アルコールインターロック

 

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飲酒運転防止条例

 

千葉県の報告書、アルコールインターロックに言及するも、条例には入れるかは微妙。 

2021.9.12

千葉県が報告書を公表しました。
『飲酒運転の根絶に向けた対策等に関する検討結果報告書』

https://www.pref.chiba.lg.jp/seikouan/koutsuuanzen/jikoboushi/inshu/torikumi.html

あらかじめお断りしておきます。
八街市に関する「詳細」の情報は、ほとんどございません。そのかわり、なぜ八街市の事件が起きたのか、腑に落ちる、衝撃的な内容が多々あります。

 

驚きその1 ワースト1 10年で4回

千葉県の飲酒運転が全国でも多いという認識はありました。でも、ここまでとは知りませんでした。
飲酒死亡事故については10年で4回ワースト1だったという。

八街市の事件だけではなく、成田市の飲酒運転含め、起きるべくして起きた飲酒運転死亡事故、と言うほかない事実です。

驚きその2 実は、対策の真っ最中であったこと。

さすがにここまでのワースト状態に対して、千葉県の交通安全関係者が何もしないはずもなく、専門部会による対策がすでに始まっていたのです。その、矢先、真っ最中でした。関係当事者の皆様は、今回の事件やご遺族に対し、いかほどの思いであるか? 何とも言えない思いです。

「痛恨の極み」

とは、まさにこういう事件を起こさないための対策の真っ最中であったということにおいて、の言葉です。

 

報告書 冒頭 1 背景及び目的 より

「千葉県における飲酒運転による交通事故の発生状況は、近年、全国ワースト上位で推移しているほか、令和元年中の飲酒死亡事故件数は、全国ワースト1位を記録するなど、極めて憂慮すべき状況にある。
現状を打開するためには、飲酒運転の発生実態等を詳細に分析した上で、官公庁、関係機関・団体等が連携して、飲酒運転の根絶に向けた対策及び有効な取組等を推進する必要があることから、令和3年1月に、千葉県交通安全対策推進委員会の下部組織として、千葉県交通安全対策推進委員会飲酒運転根絶部会(以下「専門部会」という。)を設置し、検討を開始した。

その最中の令和3年6月28日、八街市において、下校途中の小学生児童の列に飲酒運転のトラックが突っ込み、児童5名が死傷する大変痛ましい交通事故が発生した。

飲酒運転の根絶に向けた対策を検討中の出来事であり、痛恨の極みといわざるをえず、一刻も早く、飲酒運転の根絶に向けた、より一層の対策等を講じていくことが必要である。

 

驚きその3 事故数と、検挙者数のギャップ

他県との比較の情報がないのでわかりませんが、「事故減少」「検挙者増」、日本全国では検挙者は減少であるのと比べると、極端に検挙者が増えているように見えます。

驚きその4 飲酒運転幇助罪、ハンドルキーパーが、ここまで認識されていないとは。

道路交通法65条の、飲酒運転の本人以外の罪である「飲酒運転車両に同乗すること」「くるまで来ているひとにお酒を提供すること」「お酒を飲んでいるひとにクルマをかすこと」、ここまで一般市民の認知が低いというアンケート結果に驚きました。

イ 飲酒運転で検挙された場合、罰せられる可能性がある人は誰か(「Q2、複数回可」)。
①運転者
②同乗者
③車両を提供した人
④お酒を提供した人
⑤運手者以外はいない

ハンドルキーパー運動の認知度を確認した結果、回答者の「39.1%」が「知っている」と回答。

ハンドルキーパー運動の認知度は、半数に満たないことが判明したことから、取組の更なる拡充に努める必要がある

 

驚きその5 再犯者は、少ない!

本県において発生した飲酒運転による交通事故の実態調査を実施したところ、事故当事者の再犯率については、過去3年間で「6.7%」にとどまり、顕著に高いとは言えない。

これは、意外な事実でした。

報告書中の対策に

イ 運転者対策の推進
具体的対策(案②) アルコール依存症対策
【目的】
飲酒運転を繰り返すという行為の背景には、常習飲酒者、多量飲酒者、自らの飲酒行動をコントロールできなくなるアルコール依存症といった、アルコールに関連する問題の存在が指摘されている

とあります。

飲酒事故者はほぼ初犯者だということですから、この「再犯者は6.7%」という統計は、「飲酒運転を繰り返すという行為は、事故数には現れない」ということになりますね。

という意味で、この再犯率が低いという結果がありながら、いきなり、常習飲酒運転者対策として依存症対策が案②に出てくるのは、違和感があります。

あるいは、「免許証を持たない潜在飲酒運転者」「無免許者による飲酒運転」という、飲酒運転のもうひとつの真実を本格的に調査する必要が出てきているのかもしれません。

ちなみに、無免許運転検挙者は、2万人近くいます。

無免許飲酒運転の数は、ITRRDAの資料からは、91件と出ています。昨年の飲酒運転死亡事故を200件とすると、5割近くが無免許飲酒運転ということになります。

免許を持っていなくても、車両を所有、使用している人の、何と多いことか。
アルコールインターロックよりも、そもそも「運転免許証インターロック」という施策こそ、飲酒運転を含むその他事故を防ぐ有効な手立てかもしれません。将来、運転免許証の違反状況の行政データの統一化が進めば、技術的には、遠隔停止すら、可能ですしね。

 

驚きその6 「飲酒運転者」(事故無し)へのアンケートが抜け落ちている

報告書中のアンケートには、重要な情報が語られていません。
それは「飲酒運転したひとの心理・動機・飲酒習慣等」です。

八街市の事件が起きたあとでも、十数人いたと思われる飲酒運転検挙者に、しっかりと向き合って、その心理・動機解明の情報を取って欲しかったと思います。

昨今の風潮として、常習飲酒運転者→依存症の問題、と、短絡的に、安易に、流れている気がします。

また、久里浜アルコール症センターと神奈川県警察との共同研究(2008)において、神奈川県警察が実施している運転免許取消処分者講習受講者のうち飲酒運転経験者を対象としたAUDIT(スクリーニングテスト)を実施した結果、アルコール依存症の疑いの者は約4割に達し、アルコール依存症と飲酒運転との相
関関係が明らかとなった。

確かに、4割は依存症が疑われるひとというのはわかりましたが、それ以外の6割は、どういう人物像で、どういう理由で飲酒運転をしたのでしょうか。

2008年以後も悲惨な飲酒運転が起きているこの「2020年代の飲酒運転者」、人物像やいかに?

 

飲酒運転の背景・動機は、もっと、「単純な、反社会性」とか「単なる知識不足(青少年教育」等、多様な気がします。

対策もまた、ありきたりな啓発や、依存症対策一辺倒(受診にこないひとたちが結局多い)ではすまない状況にきていると思います。

驚きその7 アルコールインターロック 条例案に入らなさそう

2012年の国土交通省「呼気吹き込み式アルコールインターロック技術指針」があるのですから、県の条例で、飲酒運転違反者へ装着義務を課せばすむ話なのですが、これだけの事件が起きてもそうならないようです。

条例でアルコール依存症であるかの受診義務を科せるわけですから、同じように義務を科すことができると思います。6月の事件が起きた千葉県だからこそ、日本発のアルコールインターロック条例に踏み込むのかと思いきや、違うようなのです。

【参考事項】
・アルコール・インターロック装置の普及に向けた取組の推進については、令和3年6月28日、八街市内において発生した飲酒運転による交通死亡事故の発生を受け、同年7月1日付け、国土交通大臣宛の「要望書」への一項目とした。

https://www.pref.chiba.lg.jp/seikouan/koutsuuanzen/jikoboushi/inshu/documents/houkokusyo3.pdf

「普及」にむけた「取組」の「推進」。

そしてまた、「機運」がトーンダウンする歴史が繰り返されるのあろうか。。