ライドシェア

 

第三次交通政策基本計画

 

第三期交通政策基本計画パブリックコメント。地域公共交通✕地域物流=貨客混載制度こそ、人口減少社会の最適シェアリングエコノミーでは? 

2025.12.21

(注意! この記事は長いです。9割が審議会データ配置という構成です。が、しかし、自動運転、ライドシェア、MaaS、遠隔点呼、貨客混載、というキーワードでビジネスを考えている方にとっては見逃せない資料ばかりです。)

日本の人口減少は明らかで、当然地域の姿も交通も流通も変わってゆきます。

来年から第三期の交通政策基本計画(R8~R12)が始まります。
今年度の交通政策審議会の公開資料をいちど整理しておきます。

第二期 交通政策基本計画

2021から2025年の計画です。2026年から第三期が始まります。

出典 国土交通省 第2次交通政策基本計画について(令和3年度~令和7年度)
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_tk_000161.html

以下、第三期 交通政策基本計画を策定する過程での主要な審議会、その資料を見てみたいと思う。

第1回 交通政策審議会陸上交通分科会自動車部会・交通体系分科会物流部会 合同会議(2025年4月24日)

https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s303_butsuryu201.html

より

○ 自動運転はいきなり最上位を狙うのか、既存技術をしっかりやりながら最終的にレベル4に上げる流れを作るのかが見えづらい。レベル2や3でもまだ普及しておらず、まずはそれらがどの程度問題解消に繋がるかを議論してほしい。

○ レベル4の自動運転サービスに関する許認可手続が複雑であり、見直しが必要。現行制度では道路運送車両法及び道路交通法に加え、道路運送法又は貨物自動車運送事業法に基づく手続が必要だが、自動運転サービスでは判断項目が重複したり相互の関連性が強くなったりしてくるため、関係法令間の連携を強化し、合理化を図るべき

○ 合同小委員会では、物流と旅客を一緒に議論し、ウィン・ウィンになるような検討を進めるべき。自動運転技術や安全性は物流・旅客で基本的には共通。自動運転に関しては物流の方が先行する可能性もあり、合同小委員会で様々な方策が検討されることを期待

○ 赤字経営の事業者が多いため、持続可能性に課題を感じた。今回の改革は産業の再構築に近い形になるのでは。既存の事業者がうまくスライドできるような基盤づくりが重要。

○ トラックのドライバー不足に危機感を持っている。自動運転は有用な手段だが、長距離輸送の両端ではドライバーが必要な点や、長距離輸送はトラック輸送全体の2割以下である点を踏まえ、どの部分でどう使えるかしっかり見据えて検討する必要がある。

○ トラックの自動運転のビジネスモデルにおいて、トラック会社が自ら特定自動運行実施者になるのは困難であり、専門の事業者に委託する形になるだろう

○ 自動運転技術が進展する一方、旅客運送における安全・安心の議論はより慎重に行うべき。高齢化に伴う車内人身事故の増加傾向を踏まえ、自動運転車への保安要員の同乗など総合的な対策が必要。
○ 自動運転の時代になっても、車内事故防止など日本ならではの安全性への配慮を世界に示せるよう議論を進めてほしい。

○ 旅客と物流を一緒に考える議論がタクシーに寄っている気がする。バスの貨客混載は実際に行われており、今後は特に長距離輸送をする高速バスを使った貨客混載も議論に加えてほしい。

○ ドライバーのシェア(物流と旅客のシェア、バス・タクシーによる荷物輸送、物流車両による一時的な旅客輸送など)の可能性も検討すべき。

○ タクシー配車に係るアプリ料金の設定が富裕層向けとなっている。一般の生活者や急病等で困っている人が利用しにくくならないよう料金面も配慮すべき。
○ 仲介の適正化・効率化で規制を取っていくことになると思うが、タクシーアプリの例で旅行業法が必要かなど、不要な規制を取っ払う議論もしていいのではないか。

第1回 交通政策審議会陸上交通分科会 自動車部会・ 交通体系分科会物流部会 合同小委員会 (2025年6月23日)

第2回 交通政策審議会陸上交通分科会自動車部会・交通体系分科会物流部会 合同小委員会(2025年9月8日)

以下、違う審議会だが、上記と関係あり。

令和7年度第1回(第24回)交通政策審議会交通体系分科会地域公共交通部会(2025年6月27日)

令和7年度第2回(第25回)交通政策審議会交通体系分科会地域公共交通部会(2025年8月25日)

 

令和7年度第3回(第26回)交通政策審議会交通体系分科会地域公共交通部会(2025年9月29日)

令和7年度第4回(第27回)交通政策審議会交通体系分科会地域公共交通部会(2025年12月16日)

第三期交通政策基本計画

上記のような審議状況が以下の部会で集約されます。

そして。

パブリックコメント10月31日
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=155250107&Mode=0

同時に審議が行われていた、社会資本整備計画(第六次)もパブリックコメント実施。


パブリックコメント10月31日
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=155250106&Mode=0

 

第55回計画部会(2025年11月28日)で、結果が整理され、審議されています。

意見が おとなしい表現に概略化されていますが、ほんとうはもっと辛辣な意見なんだと思う。

今後5年の未来像。

個人的に第三次交通政策基本計画(案)をみての感想。

 ・日本版ライドシェアという言葉を、うまく葬り去りましたね。5年計画書に3箇所しか出てこない程度。タクシー業界の搦め手見事なり。タクシー業界の勝ちですね。しかもちゃっかりタクシー自動運転施策が入ってるという。

 
 ・人口減少時代における定年延長✕車両あまり=貨客混載 
  まさに社会資本(ヒト・クルマ)の整備をシェアリングエコノミー的に制度化する妙手也。

そしておそらく、「グループ企業外、異なる業種間 遠隔点呼」も実現するだろう。第三者点呼受委託(事業者以外の点呼受委託)よりも前に。