先日、2021年度のアルコール・薬物依存関連学会の 合同学術総会がありました。
12月19日 「ICTと電子機器」というセッションがあり、この中で、筆者は、アルコールインターロックについて学会で説明する場をいただきました。
内容と致しましては、本誌運輸安全JOURNALが8月に投稿した記事
を、15分の内容に短くまとめて発表しました。
しかしながら、この日のために「八街事件以後」として、新たな情報を付け加え、学会に問題提起を行う趣旨を加えました。
実質アルコール依存症という病気なのに、医師にかかって治療したり、減酒外来に通ったり、断酒会に通ったり等、「表に出る行動」を取れるひとばかりでありません。
病気であることを認めたくない、しかし、実際は、家では暴力が発生していたり、日常的に飲酒運転をする等、「表に出ない」こともあります。
こういうケースは、「アルコール依存症の診断・治療へどうぞ」と当社が正論を伝えも、ほぼいきません。
だから、アルコールインターロックメーカーという、「いち製造業」にコンタクトするという事象が起きているのかもしれません。
これは、医療の問題なのか? 交通安全の問題なのか? 家庭の問題なのか? 車両技術の問題なのか?
また、日本におけるアルコールインターロックの是非は、
「装着中の再犯抑止の効果性」
「取り外し後の再犯の事実」
「飲酒行動の是正への期待」
「悲惨な事故を起こさないため」
これらが入り交じっており、社会科学的な、継続的な実証が、まったく行われていません。
アルコールインターロック政策評価者
欧米では、「アルコールインターロックの社会科学的研究の専門家」がいます。メーカーではなく、事故研究者が、メーカーと行政とともに、公共政策的観点で、効果性の検証をつみあげてゆくのが伝統的なやり方です。
カナダ TIRF リサーチャー陣
https://tirf.ca/about-tirf/staff/
アルコールインターロックの、あらゆるメーカー、あらゆるインターロック法令(国、州)に詳しい、「アルコールインターロック専門家」が数名います。もちろん、メーカーではありません。患者をみている医師でもありません。
アウトサイダー。
医師が中心の学会では、「アルコールインターロックメーカーに登壇させる」のは、勇気が要ることだったに違いありません。実際、学会では初めてではないでしょうか? 少なくとも、この10年ではなかったことです。
アウトサイダーとは、そういう意味でした。
やはり、千葉県の事故があり、あらためてアルコールインターロックが注目され(という言い方も、この10年間何度されてきたことか・・!)、医師のあいだでも、「機能や実績はよくわからないが、社会実装すべきではないか」という心理が動いているように感じました。
そもそも、学会で、アルコール検知器を見たことはあっても、アルコールインターロックを見たことある・使ったことのある医師は、そう多くはないはずです。(失礼ながら、10名もいないのではないでしょうか)
欧米の交通事故シンポジウムにいけば、被害者や、医師、運輸・警察担当者、精神保健行政、アルコールインターロックメーカー、リサーチャー、取付事業者が、気軽にお茶を飲んでいます。
アカデミックでも、「流れをかえるひと」が出てきていることを今回感じた次第です。
Just one paper!
今回の発表内容は以下参照ください。
ようするに、一枚であらわすと、こんな感じでしょうか。
同じ目標で繋がっているはずなのに、近くて、遠い。