飲酒運転

 

法務省とアルコール数値。

2024.12.12

本年2月から法務省の ”自動車運転による死傷事犯に係る罰則に関する検討会” で 危険運転への厳罰化が討議されています。

現在同法の構造概略はこのようになっています。

第一条定義
第二条危険運転致死傷アルコール・薬物
スピード
運転技能ナシ
あおり運転
あおり運転(高速道)
信号無視
通行禁止区域
第三条危険運転致死傷アルコール・薬物
病気(てんかん、統合失調症)
第四条過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱
第五条過失運転致死傷
第六条無免許運転による加重

https://laws.e-gov.go.jp/law/425AC0000000086

アルコール、薬物、てんかん、認知症? 無免許、ひび、「危険な運転」で殺人と言ってもいい事件が起きてきた歴史があります。

 

■2021年2月 大分の194キロで1名死亡させた事故
https://www3.nhk.or.jp/lnews/oita/20241128/5070020097.html

■2015年3月 長野県佐久市 飲酒運転で中学生を死亡させた事故
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20241031/1000110564.html

■2023年2月 宇都宮市160キロ超でバイクに追突1名死亡させた事故
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20241010/1000109861.html

■2024年5月 群馬県伊勢崎 トラックが飲酒運転で3名死亡させた事故
https://www3.nhk.or.jp/lnews/maebashi/20241016/1060018228.html

危険運転致死傷罪が施行してからも「それが過失なのか?」に疑問がわく裁判が増えており、遺族の動きも活発化し、法務省も動いたかたちです。

簡単に言うと、いざ裁判になると加害者は

「飲んでいたのは認めるけど、まあまあ上手く まっすぐ 走れていた。過失だ」
「スピード出していたのは認めるけど、うまく制御出来ていた。過失だ」

的な、このような 家族を殺されたひとからすると、納得できるはずのない主張をし、ときには裁判所も「そうだね」となってきたことが多かった。そういう話です。

1年間の議論の結論が出たようです。

第3 検討の結果
1 危険運転致死傷罪(法第2条)の構成要件の見直し
⑴ 飲酒類型(法第2条第1号)
危険性・悪質性の高い飲酒運転による死傷事犯について実態に即した処罰を可能とするため、法第2条第1号の「アルコール(略)の影響により正常な運転が困難な状態」について、傷害罪・傷害致死罪に匹敵する危険性・悪質性を有する行為を重く処罰するという危険運転致死傷罪の罪質を前提としつつ、構成要件を明確化して適切な運用を確保する観点から、アルコール医学の知見等を踏まえ、個人差や心身の状況にかかわらず一律にこの要件を満たすといえる数値基準を規定することが考えられる。

数値基準を規定する

これは、本人の自覚症状(酔ってない、正常だったとの主張)にかかわらず、血中・呼気中アルコール濃度で一律に「正常じゃないね」とすることを意味しています。

○ 個人差や心身の状況にかかわらず「正常な運転が困難な状態」といえる一定の数値以上のアルコールを身体に保有する状態で自動車を走行させる行為を一律に処罰対象とすることを検討すべきである
といった意見が述べられた。
このような意見に対しては、
○ 第6回会議のヒアリング結果を踏まえても、日常的な経験則に照らしても、個人差や心身の状態を凌駕して一律に正常な運転が困難な状態に当たるといえる血中アルコール濃度を設定することは困難であり、数値基準の導入は慎重に検討すべきである
との意見も述べられたものの、
○ 第6回会議のヒアリングにおいて、アルコールが運転能力を阻害する程度は、基本的に人種や性別にかかわらず血中アルコール濃度に対応するものであり、その濃度が高まるにつれて脳への抑制作用が広がる結果、運転能力を低下させる症状が順次生じる旨の説明があったことを踏まえると、これに依拠して一律に正常な運転が困難な状態に当たるといえるアルコール濃度を規定することが可能ではないか
○ このようなヒアリングで得られた知見は、国際的な研究成果やWHOの基準を踏まえた科学的知見であり、信頼に足りるものであるといった意見が大勢であり、
○ ドイツでは、刑法における道路交通危殆化罪の運転不能状態の要件について、判例上、一定の数値以上の血中アルコール濃度であれば絶対的運転不能とする準則が確立しており、参考となるとの意見もあった。

その上で、具体的な規定の在り方については、
○ 数値基準については、呼気1リットルにつき0.5ミリグラム(血液1ミリリットルにつき1ミリグラム)以上とする、呼気1リットルにつき0.25ミリグラム(血液1ミリリットルにつき0.5ミリグラム)以上とする、さらには、呼気1リットルにつき0.15ミリグラム(血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム)以上とするといった選択肢が考えられる

○ 第6回会議のヒアリング結果を踏まえると、数値基準を下回る場合にも「正常な運転が困難な状態」といえる場合があり得ることから、現行の「正常な運転が困難な状態」の要件は維持し、数値基準は「正常な運転が困難な状態」の一類型を例示するものとして規定することが望ましいといった意見が述べられた。

事故時の血中アルコール濃度、呼気中アルコール濃度、採取しわすれたり、採取方法間違えたりしたら警察も大変なことになりますね。