点呼とアルコール検知器

2011年5月、国土交通省は、警察庁、法務省、経済産業省がなしえなかった、日本国の法体系においてはじめて、「アルコール検知器」という機器を登場(国土交通省令として)させました。

「貨物自動車運送事業輸送安全規則第七条第四項の告示で定めるアルコール検知器は、呼気中のアルコールを検知し、その有無又はその濃度を警告音、警告灯、数値等により示す機能を有する機器とする」

それまでアルコール検知器は、
「アルコールチェッカー」
「アルコール検査機」
「飲酒検査機」
「酒気帯びチェッカー」
「アルコール探知機」
「アルコール測定器」等、
市場や官公庁の入札で、さまざまな表現・呼称で呼ばれていました。

アルコール検知器(解釈と運用の通達)


そんな中、2011年、運輸規則、輸送安全規則に、「アルコール検知器」が登場しました。
 https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03alcohol/index.html

国土交通省は、輸送安全規則および運輸規則の解釈および運用の通達によって、点呼で使う「アルコール検知器」を、さらに具体的に定義しています。

<解釈および運用の通達より、点呼とアルコール検知器 部分を抜粋>
(1) アルコール検知器は、アルコールを検知して、原動機が始動できないようにする機能を有するものを含むものとする。

(2) アルコール検知器は、(7)の場合を除き、当面、性能上の要件を問わないもの
とする。

(3) 「アルコール検知器を営業所ごとに備え」とは、営業所若しくは営業所の車庫に設置され、営業所に備え置き(携帯型アルコール検知器等)又は営業所に属
する事業用自動車に設置されているものをいう。

(上記(7)とは、他営業所立ち寄り点呼のルール規定。立ち寄り点呼時のみ、『他の営業所に常時設置されており、検査日時及び測定数値を自動的に記録できる機能を有するものに限る』という、検知器の「性能」や「機能」に言及している)

(6) 「アルコール検知器を用いて」とは、対面でなく電話その他の方法で点呼をする場合には、運転者に携帯型アルコール検知器を携行させ、又は自動車に設置されているアルコール検知器を使用させ、及び当該アルコール検知器の測定結果を電話その他の方法(通信機能を有し、又は携帯電話等通信機器と接続するアルコール検知器を用いる場合にあっては、当該測定結果を営業所に電送させる方法を含む)で報告させることにより行うものとする。

国土交通省 アルコール検知器に関するQ&A

Q1 自家用有償旅客運送者も、アルコール検知器の使用義務の対象となりますか。
A1自家用有償旅客運送者は対象となりません。

Q2個人タクシーや貨物軽自動車運送事業者も、アルコール検知器の使用義務の対象となりますか。
A2個人タクシーや貨物軽自動車運送事業者も対象となります。

Q3アルコール検知器について、国土交通省が推奨する検知器はありますか。
A3アルコール検知器について、国土交通省の推奨は行っておりません。

Q4アルコールの数値ではなく、赤、黄、緑などのランプで表示するものでも問題ありませんか。
A4問題ありません。

Q5アルコール検知器の取扱説明書に0.05未満は0と表示しますと記載されていますが、このアルコール検知器を使用しても問題ありませんか。
A5問題ありません。

Q6アルコールの測定結果が自動で記録紙に印字できなければいけませんか。
A6自動での記録は必要ありません。(点呼簿への記載はアルコール検知器使用の「有・無」、酒気帯びの「有・無」、の記載で差し支えありません。)

Q7アルコール検知器に、自動車に備えられたアルコール検知器(アルコールインターロック装置)は含まれますか。
A7アルコールインターロック装置も含まれます。

Q8車庫に駐車してあるアルコールインターロック装着車両を用いて、酒気帯びの確認をする場合、点呼はどのように行えばよいですか。
A8運行管理者が車庫に出向き点呼を実施する必要があります。

Q9アルコール検知器について、他の事業者、又は他の営業所のものを使用しても問題ありませんか。
A9点呼時に酒気帯びの有無を確認するために使用するアルコール検知器は点呼を受ける運転者が所属する営業所のものに限ります。
なお、遠隔地における電話点呼において、一定の要件を満たす場合には、他の営業所等のアルコール検知器を使用することができますので、詳しくは以下をご覧下さい。
http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha02_hh_000157.html

Q10泊まりを伴う運行の場合、電話点呼をしなければなりませんが、その際のアルコール検知器の使用はどのようにすれば良いのですか。
A10電話点呼の際には、携帯型のアルコール検知器を携行し、点呼時に使用する必要があります。

A11電話点呼の際、アルコール検知器使用の「有・無」、酒気帯びの「有・無」、について、運転者が運行管理者に口頭で伝えてください。

Q12アルコール検知器の測定数値を、点呼簿に記載する必要がありますか。
A12測定数値を記載する必要はありません。

Q13アルコール検知器の毎日の点検及び毎週の点検について、実施状況を記録しておく必要がありますか。
A13 記録する必要はありません。

Q14 食べたもの等にアルコール検知器が反応してしまう場合どのようにしたらよいですか。
A14 飲食物(ガム、発酵食品等)、たばこ等の影響によりアルコール検知器が反応することがあります。
この場合には、運転者にうがいをさせる、少し時間をおいてから再度測定する等により、対応してください。

しかしながら、アフターシェーブローション、入れ歯安定剤など、体に付けるものでアルコールを含むものに反応することもあるので、運転者は、これらについてもアルコールを含まないものを使用するなど注意しましょう。

Q15 飲食していないにもかかわらずアルコール検知器が反応してしまいますがどうしたらよいでしょうか。
A15 飲食していなくても、Q14で回答したように、口の中に飲食物が残っていたりするる場合がありますので、運転者にうがいをさせる、少し時間をおく、アルコールを含まないものを使用するなどの対応を行ったうえで、再度測定してください。それでも反応する場合は、アルコールが体内に残っている可能性がありますので乗務させないようにしましょう。
しかしながら、アルコール検知器によっては、疾病により体内から発生するアルコール以外の物質(糖尿病患者の体内で産生されるケトン体、体内で発生した発酵ガス)に反応することがあるとされているものがありますので、明らかに酒気を帯びてないと考えられる場合は、医師に相談しましょう。
医師の検査・診断において、疾病により体内からアルコール以外で検知器が反応する物質が発生している可能性があるとされた運転者については、当該疾病の状況が安全運転に悪影響を及ぼさないことを確認した上で、点呼時の酒気帯びの有無の確認においては、アルコール検知器の検知結果にかかわらず、運転者の顔色、声の調子、酒の臭い等から総合的に判断し運行の可否を決定する必要があります。

 

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