国土交通省のメールマガジンを発行しているひとも、愕然としたことでしょう。
(3)大型トラックの酒気帯び衝突事故①
7月5日(月)午後9時頃、山形県の国道において、秋田県に営業所を置く大型トラックが運行中、道路中央部に設置されているセンターポールに接触した。
この事故による負傷者はなし。
事故後の警察の調べにより、当該大型トラック運転者の呼気からアルコールが検出されたため、道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで逮捕された。
メールマガジン「事業用自動車安全通信」第614号(R3.7.9) より
・秋田県の事業所に勤めるトラックドライバーの運行中の事故(単独)。
・午後9時頃・・。秋田県の事業所の出庫時刻は何時だったのでしょうか? それとも、どこかからの帰りでしょうか・・
・義務化されているアルコール検知器は、なぜ役に立たなかったのでしょうか?
・点呼(対面もしくはITもしくは電話)は実施されたのでしょうか? 午後9時なので、二日酔いという時間とも思えません。
・この運行(ドライバー)を点呼したのは、運行管理者? 補助者?
・当該ドライバーの飲酒習慣(auditの点数等)はどうだったのでしょうか?
・当該ドライバーは、大型運転歴何年の「プロ」だったのでしょうか?
また
・警察による呼気アルコール検知器の結果数字は、どれくらいだったのか?
(濃度数値は、残酒なのか。故意の飲酒なのか、多量飲酒者なのか? 日常の飲酒行動や飲酒習慣の認定に必要な事実なので)
今後、このような事実を、メールマガジンの内容には含めていただきたいです。
八街の事故から、10日たたずに。
白ナンバーが、という報道が一部あるようですが、プロドライバーとして指導監督を受けながら・・
国道交通省の事業用自動車総合プラン2025をもとに、先日、トラック業界でも「トラック業界のプラン2025」を掲げました。このなかでも当然、トラック業界の飲酒運転防止施策が掲げられています。
千葉県の事故からわずか、10日。緑ナンバー事業者は、身を引き締めていたはずであろう、その矢先。
(1)全ト協が作成した「飲酒運転防止対策マニュアル」の活用およびセミナー等による啓発活動
(2)事業用トラックが関係した飲酒運転事故事例等の周知
(3)飲酒運転根絶に向けた各都道府県の取り組み事例にかかる情報の共有化
(4)飲酒運転根絶に向けたリーフレット等啓発資料の作成・周知
(5)アルコール検知の不正行為防止および測定結果の確実な記録体制整備
「啓発」「資料作成」「周知」「共有」「体制」・・・・。
そもそも、今回のケースも、本当に点呼が機能していたのか、そこを知りたいです。
検知器の問題なのか? 点呼の問題なのか? 飲酒指導なのか? 個人の資質管理なのか?
白ナンバーのことを言っている場合ではない。
「啓発資料つくってます」や、「見ない事業者側が悪い」とはよもや思っていないと思います。この期に及んでは。
今年に入り、本誌では、「飲酒運転ゼロ」のために、以下を提言し続けています。このような制度を実施すれば効果的ではないでしょうか?
1. 記録型のアルコール検知器の結果を定期的に運輸支局か県トラック協会局へ提出することを義務づける
2. クラウドアルコールチェックの仕組みで、運行ごとに、運輸支局または県トラック協会へリアルタイムでデータ送付することを義務づける
3. 飲酒事故が発生した事業所は、行政指導として、「アルコールインターロック」装置の全車両装着を義務づける。
4. 点呼実施の証拠が残る「点呼機器の設置」を義務づけ、点呼データの提出を3年間義務づける
5. 指導や教育の問題であれば、「飲酒教育の実施と記録保存」を義務づける
とにかく、再発防止するにあたっても、公開されている事実が少なすぎますし、制度改革にあたっても、起きている事実の収集が粗っぽすぎます。
上記の1~5は、ごく一般的な、典型的な、IT技術・デジタル技術の利活用にすぎず、行政が基本とるべきEBPM:Evidence-based-policy-making)の考え方であるはずです。
<ヘッドライン写真と本文は直接の関係はありません>