恨み節が色濃い議事録、のんびりトーンのリ・デザイン実現会議とりまとめ。これを横目にUber CEOは淡々と「リーダーポジションを取りに行く」とあらためて参入を表明。
2024.6.10
去る5月31日。
川邊委員より
現時点で結論を得る期限を設けてないとされていますけれども、それでは問題の先送りになりがちですし、今日、全体会議の議論を待たずして、そのような総理指示を出されるプロセスにもですね、委員各位としては疑問に思う点があり、非常に残念に感じてはおります。
堀委員より。
本日の新聞報道では、「ライドシェア全面解禁に影」という表題も出ており、心を痛めましたが、実際にはそうではない、決してそうではなく、議論は並行していただけるとのことでした。先延ばしではないというふうに理解しております。
本件は、国民の関心も高く、連日報道されている上、パブリックコメントでは7,700件を超える意見も集まったとお伺いしております。3号が開始しましたが、タクシー運行数に比べて、先ほど川邊委員からもありましたが、パーセンテージ、実際に開始された都市部でも、タクシーの運行回数に対してライドシェア運行回数は1%というような数でございます。地方の多くの自治体ではまだまだ2号も3号も手上げされておらず、この利用者の移動の足はまだまだ確保が難しいのかと思っています。暫定的な2号3号だけではなく、全面解禁に向けた議論を早期に進めていただき、この規制改革の中で議論していくことが国民の体験に変わっていくというようなことを、是非実現していきたいというふうに思っております。議論の取りまとめにはスピードが必要であり、できましたら、議論、次の年末までの議論のとりまとめをお願いしたい、というふうに思っております。
去る5月17日
https://www.mlit.go.jp/report/press/sogo12_hh_000366.html
このような報道がありました。
自家用車活用事業のモニター真っ最中ではありますが、もっと広く地域公共交通をとらえるとこういう見え方だ、ということです。
この中で自家用車活用事業に触れているのは、P12 ここだけです。
② 地域の自家用車・ドライバーを活用した新制度の活用深刻化するタクシーのドライバー不足等に対応し、タクシー事業者が運送主体となって、地域の自家用車・ドライバーを活用し、タクシーが不足する分の運送サービスを供給するため、タクシーが不足する地域・時期・時間帯におけるタクシー不足状態を、道路運送法第 78 条第3号の「公共の福祉のためやむを得ない場合」であるとして、タクシー事業者の管理の下で地域の自家用車や一般ドライバーによって有償で運送サービスを提供することを可能とする制度(自家用車活用事業)が創設されたところである。地域の移動手段を確保する観点から、地域の実情に応じて、タクシー事業者と連携し、当該制度を柔軟に活用していくことが必要である。
同じ「移動」を対象とした議論でありますが、規制改革推進会議とくらべると、ライドシェアをいくつかあるうちのひとつの移動手段、と位置づけています。よく言えば冷静、悪く言えば、のんびり~、といった印象です。
去る6月3日
NHK news より ウーバーCEOの記者会見の様子。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240603/k10014469711000.html
あらためて、全面解禁時には事業を速やかにはじめると語っていたようです。
矛盾。
リデザイン文書のあとのほうに、こういうことが言われています。
P19 「 国と自治体の役割分担」
のところです。
公共交通事業者の経営努力のみでは、国民生活に不可欠な地域公共交通の維持は困難であり、地方公共団体が主導し、地域の関係者と連携しながら持続可能な地域交通へ転換を進める必要がある。このためには、従来の発想により構築された規制等の枠組ではなく、地方公共団体が一定の権限を有する等、地域交通に係る国と地方公共団体の権限の在り方含め、必要があれば柔軟に見直すことが必要ではないか。
この考え方によれば、各自治体の移動を、民間タクシー会社「のみ」にまかせる現状は、矛盾していると思う。
リデザイン法は、従来型のタクシー産業とバス産業は、少子化時代には事業が成立しずらいい前提で 策定されていると取れます。
地域公共交通の活性化及び再生に関する法律
(目的)
第一条 この法律は、近年における急速な少子高齢化の進展、移動のための交通手段に関する利用者の選好の変化により地域公共交通の維持に困難を生じていること等の社会経済情勢の変化に対応し、地域住民の自立した日常生活及び社会生活の確保、活力ある都市活動の実現、観光その他の地域間の交流の促進並びに交通に係る環境への負荷の低減を図るための基盤となる地域における旅客の運送に関するサービス(以下「地域旅客運送サービス」という。)の提供を確保するために地域公共交通の活性化及び再生を推進することが重要となっていることに鑑み、交通政策基本法(平成二十五年法律第九十二号)の基本理念にのっとり、地方公共団体による地域公共交通計画の作成及び地域公共交通特定事業の実施並びに再構築協議会による再構築方針の作成に関する措置並びに新地域旅客運送事業及び新モビリティサービス事業の円滑化を図るための措置について定めることにより、地域旅客運送サービスの持続可能な提供の確保に資するよう地域公共交通の活性化及び再生のための地域における主体的な取組及び創意工夫並びに地域の関係者の連携と協働を推進し、もって個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現に寄与することを目的とする。
本法律では新モビリティサービス、いわゆるMaasの事業化をやりやすいように、と配慮されたものであります。
しかし最近Maasという言葉は聞かれなくなり、それよりも「ライドシェア」のほうが社会的の露出度が高いですよね。もはや、こっちのほうが 『新モビリティサービス』の文脈の主役になりつつあります(実際はライドシェアは数ある旅客サービスのひとつにすぎませんが)。
数あるMaas PJは、自家用車活用事業をいまどうとらえるでしょうか?
もしライドシェア新法が出来たとき、あらたな移動サービスとして認めますか?
邪魔者ですか?
Maasには参加すべきではないプレーヤーと考えますか?
統合移動サービスを「分断」する 鬼っ子サービス?
それとも?
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