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2021年度アルコールインターロック出荷実績

2021.12.28


アルコール検知システム、IT点呼システム、運行管理システムを開発・販売する東海電子株式会社(本社:静岡県富士市 代表取締役 杉本 哲也)は、この度、運転前にアルコールチェックを行い、検知されるとエンジンがかからない車載型飲酒運転防止システム『呼気吹き込み式アルコール・インターロック装置』の2021年度の実績と普及状況(2021年12月28日時点)をお知らせ致します。

1)2021年時点のトラック業界における飲酒運転実態

2011年5月1日、点呼におけるアルコール検知器の使用の義務化が施行されてから10年が経過しました。現在、法令上、トラック、バス、タクシー等8万を超える運輸・交通事業者は、必ず、アルコール検知器を設備として事業所に備え、点呼時の酒気帯び確認時に、これを使用しなければなりません(別紙1)。また、遠隔地での電話点呼においても、アルコール検知器を使用しなければならないとされており、アルコール・インターロックは特に、「自動車に設置されているアルコール検知器を使用させる」機器として明確に位置づけられています(別紙 2-1,2-2)。
このように、アルコール検知器の義務化とは、いかなる点呼においても必ずアルコール検知器が使われており、点呼が100%実施されていれば、誰一人として酒気を帯びたドライバーは路上には存在しない、まさに「飲酒運転ゼロ」を目指した規制強化でありました。

2)トラック業界における飲酒実態

ところが、アルコール検知器義務付けが行われたものの、 近年、ゼロに向かうどころか、下げ止まり状態となっています。トラック業界にいたっては、直近では前年比増という事態になっています(別紙3)。とくに、2019年に国土交通省、運輸安全委員会から公表された事故調査報告書によって、フェリー使用時のトラックドライバーのおそるべき飲酒実態が明らかとなり、「隠れた飲酒文化」に業界および社会が驚愕しました。

3)安全運転管理者選任事業所のアルコール検知器使用義務付け

2021年6月28日、千葉県で、悲痛な飲酒運転死亡事故が起きました。加害側が「白ナンバートラック」であったことから、警察庁・公安委員会は、再発防止のため、安全運転管理者選任事業所に対し、アルコール検知器使用を義務付ける道交法施行規則の改正を行いました。
2022年10月から施行される同改正法では、該当企業が使用するアルコール検知器は、「呼気」式であること等を最低条件とした性能要件を告示及び通達で示しました。
https://www.npa.go.jp/laws/notification/tuutatuanzenuntenkanri.pdf
このなかで、アルコールインターロック等、車載タイプも、アルコール検知器の一種であるとされました。(別紙 4)

4)呼気吹き込み式アルコールインターロックの出荷実績

当社は、2009年9月から、運転前に呼気検査を行いアルコールが検知されるとエンジンがかからない飲酒運転防止システム「呼気吹き込み式アルコール・インターロック」を販売しています。現在、アルコール検知器は多種多様なものがありますが、「運転前に必ず呼気をチェックし記録を残し、検知したらクルマが動かない」、このような強制力のある検知器は、アルコールインターロック装置だけです(別紙5)。
このように、他の検知器とは違う飲酒運転抑止力を持つアルコールインターロック装置(製品名:ALC-ZERO)ですが、皮肉にも、ここ5年、トラック業界での飲酒運転の下げ止まり・増加傾向とは逆に、やや低調な推移となっています。

2020年は前年比よりは増加しました。2021年度は、千葉県の事件以後、出荷数が増えましたが、昨今の半導体不足のため、一部納入が滞り、結果前年比11台減となりました。
13年で累計(1月~12月起算)は2800台を超えました(ほぼトラック事業者である)。

5)トラック協会の助成制度

全日本トラック協会においても、トラック業界での飲酒運転ゼロを目指し、このアルコール・インターロック機器を、例年、購入補助の助成金の対象としています。
https://jta.or.jp/member/shien/anzen21.html
また、各県ごとのトラック協会でも、独自でアルコール・インターロック装置への助成制度を設けているところがあります。
<2021年度各都道府県トラック協会助成金情報 2021年11月30日版>
https://www.tokai-denshi.co.jp/app/usr/topics/file/364_20211130130926_topic_file.pdf?_ga=2.144132661.1880344175.1640556795-1376798017.1632805845

6)アルコールインターロック、日本以外の状況

海外では商用車よりも、「飲酒運転違反者への罰則として、アルコール・インターロック装置を強制的に装着させる」方式が一般的です。米国では、未だに「毎年30万人」があらたにインターロック装着させられているほど、一般ドライバーによる飲酒運転が多い状態です。
【アルコールインターロック装着レポート 2018年】
https://transport-safety.jp/archives/1082
欧州でも近年、EU の交通安全ビジョンのうち、EU 加盟国へ、アルコール・インターロック装着を促す政策が促されている状況です。
【欧州におけるアルコール・インターロック法制化状況】
https://etsc.eu/issues/drink-driving/alcohol-interlock-barometer/

また、近年、韓国や台湾においても、アルコール・インターロックの導入が検討されているとの報道が一部あり、飲酒運転ゼロを実現する国際的な趨勢が注目されています。

【台湾 アジア初アルコールインターロック法規制】
https://transport-safety.jp/archives/932
【韓国 国会提出アルコールインターロック法、廃案に】
https://transport-safety.jp/archives/1030

7)日本政府への提言

前述の 2019年7月のトラックドライバーによる飲酒運転事故の調査報告書において

『(2) アルコール・インターロック装置
近年、運転者の飲酒運転を未然に防ぐための装置として、呼気吹き込み式アルコール・インターロック装置の技術開発が進んでおり、このような装置が装備されて いれば、本事故においても、運転者の呼気中のアルコール濃度などを計測し、エンジンの始動ができなくなることで、事故の発生を未然に防止できた可能性が考えられる。自動車メーカー、機器メーカー、国土交通省等の関係者においては、この種のシステムの確立等、予防安全対策装置の開発・普及に取り組む必要がある』

とある。

また、本年6月28日の千葉県の飲酒運転死亡事故を受けて、千葉県知事が政府に対し、

「アルコール・インターロック装置や事故の回避及び被害の軽減が可能な 安全運転支援装置の普
及に向けた取組の推進」

https://www.pref.chiba.lg.jp/seikouan/press/2021/documents/r30701youbusyo.pdf

と要望をあげています。

欧米のアルコール・インターロック装置の装着事例を鑑み、当社として、警察庁・公安委員会・国土交通省に対して、以下を提言したい。

1.警察庁運転免許局および各都道府県公安委員会は、飲酒運転をした者に対し、運転免許停止後も運転の意思があり、自己車両所有者である場合、アルコールインターロック装着を命ずることができる。また、事業用自動車による飲酒運転の場合、運輸支局長は、事業者に対し、全車両のアルコールインターロック装着を命ずることができる。

2.装置装着を命ぜられた個人および事業者は、期間中、全車両のインターロックデータを1ヶ月ごとに運輸局に提出し続けなければならない。2年間装着されたアルコール・インターロックのメモリに、酒気帯び検知の履歴なきことを条件として、アルコール・インターロック装置の装着を解除する。

3.アルコール・インターロックの装着費用は、行政罰とみなし、本人事業者の自己負担とする。

4.すべての飲酒運転違反者に対し、audit を実施し、かつ、アルコールに関する研修受講を義務づける。

当社は、年間2万人いる飲酒運転者へのアルコール・インターロック装着は、法制化されるべきと考えています。また、プロドライバーの飲酒運転ゼロの実現なくして、年間2万件以上もある日本の一般ドライバーによる飲酒運転ゼロ実現は不可能であるとも考えています。運輸行政は、決して、悪意ある市井の飲酒運転者に、「プロドライバーでさえ飲酒運転している」と言わせない政策を実現すべきである。

参考: 日本 2020年 1年間の飲酒運転違反は22458件




本件に関する問い合わせ先:東海電子株式会社 営業企画部
東京都立川市曙町 2-34-13 オリンピック第3ビル 203
E-mail: kikaku@tokai-denshi.co.jp
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