”eラーニング通達”とは何か? 10月1日の”貨物軽eラーニング通達”と、4月の運行管理者eラーニング通達から見る、今後の「指導監督告示1366号・1676号のeラーニング」のゆくえ。
2024.12.9
ee物軽講習eラーニング通達とは何か?
先般、
自動車事故報告規則等の一部を改正する省令案等に関する意見募集の結果について
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&Mode=0&bMode=1&bScreen=Pcm1040&id=155240931
このパブリックコメントが終了しました。
このパブコメにおいては、貨物軽安全管理者講習をeラーニングで受講させる際のルール明文化案が示されておりました。
(5)e ラーニング方式による講習等の実施に関する遵守事項(貨物軽講習 e ラーニング通達関
係)
① 登録貨物軽自動車安全管理者講習機関等は、講習等を e ラーニング方式で実施する場合、
(1)①の登録に際し、その実施方法を記載した書類も提出することとする。
② 講習等の実施前に、運転免許証、個人番号カードその他の書類により、講習等を受講しよ
うとする者であることを確認することとする。
③ e ラーニング方式による講習等を修了した受講者に対し、容易に改ざんすることができな
い電磁的方法により修了証明書を交付することとする。
④ e ラーニング方式による講習等の受講が可能な期間につき、あらかじめ 30 日間の期間を
指定することとする。
⑤ システムに不具合が発生した場合、当該不具合を修正する体制を構築することとする。
⑥ システムに不具合が発生した際の対応や講習項目の内容等について、受講者からの問い合
わせに対応できる連絡体制を整えることとする。
⑦ システムの不具合等により講習等を実施できなくなった場合は、代替講習等の実施など、
受講者に対する救済措置を速やかに講じることができる体制を構築するものとする。
⑧ e ラーニング方式による講習等の開始から終了まで、以下に掲げる要件を備えたシステム
により実施するものとする。
・ 生体認証符号等を使用する方法により確実に個人を識別する機能を有すること。
・ 講習等の実施前に、(5)②により確認した受講者を、顔認証機能等をはじめとする生
体認証符号等を使用した方法により認証できた際に、講習等を開始することができるもの
であること。
パブコメ終了をもちまして、正式に 軽貨物安全管理者全般の規則が公表されました
貨物軽自動車運送事業における安全対策を強化するための制度改正についてhttps://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha02_hh_000665.html
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk2_000172.html
このなかにある、この部分。eラーニング とありますね。
正確には
”貨物軽自動車安全管理者講習等の内容をICT 機器により自動で配信する場合の取扱いについて”
コレが 貨物軽eラーニング通達 の正式名称のようです。
通達文書です。
どちらかというと、「eラーニング システム 要件定義」に近いです。
本人確認(虚偽、なりすまし防止)や電子的な受講証明など、運用、運営面のルールですね。
運行管理者eラーニング通達とは何か?
これもまた eラーニング通達と言えましょう。
今年の6月の通達。バス、タクシー、トラック運行管理者講習の方です。
整理すると・・。
運行管理者 | 軽貨物安全管理者 | |
---|---|---|
運行管理者の講習義務 | (貨)輸送安全規則第二十三条 (旅)運輸規則 第四十八条の4 | 貨物自動車運送事業法 第三十六条の二の3 |
eラーニング通達文書名 | 指導講習の内容を ICT 機器により自動で配信する場合の取扱いについて | 貨物軽自動車安全管理者講習等の内容を ICT 機器により自動で配信する場合の取扱いについて |
1.実施計画の提出 | e ラーニング講習の実施においては、従前の、講師と受講者が対面で行う講習(以下「対面講 習」という。)と同等のサービスを受講者へ提供すること、対面講習と同等の効果を得られる動画を配信すること及び ICT 機器の適切な管理・運用等が求められることから、国土交通省令(※)において国土交通大臣に提出することとされている申請書を提出する際に、以下の「2.実施にあたっての留意事項」及び「3.システム要件」を踏まえた e ラーニング講習の実施方法を記載した書類も提出すること。(※)旅客自動車運送事業運輸規則(昭和 31 年運輸省令第 44 号)第 47 条の9第4項において準用する同令第 41 条の2第2項及び第 41 条の5第2項、貨物自動車運送事業輸送安全規則(平成2年運輸省令第 22 号)第 18 条第4項において準用する同令第 12 条の2第2項及び第 12 条の5第2項 | e ラーニング講習の実施においては、講師と受講者が対面で行う講習等(以下「対面講習」という。)と同等のサービスを受講者へ提供すること、対面講習と同等の効果を得られる動画を配信すること及び ICT 機器の適切な管理・運用等が求められることから、国土交通省令(※)において国土交通大臣に提出することとされている申請書とあわせて、以下の「2.実施にあたっての留意事項」及び「3.システム要件」を踏まえた e ラーニング講習の実施方法を記載した書類を提出すること。 (※)貨物自動車運送事業輸送安全規則(平成2年運輸省令第 22 号)第 48 条第1項から第3項及び第 50 条 |
2.実施にあたっての留意事項 | (1)e ラーニング講習により実施することができる講習の種類は、基礎講習及び一般講習であること。 (2)講習の開始から終了までを、以下の3.に掲げる要件を備えたシステム(以下、単に「システム」という。)により実施することができるものであること。 (3)講習実施前に、運転免許証、個人番号カード(行政手続における特定の個人を識別する ための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)第二条第七項に規定す 別添る個人番号カードをいう。)その他の書類により、講習を受講しようとする者であることを確認するものであること。 (4)e ラーニング講習を修了した受講者に対して、容易に改ざんすることができない電磁的方法により修了証明書を交付するものであること。 (5)e ラーニング講習の受講が可能な期間について、あらかじめ30日間の期間を指定するものであること。 (6)システムに不具合が発生した場合に、当該不具合を修正する体制を構築すること。 (7)システムに不具合が発生した際の対応や講習項目の内容等、受講者から問い合わせがあ った場合における受講者との連絡体制を整えること。 (8)システムの不具合その他の理由により講習を実施できなくなった場合は、代替講習の実施等、受講者に対する救済措置を速やかに講じることができる体制を構築すること。 | (1)講習等の開始から終了までを、以下の「3.システム要件」に掲げる要件を備えたシステム(以下、単に「システム」という。)により実施することができるものであること。 (2)講習等の実施前に、運転免許証、個人番号カード(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成 25 年法律第 27 号)第2条第7項に規定する個人番号カードをいう。)その他の書類により、講習等を受講しようとする者であることを確認するものであること。 (3)e ラーニング講習を修了した受講者に対して、容易に改ざんすることができない電磁的方法により修了証明書を交付するものである (4)e ラーニング講習の受講が可能な期間について、あらかじめ 30 日間の期間を指定するものであること。 (5)システムに不具合が発生した場合に、当該不具合を修正する体制を構築すること。(6)システムに不具合が発生した際の対応や講習等の項目の内容など、受講者から問い合わせがあった場合における受講者との連絡体制を整えること。 (7)システムの不具合その他の理由により講習等を実施できなくなった場合は、代替講習等の実施など、受講者に対する救済措置を速やかに講じることができる体制を構築すること。 |
3.システム要件 | (1)生体認証符号等(個人の身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換した符 号その他の申請を行う者を認証するための符号をいう。以下同じ。)を使用する方法により 確実に個人を識別する機能を有すること。 (2)講習実施前に、2.(3)により確認した受講者を、顔認証機能等をはじめとする生体認証符号等を使用した方法により認証できるものであること。 (3)3.(2)により受講者本人が認証された場合において、講習を開始することができるものであること。 (4)講習実施中は、顔認証機能等をはじめとする生体認証符号等を使用した方法により、受 講者本人及びその受講態度を、定期若しくは不定期に検知及び認証できるものであること。 (5)講習実施中、受講者に、居眠り、離席、他のウェブサイトの閲覧等、不適切な受講態度が確認された場合は、動画を停止する機能を有すること。 (6)未視聴部分の動画について、受講者が早送り(倍速再生等を含む。)・スキップ等の操作をすることができないものであること。 (7)配信される動画は、明瞭な音声、映像により配信されるものであり、受講者が目視等に より確実に内容が認識できるものであること。 (8)前各号に掲げるシステム要件については、すべて、システムにより自動で配信・制御等 がなされるものであること。 | (1)生体認証符号等(個人の身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換した符号その他の申請を行う者を認証するための符号をいう。以下同じ。)を使用する方法により確実に個人を識別する機能を有すること。 (2)講習等の実施前に、2.(2)により確認した受講者を、顔認証機能等をはじめとする生体認証符号等を使用した方法により認証できるものであること。 (3)前号により受講者本人が認証された場合において、講習等を開始することができるものであること。 (4)講習等の実施中は、顔認証機能等をはじめとする生体認証符号等を使用した方法により、受講者本人及びその受講態度を、定期若しくは不定期に検知及び認証できるものであること。 (5)講習等の実施中、受講者に、居眠り、離席、他のウェブサイトの閲覧等、不適切な受講態度が確認された場合は、動画を停止する機能を有すること。 (6)未視聴部分の動画について、受講者が早送り(倍速再生等を含む。)・スキップ等の操作をすることができないものであること。 (7)配信される動画は、明瞭な音声、映像により配信されるものであり、受講者が目視等により確実に内容が認識できるものであること。 (8)前各号に掲げるシステム要件については、すべて、システムにより自動で配信・制御等がなされるものであること。 |
4.実績等の報告 | 「旅客自動車運送事業運輸規則に基づく運行の管理に関する講習の認定に関する実施要領」 (平成 24 年国土交通省告示第 458 号)第9条第2号及び「貨物自動車運送事業輸送安全規則に基づく運行の管理に関する講習の認定に関する実施要領」(平成 24年国土交通省告示第459 号)第9条第2号の規定に基づき、毎年度5月 31 日までに講習の実施結果を報告することとなっているところ、当該報告時に、別紙様式に従い、e ラーニング講習の前年度実績について記載のうえ提出すること。 | 「講習等の内容及び実施に関する基準並びに講習等の講師に関する研修の種類等を定める告示」(令和6年国土交通省告示第 1195 号)第5条第2号の規定に基づき、毎年度5月 31 日までに講習等の実施結果を報告することとなっているところ、 当該報告時に、別紙様式に従い、e ラーニング講習の前年度実績について記載のうえ提出すること。 |
じゃあ、ドライバー向け eラーニング通達はあるのか?
・・・ないですね。
ドライバー向けの教育の規則は、いまでも告示1366号(貨物)と1676号(旅客)。
上記eラーニング通達のような、eラーニングのシステム要件や、教材定義やルールについては特にないです。
項目は厳格に決まってます。
1366号 一般項目 |
(1) 事業用自動車を運転する場合の心構え |
(2) 事業用自動車の運行の安全を確保するために遵守すべき基本的事項 |
(3) 事業用自動車の構造上の特性 |
(4) 貨物の正しい積載方法 |
(5) 過積載の危険性 |
(6) 危険物を運搬する場合に留意すべき事項 |
(7) 適切な運行の経路及び当該経路における道路及び交通の状況 |
(8) 危険の予測及び回避並びに緊急時における対応方法 |
(9) 運転者の運転適性に応じた安全運転 |
(10) 交通事故に関わる運転者の生理的及び心理的要因並びにこれらへの対処方法 |
(11) 健康管理の重要性 |
(12) 安全性の向上を図るための装置を備える事業用自動車の適切な運転方法 |
いわゆる12項目ですが、eラーニングでできる(効果的である)項目もあればそうでない項目があるかもしれないですね。
集合教育が適切(効果的)な場合もあれば、ひとりで集中してやるのが適切(効果的)場合もあるでしょう。
eラーニング=効率的 かもしれませんが、「効果的(安全感度向上やKYTテクニック向上)」かどうかはわかりませんね・・・。
指導監督告示で重要なのは、効果を出すための 手法、工夫の、の部分でしょうか。
配慮工夫 | (1) 運転者に対する指導及び監督の意義についての理解 |
配慮工夫 | (2) 計画的な指導及び監督の実施 |
配慮工夫 | (3) 運転者の理解を深める指導及び監督の実施 |
配慮工夫 | (4) 参加・体験・実践型の指導及び監督の手法の活用 |
配慮工夫 | (5) 社会的情勢等に応じた指導及び監督の内容の見直し |
配慮工夫 | (6) 指導者の育成及び資質の向上 |
配慮工夫 | (7) 外部の専門的機関の活用 |
なお、現在の指導監督告示の実施については
となっている。法定記録の電磁義務はあるが、実施方法についての規定は特にない。
さて、市場には 指導監督のeラーニング商品が多くあるようです。事業者の導入、活用も進んでいるようです。トラック協会でも推してますよね。
ドライバー向けeラーニングについては、上記「管理者向け」受講義務とは違って、配信システムの要件や、受講証の定義等、厳格な定義をしていません。
告示の12項目を満たし、その実施記録があれば何でもいいわけです。
でも、重要なのは、結果ですよね。つまり、事故数。教育実施記録がカンペキでも、事故が起き続けるような状況であっては結果が出ているとは言えません。
eラーニングの「効率性」は間違いなく高いと思います。表現や手法もウェブマンガ、VR等、テクノロジーの進展にあわせて イロイロ出てきています。
このまま厳格な要件なく、楽しく学べてかつ「効果(結果)」に繋がるものが増えるといいですね~。
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