もうここ何年かの話です。新卒採用や中途採用で、比較的20代、30代の方と話すときに気づきました。飲酒運転事故史上「誰もが知っている」とされる事件(東名高速事故、仙台RV事故、小樽ドリームビーチ事故等)について、世代によっては知らない(リアルタイムでは)んだなと。
若い世代が知らないのは、意識が低いからではないです。われわれ伝える側なのでしょうか。
一方で、被害者側の時間は永遠に止まり続ける。表に出て、「二度と起こさせてはいけない」という強い思いで10年、20年活動を続けている方もいれば、そうでない方もいる。
風化とは?
本誌では、過去の事件について語りながら風化を防ぐ方法について、シリーズで考えてゆきたいと思う。
2006年8月25日 福岡県 海の中道
19年前の8月25日、飲酒運転により3人の子どもが死亡する事故が起きました。
当時の衝撃を覚えている方は多いと思います。
報道メディアは概略でしか伝えませんので、「どういう事が起きたのか」という詳細を定期的に知ることも大切かと思う。

このなかで、当該事故の詳細が生々しく述べられてます。
「福岡 2006年 飲酒運転事故」と検索すれば、過去の膨大なメディア記事やニュース映像が出てきます。しかし、なかには時とともに「リンク切れ」となるものがあります。「リンク切れ=風化を象徴」とも言えるのかもしれない。
国や県は、「白書」によって記憶されるべき事故をアーカイブにとどめますが、内容は数行です。
やがて白書からも数行すら消え、どんな事故・事件だったのか、だれも知らなくなってゆきます。
この主文には、事故当時の酩酊、逃げた時の様子、水を飲んで血中アルコール濃度を低くしようとした行為、同乗者との会話等も見られます。
19年。加害者の刑期がそろそろ終わる頃。あるいは出所しているという可能性も。
この夏、そんな折り、福岡の飲酒運転事故の遺族の方が、語り始めました。
これは多く報道され、目にしている方も多いと思う。
語れる状態になるまで19年という歳月。
福岡県、福岡市、警察庁、飲酒運転防止関係者は、今日以降、あの日を語る被害者の方と面談する場面が多くあるでしょう。
福岡市の高島市長のコメントが、何か、「こちら側」のすべてを物語っていると思いました。
「お会いできてうれしいという表現はなかなか使いにくい」
高島市長のこのすごく率直なことばに、何とも言えない感情が私の心に沸いた。
加えて、被害者の方の
「いつかお礼を言いたかった」
に、驚きまた、何とも言えない感情が沸いた。
飲酒運転ゼロを掲げる関係者は、恥じ入らずに、遺族に対面できるか?
2006年以降もなお悲痛な飲酒運転事故が起き続けていることを、2021年の八街市の飲酒運転死傷事故や、2024年の群馬県伊勢崎市の飲酒運転事故のことを、どう話せばいいのか?
風化を防ぐ方法は? 風化をさせているのは誰なのか? われわれ自身なのか?
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