白書統計

 

ライドシェア

 

地域公共交通計画

 

バス白書と、バス再興ビジョン。もしもバスがなくなってしまったら?

2024.8.4

日本バス協会はいま ”バス再興 10年ビジョン”の中間とりまとめを行っているという。

冒頭より。

現在バスは、コロナ禍、燃料高、2024年問題による運転士不足など深刻な状況に直面している。少子高齢化による輸送人員の減少が続く中で今回のコロナ禍により決定的なダメージを受け、需要は元に戻ることはなく、エッセンシャルな事業でありながら維持が一層困難になっている。このままでは生活に密着したバス交通が消えゆくことになりかねない。

強い言葉ですね。

 

ホワイトペーパー、バス編

白書がすべてを物語ります。

昨年発行された最新ホワイトペーパーでは、コロナ禍からの回復がやや見られているものの、上記の「元に戻ることはない」発言に頷かざるをえないデータが多く報告されています。

国内輸送における乗合バスの存在感と、薄れる理由。

冒頭より。

令和2年度の国内輸送機関別の旅客輸送人員をみると、総輸送人員は217億49百万人(前年311億72百万人)と対前年30.2%減と前年から94.2億人減少した。内訳をみると JR は67億7百万人(前年95億3百万人)と対前年29.4%減、民鉄は109億63百万人(前年156億17百万人)と対前年30.1%減、バスは32億61百万人(前年45億33万人)と対前年28.0%減、ハイタクは7億38百万人(前年12億68百万人)と対前年41.8%減、航空は34百万人(前年1億2百万人)と対前年66.9%減となっており、バス、JR、民鉄、ハイタク、航空の全てにおいて輸送人員が減少した。

 次に輸送人員の分担率をみると民鉄50.4%に次いで、JR が30.8%、バスは15.0%と第3位、第4位はハイタクの3.4%、第5位は旅客船、航空の0.2%の順になっている。※1)

 また、自動車保有台数の推移をみると昭和51年度には3,000万台、56年度に4,000万台、61年度に5,000万台、平成2年度に6,000万台、平成7年度に7,000万台、平成25年度に8,000万台を超え、令和4年3月8,218万台となり、昭和51年から令和4年までの46年間で2.7倍の伸びとなっており、このうち軽自動車は昭和51年に600万台であったが、令和4年3月では3,337万台と5.6倍の伸びを示している。 

バス事業の長期低迷は、そもそも人口減少と反比例する車両の普及率だと みなしている。

従って、バス事業は益々陸上交通において自家用車にその領域を侵され、特に、軽自動車の伸びにより悪戦苦闘を続けている状況である。

 

乗合バス事業、91%が赤字。黒字は19事業者。

バス事業は、ビジネスとしてどういう状況か?

乗合バスの輸送人員は昭和42~45年度の100億人台から年々減少傾向を辿っていたが、平成19年度からコロナ禍前までは下げ止まりがみられた。コロナ禍の影響を受けた令和2年度は31億2,055万人(前年42億5,765万人)、対前年度26.7%減少した。輸送人キロは平成11年度を底にからコロナ禍前までは増加傾向となっていたが、182億人キロ(前年287億人キロ)と対前年36.7%減となっている。

 営業収入をみると平成4年度をピークに減収傾向になっていたが、令和2年度は5,758億5,600万(前年9,344億9,600万円)と対前年38.4% 減となった。

 

調査委対象228者のうち、黒字事業者は19者だという。

コロナ禍ピークR2を見るとなんと1者。

R3は19事業者まで回復してきているが、H29の黒字72事業者まで戻るかどうか? 

再興ビジョンで言っている「需要が元にもどることはない」という令和6年時点の認識は、軽自動車の普及もさることながら、統計にはないが、コロナ禍をへて「通勤」の概念が変わったことが大きいのではないかと思う。

現実は、こうなのだ。

出典:厚生労働省 令和5年度テレワーク人口実態調査-調査結果(概要)R6年3月 より

  

貸切バス事業、赤字事業者66%

貸切バスもコロナ直撃だったものの、乗合バスほどではないようだ。

調査対象事業者の417社のうち276社66.2%と大半の事業者が赤字を計上している。黒字となった事業
者については、修学旅行や社会科見学等の学生の利用が回復してきたことと、スクールバス、企業送迎等、新型コロナウイルスの影響が少なかった業務で何とか黒字を確保しているものと考えられる。

貸切バス業界では、優良事業者の認定制度が定着しつつあるようだ。

 現在、全国2,056事業者(日本バス協会会員の77.7%)、34,370両(日本バス協会会員保有車両数の91.1%)(令和5(2023)年1月31日現在)が認定されている。また、制度開始後10年の歳月を経たことから、10年の長期に亘り認定を継続し、尚且つ三ツ星にて認定を更新した事業者を対象に「評価認定長期継続優良事業者」として表彰する制度を令和3(2021)年度から新たに開始し、令和4(2022)年度は95者を表彰した。
 
これからも、認定事業者の安全性に対する意識や取組がより高いものとなり、利用者や旅行会社などに高く評価されることを目指し、制度の強化・充実を図っていく。

先日7月31日にも、最新の事業者リストがアップデートされている。

もしもバスがなくなってしまったら。

日本バス協会の広報サイト

https://www.bus.or.jp/nobus/

に動画があります。

 

もしもバスがなかったら、通勤、通学、通院は・・・

 

 

当たり前にそばにいると、その大切さに気づかないかも

 

 

ライドシェア新法がもしできたら、それこそコロナ以上のショックになるかもしれない。タクシー業界だけではなく、バス業界にも。

 

皮肉にも、この動画は、ライドシェア事業者の「だからライドシェアが必要なのだ」の前振りに思えて成らない。何てこった!

 

バス再興の勝機はどこに? 民業としてどこまでやるのか? 民としてDXもGXも頑張るのか?
それとも、地域ライドシェアとともに交通税をつかった「シン・市交通」時代を演出するか?

関連記事