の8月に令和7年の国土交通省概算要求が出ています。
令和6年予算では
令和6年度 自動車局予算(概算要求) P17 より
このような施策があった。これは、実施されているのか?? 効果的なのか?
私見だが、トラックにおける飲酒運転ゼロを達成するには、アルコール検知器施策は以下とすべきと考える。
例:「事実」に基づく調査のために記録型アルコール検知器を使用する義務
例:点呼実施「事実」をより明らかにするために、「時刻」が電子的に残るアルコール検知器
例:世界の飲酒検査手法のトレンドにあわせ、「呼気吹き込み式」のみを事業法下における呼気サンプリング手法とする(実際、すでに鉄道局や航空局では 吹きかけ式ではなく呼気吹き込み式を規則としている事実がある)。
例:「事実」に基づく調査のために、点呼した「事実」が『後付けで改ざんしにくい点呼記録簿』として残る、つまり「電子点呼データ保存の義務」とする。(要するに、実績のある貸切バスの飲酒規制と同じにするだけの話)
さて、プラン2025の終わりの年が見えてきている。プラン2030を策定するまであと1年ほどだろうか。
本誌は、プロドライバー・プロ事業者の飲酒運転ゼロのための実効性ある施策例として以下が必要と考える。
- アルコール検知器の性能要件を、「デジタル記録」必須とする。(国交省はDX掲げてますよね)
- 記録型のアルコール検知器の結果を定期的に運輸支局か県トラック協会局へ提出することを義務づける(けっこう効くと思う)
- クラウドアルコールチェックの仕組みで、運行ごとに、運輸支局または県トラック協会へリアルタイムでデータ送付することを義務づける(いちいち現場にいかなくても、運輸局で一目瞭然)。
- 飲酒事案があった場合、再発防止として、「アルコールインターロック装着」を行政指導(罰則)で義務づける。当然罰則なのでこの場合のアルコールインターロック助成金利用は認めない。
- 点呼実施の証拠(データ)が残る「点呼機器の設置」を義務づけ、点呼データの提出を3年間義務づける(点呼データに関して2024年4月から貸切バス業のみで実現)
- 指導や教育の問題であれば、「飲酒教育の実施と記録保存」を義務づける(航空局では義務とされている)
- 入社時および健康診断時に、アルコールスクリーニングテスト(Audit)実施を義務づけ、かつ記録保存の義務を課す
- 運転者台帳にAUDITの欄を増設し、AUDITの点数が記載されていない運転者台帳は「不備」の行政処分を加点する
アルコールスクリーニングテストと事故報告書規則
昨年2024年10月に事故報告規則の改正が行われた際、酒気帯び事案についてはいわゆるアルコールスクリーニングテスト、いわゆるAUDIT実施有無についての報告が義務化されておりました。
(本誌はこの改正を見落としておりました。自動車局のみなさま、失礼致しました)。
これが、事故報告書規則に従い作成する書式の最新版です。
ココです
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これに加えて、もうすこし欲しいですね。
酒気帯び事案の分析のためには、以下のデータ取得と蓄積が最低限ではないでしょうか。
- 当該ドライバーの飲酒教育(指導監督)の実施(受講)有無
- 当該ドライバーの飲酒傾向(アルコールスクリーニングテストの点数)
- 当該ドライバーの検出数値(高濃度なのか、低濃度なのか)
- 当該ドライバーの過去のアルコール検知器での検出事案
- 当該運行の、点呼実施有無
併せてこちらの記事もご覧ください。
商用車の運転免許行政を、警察庁管轄から運輸省管轄に移管したらどうでしょうか?
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