正直、記憶がフラッシュバックした。
ウィルスといえば、世界的な危機となった新型コロナウィルス。
アルコール検知器業界にとって、少なくともアルコール検知器の専業メーカーである当社にとって、「新型コロナウィルスは呼気を媒介して広がる」という現象が起きうるのか、は文字通り死活問題であった。
実際、当時、数千、数万のドライバーさんは、アルコール検知器に触れるのを嫌がっていた時期があったのだ。
忘れるはずがあろうか? 「呼気」を計測する業界が運輸業界から抹殺されるのでないかとすら本気で思った。
今般のハンタウイルス、既知ではあるだ、どれほどの危険性なのだろうか。
一般報道も多いが、WHOの報道をベースにあらためて発生時からの状況を振り返ってみよう。
5月4日のWHOの報道資料

5月4日のWHO報道資料によれば、
発症は2026年4月6日から28日の間に発生
2026年5月2日、クルーズ船内で重度の呼吸器疾患を発症した乗客の集団発生が世界保健機関に報告されました
2026年5月4日現在、7例(ハンタウイルス感染症の検査確定例2例と疑い例5例)が確認されており、うち3名が死亡、1名が重篤、3名が軽症と報告されています。
症例を見てみよう。
症例1:2026年4月6日、船上で成人男性が発熱、頭痛、軽度の下痢の症状を発症した。4月11日までに呼吸困難に陥り、同日船上で死亡した。微生物学的検査は実施されなかった。乗客の遺体は4月24日に船からセントヘレナ島(英国海外領土)へ移送された。
症例2:症例1の濃厚接触者であった成人女性が、2026年4月24日に胃腸症状を呈してセントヘレナ島に上陸した。その後、4月25日に南アフリカのヨハネスブルグへ向かう飛行機内で容体が悪化し、4月26日に救急外来に到着後死亡した。5月4日、PCR検査によりハンタウイルス感染症と確定診断された。当該便の乗客に対する接触者追跡調査が開始された。
症例1と症例2は、2026年4月1日にクルーズ船に乗船する前に、アルゼンチンを含む南米を旅行していた。
症例3:成人男性が2026年4月24日に発熱、呼吸困難、肺炎の兆候を呈し、船医を受診した。4月26日には容態が悪化し、4月27日にアセンション島から南アフリカへ医療搬送され、現在集中治療室(ICU)に入院している。広範囲の呼吸器病原体パネルを用いた検査は陰性であったが、2026年5月2日にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査によりハンタウイルス感染が確認された。血清学的検査、シーケンス解析、メタゲノミクス解析が進行中である
症例4:成人女性が肺炎の症状を呈し、2026年5月2日に死亡した。症状の発現は4月28日で、発熱と全身倦怠感があった。
5月8日のWHO報道資料

症例毎に、経過が違ってきいる。もういちど、症例1から見てみよう。
症例1:アルゼンチン、チリ、ウルグアイを3か月以上旅行した後、4月1日に船に乗船した成人男性。4月6日に症状が現れ、4月11日に船上で死亡した。微生物学的検査は実施されなかった。彼は疑い例とみなされる。
症例2:症例1の濃厚接触者で、彼と一緒に旅行し船に乗船した成人女性が、4月24日に胃腸症状を呈してセントヘレナ島に上陸した。その後、4月25日に南アフリカのヨハネスブルグへ向かう飛行機の中で容体が悪化し、4月26日にヨハネスブルグの診療所で死亡した。5月4日、PCR検査によりハンタウイルス感染症と確定診断された。
症例3:4月24日に症状が現れた成人男性。4月27日にアセンション島から下船し、医療搬送された。現在、南アフリカ共和国ヨハネスブルグの集中治療室(ICU)に入院中。5月2日にPCR検査でハンタウイルス感染が確認され、その後、アンデスウイルスがシーケンス解析によって確認された
症例4:成人女性。4月28日に発熱と全身倦怠感の症状が現れ、その後肺炎を発症し、5月2日に死亡した。死後検体が採取され、避難患者とともにオランダに送られ、そこでアンデスウイルスであることが確認された。
ここからさきは、5月4日の報道資料にはなかった症例
症例5:船医として勤務する成人男性が、4月30日に発熱、倦怠感、筋肉痛、軽度の呼吸器症状などの症状が現れたと報告した。5月6日に採取された検体からアンデスウイルスに対するPCR検査で陽性反応が確認された。この症例は5月6日にオランダへ医療搬送され、現在隔離下で安定した状態にある
症例7:成人男性。4月22日にセントヘレナ島に上陸し、4月27~28日に南アフリカとカタールを経由してスイスに帰国した。スイス到着後の5月1日に症状が現れ、到着後すぐに自主隔離を行い、現地の公衆衛生当局に報告した。現在、スイスで入院隔離中である。5月5日に採取した検体からアンデスウイルスに対するPCR検査で陽性反応が確認された
症例8:成人男性。4月14日にトリスタンダクーニャ島に上陸。4月28日に下痢、2日後に発熱の症状が現れた。現在、容体は安定しており、隔離されている。検査による確定診断が出るまでは、疑い例とされている。
以前疑い例として報告されていた1件は、PCR検査および血清学的検査でアンデスウイルスが陰性であったため、非症例として再分類されました。ただし、最終曝露からの潜伏期間が終了するまで、経過観察は継続されます。
まとめるとこうだ。(5月8日報道時点)

3人/8人。致死率38%である。
5月13日 WHOの報道資料

状況が変わっていてる。
5月13日現在、合計11例(確定例8例、判定保留例1例、疑い例2例)が報告されており、うち3例(確定例2例、疑い例1例)が死亡しています。5月8日に前回の疾病発生ニュースが発表されて以来、乗客の間で新たに2例の確定例と1例の判定保留例が報告されています。これらは、帰国中に症状が現れたフランスからの確定例1例、帰国後に到着時に検査を受けたが現在は健康で無症状のスペインからの確定例1例、および判定保留例1例です。後者は米国に帰国し、現在無症状で検査結果が判定保留(2つの異なる検査機関で陽性と陰性の結果がそれぞれ1つずつ)であり、再検査中です。この人物は、船内で確定例に高リスクで曝露したためサンプルが採取されました。検査で確定された症例はすべてANDV感染が確認されています。全員がMV Hondiusの乗客でした。
クルーズ船に関連したハンタウイルス感染症例の接触者全員に対する追跡調査と接触者追跡が継続中です。これには、4月24日に英国セントヘレナ島、5月6日にカーボベルデのプライア、5月10日と11日にスペインのテネリフェ島で下船した乗客が含まれます。その後確定した症例に接触した可能性のある航空便の乗客も特定され、連絡が取られています。接触者はそれぞれの国の保健当局によって監視されています。 5月10日、船はスペイン領カナリア諸島に到着し、下船が始まりました。乗客と乗組員のほとんどは、WHOとパートナー機関の支援を受け、特別に手配された非商業便でカナリア諸島からそれぞれの居住国または経由地へ帰国しました。船は5月11日にカナリア諸島を出港し、オランダに向けて航行中です。船内には乗組員25名と、健康状態のモニタリングと必要な医療を提供するオランダ人医療従事者2名が残っています。
5月9日 テドロス事務局長メッセージ


ウィルスで自社の事業が危うくなることが、マジでありうる。だって、あり得たから。
テドロス氏が言うように、ハンタウイルスは、リスクは低いのかもしれない。
しかし、私の言葉をはっきりと理解していただきたい。これは新型コロナウイルスとは全く異なる。ハンタウイルスによる公衆衛生上のリスクは依然として低い。私と同僚たちはこれまでも明確に述べてきたが、今改めて皆さんに申し上げたい。
MVホンディウス号で確認されたウイルスは、ハンタウイルスのアンデス株です。深刻なウイルスであり、3名の方が亡くなられました。ご遺族の皆様に心よりお悔やみ申し上げます。テネリフェ島で日常生活を送る皆様へのリスクは低いと判断いたします。これはWHOの評価であり、決して軽々しく下したものではありません。
現在、船内に症状のある乗客はおりません。WHOの専門家が乗船しており、医療物資も準備されています。スペイン当局は、綿密な段階的計画を策定しました。乗客は、住宅地から遠く離れたグラナディージャの工業港に、完全に封鎖された通路を通って、警備された車両で上陸し、直接それぞれの母国へ送還されます。乗客の皆様も、ご家族も、乗客と接触することはありません。
今回は大丈夫か大丈夫なのかまだわからない。
でも、また違う未知のウイルスが、いずれ有りうるかもしれない。
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