国土交通省航空局では半期ごとに航空輸送の安全に関する分析レポートを公表しています。そして毎年秋に安全白書として年鑑にまとめています。
最新R5年度(2023年4月~2024年3月)版が11月6日に出ました。
2019年以降、航空の飲酒基準(飲酒のルール、検知器使用の義務等)が出来たことにより、お酒に関するインシデント報告も義務化され、結果、具体的な課題や改善方向性が見えやすくなっています。
P11
- 航空法第 111 条の 4 の規定による報告の概況
(1) 安全上のトラブル等の報告制度
中段以降にこのような説明があります。
航空機乗組員の不適切な飲酒に係る一連の事案の発生を受けて設置した「航空従事者の飲酒基準に関する検討会」による「中間とりまとめ」(平成 30 年 12 月 25 日公表)及び「航空従事者の飲酒に関する基準について」(平成 31 年 4 月 9 日公表)を踏まえて、平成 31 年 1 月 31 日から安全上のトラブルとして報告の必要な航空機乗組員の飲酒に係る不適切事案の範囲を拡大するとともに、令和元年 7 月 5 日から新たに客室乗務員、運航前整備を行う整備従事者、操縦士との通信を行う運航管理従事者の飲酒に係る不適切事案についても安全上のトラブルとして報告を求めることとしました。
航空機乗組員が酒精飲料の影響で正常な運航ができないおそれがある状態で航空業務を行った事態は従前より安全上のトラブルとして報告が義務付けられていましたが、「航空従事者の飲酒基準に関する検討会」による「中間とりまとめ」を踏まえて、平成 31 年 1 月 31 日から、
・航空機乗組員が酒気を帯びた状態で飛行勤務を行ったことが確認された事態
・航空機乗組員がアルコール検査を適切に行わずに飛行勤務を行った事態
・航空機乗組員が運航規程に定められている飲酒禁止期間内に飲酒を行った事態
についても報告を義務付けることとしました。
「アルコール事案」
飲酒関連は以下のような総括表として報告されています。「アルコール事案」という部分に注目ください。
今年度は23件。前年65件からぐっと減りました。
ここではパイロットなのか、客室乗務員なのか、整備士なのか、運航管理者なのか・・「アルコール事案」を引き起こした当事者ごとの件数が掲載されています。(アルコール検査に引っかかった件数ではなく、検査漏れや記録漏れなど、関連問題の総数です。誤解なきよう・・)
航空アルコール事案、ケース分析すると・・
上記報告書の別冊として、「航空法第111条の4に基づく報告一覧」というものがあります。いろいろな安全上のトラブルが報告されている中に、アルコール事案も報告されています。社名もあります。
Fact sheet of 航空分野の飲酒インシデント
別冊のインシデント一覧から、5年分のアルコール事案をまとめてみました。
アルコール事案全体の数です。規制は成果をあげていると言えます。
アルコール 検出事案です。ゼロを達成しています!
別冊文書からは「誰が」という当事者・主語の省略が多く「不明」としています。
報告書式、分析表現を定型にしたほうがよいと思う。
手順が複雑となり、運用上、勘違い、ミスが出やすいことが「不適切」多発の原因のように見えます。今回の改正パブリックコメントもこのあたりが重視されたのかもしれません。
みなさん、如何でしたでしょうか? 航空業界の飲酒事案。
まだあるの? ずいぶん減ったね! などなど・・・どっちのご感想でしょうか?
全209件
過去186件と今回23件を加えた、5年分の飲酒インシデント一覧表。
一部、独断と推測で類型化したデータもあります。参考にとどめておいて下さい。
以下、ダウンロード可。
(当社(東海電子)のお客様事案もあります・・が、公表情報なので、申し訳ございません、そのまま会社名を消さずにしておきます)
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2024.12.27
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2024.12.18
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2024.12.18
米国FAAの薬物・アルコール規制強化案。このタイミングこの内容、日本の国土交通省航空局のアルコール規制に影響を与えるか?
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2024.12.12