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アルコール健康障害

 

アルコール健康障害対策 パブリックコメント開始

2021.1.29

 

平成25年、アルコール健康障害対策基本法が施行されました。
この基本法により、国はアルコール健康障害対策推進基本計画を策定することなっています。

平成28年5月に第1期の基本計画が本年度に終了となり、第2期計画がつくられることになっており、この度、案が公表、パブリックコメント募集期間が始まりました。

「アルコール健康障害対策推進基本計画(第2期)(案)」に係るご意見の募集について

 

アルコール健康障害について

本基本法における「アルコール健康障害」という言葉について、あらためて知っていただければと思います。冒頭から抜粋します。

(アルコールによる健康障害)
アルコールは様々な健康障害との関連が指摘されており、我が国で実施されている大規模疫学調査8においても、アルコールの多飲が様々ながん等の疾患や自殺等のリスクを高めると指摘されている。


特に発症頻度の高い代表的な臓器障害として、アルコール性肝疾患があげられる。アルコール性肝疾患は、まずアルコール性脂肪肝として発症するが、飲酒の継続によりアルコール性肝炎、アルコール性肝線維症に移行し、アルコール性肝硬変や肝細胞がんへ進行する。患者調査(厚生労働省)によれば、アルコール性肝疾患の総患者数9は、平成8(1996)年の5.9万人から、平成29(2017)年には3.7万人に減少しているが、アルコール性肝硬変は、平成8(1996)年の4千人から、平成29(2017)年には1.4万人へと増加している。人口動態統計(厚生労働省)によれば、肝疾患全体の死亡数は減少傾向にあるが、アルコール性肝疾患の死亡数は、平成8(1996)年には2,403人であったものが、令和元(2019)年には5,480人と増加しており、そのうち約8割がアルコール性肝硬変である。


アルコールの持つ依存性により、アルコール依存症を発症する可能性がある。患者調査における総患者数は、約4万人前後で推移しており、平成 29(2017)年は、4.6万人と推計されているが、平成 30(2018)年の成人の飲酒行動に関する全国調査10では、アルコール依存症の生涯経験者11は 54 万人を超えるとの報告がある。また、アルコール依存症を現在有すると疑われる者のうち、「アルコール依存症の専門治療を受けたことがある」と回答している者は 22%、一方で、83%は「この 1 年間に何らかの理由で医療機関を受診した」と回答しており、一般医療機関から専門医療機関への受け渡しが適切に行われておらず、専門的治療に繋がっていない可能性があるとの報告12がある。

 

アルコールによる社会的影響

 

また、アルコール健康面での問題以外にも、社会的な課題のなかにもアルコールの影響が指摘されています。飲酒運転はそのうちの一つ。とされている障害

(アルコールによる社会的影響)
アルコールは心身への影響のみならず、多くの社会問題との関連が指摘されている。
運転免許取消処分者講習受講者を対象とした複数の調査13で、飲酒運転で検挙された者のうち、3割程度の者にアルコール依存症の疑いがあったことが報告されている。
不慮の事故死の事例のうち、2 割が飲酒群であり、飲酒群の平均年齢(60.5 歳)は非飲酒群(73.7 歳)より有意に低いという報告14があり、飲酒が原因である可能性も示唆されている。


配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成 13 年法律第31 号)の保護命令違反者を対象に行われた研究15で、飲酒に関する問題を有していた者が約4割であった。受刑者を対象に行われた研究16では、調査対象受刑者に占
める多量飲酒者(日本酒換算3合以上をほぼ毎日)の割合は 23.3%であった。


また、自助グループ(アルコール依存症の当事者及びその家族が互いに支えあってその再発を防止するための活動を行う団体をいう。以下同じ。)に属する家族に対する調査17では、アルコールの問題を抱えてから、半数近くの家族が生活や経済的困難に直面し、約3割の家族は自らが精神的又は身体的問題を抱えるようになったと報告されている。


多量のアルコールを飲み続ければ、アルコール健康障害やそれに関連して様々な問題を起こしてしまう可能性は誰にでもある。アルコール依存症の当事者の体験談から、ごく普通に飲酒をしていた者が、様々な要因から、問題飲酒を経てアルコール依存症に至り、飲酒のコントロールができず更なる問題を引き起こし、社会から非難を受け、更に追い込まれていくという状況がわかる。その影響は、飲酒者本人のみならず、周囲の者にも及び、特にアルコール依存症者の家族は、強いストレスにさらされ困難を抱えていることが多い。
アルコール依存症に関する問題を、個人の問題とのみ捉えず、社会全体の問題と捉え、必要な知識や医療、回復のための支援を講ずることが必要である。

本パブリックコメントの締め切りは、2021年2月5日。

当社も提出する予定です。