航空局

 

航空業界の「飲酒問題」。今回の報告書から飲酒がらみの報告表現のばらつきは統一されたが、一律『運航乗務員の乗務終了後におけるアルコール検査手順を逸脱した』となり逆に無味乾燥。

2026.9.5

国土交通省航空局では半期ごとに航空輸送の安全に関する分析レポートを公表し、かつ年度ごとにも年鑑白書にまとめています。 ”航空輸送の安全にかかわる情報” というものです。

令和8年3月までの情報がアップデートされました。

事故8件、重大インシデント2件。

深刻な事案は10件でした。

区分発生日事業者・便名運航区間航空機搭乗者概要
航空事故
8件
令和7年4月6日エス・ジー・シー佐賀航空対馬空港 → 福岡市内場外離着陸場ユーロコプター式 EC135T2+型
JA555H
6名海上に不時着水し、搭乗者3名が死亡した。
令和7年7月19日全日本空輸
ANA9397便
米国 チャールストン → 米国 ロサンゼルスボーイング式 787-10型
JA986A
6名新造機の空輸飛行中、離陸のため誘導路を走行していたところ、駐機中のブリーズエアウェイズ機(エアバス式 220-300型)と接触し、左主翼の一部を損傷した。
令和7年11月1日スカイマーク
705便
東京国際空港 → 新千歳空港ボーイング式 737-800型
JA737X
183名
乗員6名・乗客177名
降下中に被雷し、胴体等を損傷した。
令和7年12月8日ジェイエア運航
JAL2151便
大阪国際空港 → 青森空港エンブラエル式 ERJ190-100STD型
JA250J
65名
乗員4名・乗客61名
降下中に機体が動揺し、乗客1名が負傷した。
令和7年12月22日日本航空
57便
米国 サンフランシスコ → 成田国際空港ボーイング式 787-9型
JA865J
199名
乗員13名・乗客186名
飛行中に機体が動揺し、客室乗務員1名が負傷した。
令和8年1月20日匠航空熊本県阿蘇市内場外離着陸場 → 同左ロビンソン式 R44Ⅱ型
JA10KE
3名遊覧飛行中、同機から発信された捜索救難信号を受けて捜索が行われ、熊本県中岳(阿蘇山)火口付近で機体が損傷した状態で発見された。
令和8年2月27日全日本空輸
114便
東京国際空港 → 米国 ヒューストンボーイング式 787-9型
JA873A
209名
乗員12名・乗客197名
ヒューストン空港への着陸時、機体尾部が滑走路に接触し損傷した。
令和8年3月13日日本航空
158便
三沢飛行場 → 東京国際空港ボーイング式 737-800型
JA301J
161名
乗員6名・乗客155名
三沢飛行場を離陸後、鳥と衝突し、機首部を損傷した。
重大
インシデント
2件
令和7年8月20日ANAウイングス運航
ANA4841便
新千歳空港 → 稚内空港ボンバルディア式 DHC-8-402型
JA854A
74名
乗員4名・乗客70名
稚内空港において、鳥防除作業車両が存在している滑走路に着陸した。
令和7年12月11日北海道エアシステム運航
JAL2823便
札幌飛行場 → 秋田空港ATR式 42-500型
JA14HC
26名
乗員3名・乗客23名
上昇中、第2(右側)エンジンが意図せず停止し、第1(左側)エンジンの推力も一時的に低下した。緊急事態を宣言し、目的地を函館空港に変更して着陸した。

飲酒がらみは?

報告書本編によれば、2025年4月から2026年3月にかけて起きた「飲酒」がらみ事案は19件であった。

報告書本文にはアルコール事案が2例が挙げられている。

① スプリング・ジャパンに対する厳重注意について(令和7年5月9日 航空局)
スプリング・ジャパンにおいて、同社の貨物便に関し、機長が運航規程に定める飲酒制限に抵触する飲酒を行い、乗務前アルコール検査を逸脱した手順で実施し乗務した事案が発生したことを受けて、航空局は同社に対し、厳重注意を発出しました。

 

 

⑤ 日本航空に対する厳重注意について(令和7年9月 30 日 航空局)
日本航空において、海外宿泊地で乗務前日にパイロットが過度な飲酒をしたことにより乗務便が遅延した事案が発生。当該パイロットは過度な飲酒を隠ぺいするため、アルコール検知器の検査日時のデータを改ざんしたことが判明したことを受けて、航空局は同社に対し、厳重注意を発出しました。

 

一方、別冊

https://www.mlit.go.jp/koku/content/002018344.pdf

を見ると、飲酒絡みは13件であった。(本文の19件との差異あり)

No.発生日報告会社名当事者タイミング類型航空機・登録記号運航区間事態の概要
12025年5月10日全日本空輸客室乗務員乗務前不適切なアルコールチェックエアバス式A321-272N型
JA114A
富山空港 → 新千歳空港客室乗務員の乗務前におけるアルコール検査手順を逸脱した。
22025年5月10日全日本空輸客室乗務員乗務前不適切なアルコールチェックボーイング式787-9型
JA924A
シドニー → 東京国際空港客室乗務員の乗務前におけるアルコール検査手順を逸脱した。
32025年5月12日スプリング・ジャパン運航乗務員乗務後不適切なアルコールチェックエアバス式A321-231型
JA81YA
北九州空港 → 東京国際空港運航乗務員の乗務終了後におけるアルコール検査手順を逸脱した。
42025年5月13日全日本空輸客室乗務員乗務前不適切なアルコールチェックエアバス式A320-271N型
JA220A
富山空港 → 東京国際空港客室乗務員の乗務前におけるアルコール検査手順を逸脱した。
52025年6月1日全日本空輸客室乗務員乗務後アルコールチェック漏れボーイング式777-300型
JA751A
東京国際空港 → 那覇空港客室乗務員の体調不良により、乗務後のアルコール検査が実施できなかった。
62025年6月9日AIRDO運航乗務員乗務前不適切なアルコールチェックボーイング式767-300型
JA607A
東京国際空港 → 旭川空港運航乗務員の乗務前におけるアルコール検査手順を逸脱した。
72025年7月19日ZIPAIR Tokyo客室乗務員乗務後不適切なアルコールチェックボーイング式787-8型
JA822J
マニラ → 成田国際空港客室乗務員の乗務後におけるアルコール検査手順を逸脱した。
82025年8月27日日本貨物航空運航乗務員乗務後不適切なアルコールチェックボーイング式747-8F型
JA17KZ
成田国際空港 → アンカレッジ運航乗務員の乗務終了後におけるアルコール検査手順を逸脱した。
92025年9月1日日本航空運航乗務員乗務前不適切なアルコールチェックボーイング式737-800型
JA06GR
北京 → 成田国際空港運航乗務員の乗務前におけるアルコール検査手順を逸脱した。
102025年9月23日ZIPAIR Tokyo客室乗務員乗務前不適切なアルコールチェックボーイング式787-8型
JA822J
サンフランシスコ → 成田国際空港客室乗務員の乗務前におけるアルコール検査手順を逸脱した。
112025年10月17日スカイマーク運航乗務員乗務前不適切なアルコールチェックボーイング式737-800型
JA73NN
福岡空港 → 那覇空港運航乗務員の乗務前におけるアルコール検査手順を逸脱した。
122025年12月18日日本航空客室乗務員乗務前不適切なアルコールチェックボーイング式737-800型
JA302J
客室乗務員の乗務前におけるアルコール検査手順を逸脱した。
132026年2月24日日本トランスオーシャン航空運航乗務員乗務後不適切なアルコールチェックボーイング式737-800型
JA06RK
那覇空港 → 中部国際空港運航乗務員の乗務終了後におけるアルコール検査手順を逸脱した。

今年度の報告から、「報告表現ばらつき」がなくなった。

運航乗務員の乗務終了後におけるアルコール検査手順を逸脱した。

確かに、わかる。わかるが・・

以前の表現方法は、ばらついていたが、生々しい事案として「味」があった。

過去の報告の「言い方」についてはこちらにまとめてあるので、↓をご覧ください。

あらためて6年間をまとめると・・・

航空業界 飲酒関連インシデント

航空輸送の安全にかかわる情報のうち、平成30年度分から令和7年度分までの本文記載集計の推移

6 平成30
76 令和元
42 令和2
109 令和3
65 令和4
24 令和5
30 令和6
13 令和7

航空輸送の安全にかかわる情報のうち、翌年度に確定修正されたと考えられる数値を使用。

実際にアルコール検知された・飲酒した等の事案は大幅に減少

4 2019
18 2020
3 2021
1 2022
0 2023
2 2024
0 2025

飲酒関連インシデント|当事者別・累計

2026年3月〆 累計245件
不明
71
客室乗務員
58
運航乗務員
57
運航管理者等
42
整備従事者
9
運航管理補助者
6
地上運航従事者
2

飲酒関連インシデント|内容別・累計

2026年3月〆 累計245件
不適切なアルコールチェック
103
アルコール検査記録不備
61
アルコールチェック漏れ
44
アルコール検知された
27
検知器メンテナンス
6
飲酒時間違反
2
飲酒整備
1
その他
1

飲酒関連インシデント|発生タイミング別・累計

2026年3月〆 累計245件
業務・乗務前
116
不明
77
業務・乗務後
48
途中・交代
4

「業務前」と「乗務前」、「業務後」と「乗務後」を統合。 「途中」「乗務中」「勤務交代時」を統合。空欄は不明。

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