ストレスチェック

 

労働安全衛生法

 

ストレスチェック義務化は、50人以下の事業所に広がるか?

2024.8.16

 

 

読者のみなさまにおかれましては、運行管理者のみならず、衛生管理者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今日は、2015年から始まった、いわゆる「ストレスチェック義務」制度の今後についての話です。

 

岸田総理の 置き土産?

 

2024年の骨太方針によると、ストレスチェックに関して動きがあるような感じです・・。

P8。

(多様な人材が安心して働き続けられる環境の整備)
多様な人材が能力を発揮しつつ、安心して働くことができるよう、高齢者の活躍に取り組む企業の事例集の展開、高齢者の労働災害防止のための環境整備を推進するとともに、ストレスチェック制度を含むメンタルヘルス対策を強化する。(以後省略)

 

もともと2015年の開始時点から、しばらくしてから制度を見直すことになっていたようです。昨年2023年時点から検討会で審議されています。

 てな感じで。

 

よくわからないけど、小企業にも広げよう!?

 

3月から始まり、ほぼ毎月 審議しているようです。

 

さて、何を審議?

 

論点。7月26日時点、最新の状況。

義務化についての意見 イロイロ。

① ストレスチェックの義務化
以下のとおり、50人未満の事業場へのストレスチェックの義務化を検討すべきとの意見、50人未満の事業場へのストレスチェックの義務化の検討には課題があるとする意見があった。

○ 精神障害の労災認定件数やメンタルヘルス不調者がいる事業場割合が増加傾向にあること、労働者の8割強が職場生活で強いストレス、不安を抱えていることなどから、メンタルヘルス対策の一層の強化が必要。事業所規模が小さくなるほど対策の実施割合が低いことから、小規模事業所における対策強化が必要。①

○ 労働者であれば事業場規模に関わらず、同様の制度が適用されるのがあるべき姿。事業場規模によって取り扱いが異なる事項は解消を図り、50人未満の事業場におけるストレスチェックの義務化を検討すべき。①

○ 2014年2月に諮問答申された安衛法改正の法律案要綱では、全ての労働者にストレスチェックの実施が義務付けられていた。三者構成による合意事項であったことの重みを踏まえるべき。当時、いったん政労使で合意したことは重要なファクトであり、当時と今日において、大きな状況変化がなければ、一度合意をしていることについて、改めて認識を共有し、全労働者に対象を拡大することを検討すべき。①

○ 2016年の第186回の国会の衆議院・厚生労働委員会で「産業医の選任義務がないなど、体制が整備さ
れていない小規模事業場では情報管理等が適切に実施されないという懸念により、従業員50人未満の事業場については、当分の間は努力義務とするという特例を設けた」と答弁された。50人未満の事業場へのストレスチェック実施の義務化を検討するに当たっては、当時の懸念が解決されたか等が大きな判断
要素になる。②

○ 50人未満の事業場へのストレスチェックの義務化は、労働者のプライバシー保護の問題、人的リソー
スの問題で、課題が大きい。②

○ 個々の企業ルートでストレスチェックを実施することが中小企業で可能か。個々の企業ルートではなく、業界か、地域か集団的な方法で実施していくようなことは考えられないか。 ②

○ WHOメンタルヘルスガイドラインも、予防に関してはリスクの軽減を重視。ストレスチェックもリス
クの軽減のためのツールとして対象範囲を広げるのは合理的であり、50人未満の事業場に広げていく方向でいかがか。 ③

○ 小規模事業場は、メンタルヘルス対策は個別性が高いことを踏まえると、ストレスチェックの義務化ではなく、地産保の充実、活用が大事ではないか。 ③

○ 小規模事業場の労働者のこころの耳のストレスセルフチェックの活用も有効であり、現実的な取組ではないか。 ③

○ 現在は、50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施割合を令和9年までに50%以上とすると
いう14次防の目標に向けて努力しているところであり、その後の検証の中で、例えば業種で、こういったことが対応可能といったことが見えてくると思う。この目標を周知し、支援していきたい。 ③

○ 50人未満の実施体制がとれないところで実施していくのは大変ではあるが、こころの耳を周知するの
でいいのではという話もあったが、義務化していくことも大事である。労働者が高ストレスであること
を気付いて、自分の事業場では手を挙げず、クリニックに来た事例もある。労働者は精神的なストレス
を意識していないので、高ストレスに気付き、自覚し、受診につながる良い事例もあるので、どの部分
をどのように下ろすのか検討してほしい。 ③

○ 12次防(2013~)まで遡り確認したところ、ストレスチェック制度導入以前より、小規模事業場のメ
ンタルヘルス対策は課題とされており、この10年間対策はあまり進展していないことは明らか。今ある対策を深めると言ってもどのような対策があるのか。有効な対策が見出せないのであれば、ストレスチェックの義務化を契機にメンタルヘルス対策の取組を推進強化していくべき。 ③

私見。

○ 小規模事業場は、メンタルヘルス対策は個別性が高いことを踏まえると、ストレスチェックの義務化ではなく、地産保の充実、活用が大事ではないか。 ③

地産保の充実、活用…

無理じゃないすか?

誠に失礼ながら、産業医の制度とメンタルヘルス対策の効果について、評価は? 文献は?
ストレスチェック実施者と産業医はきちんと連携しているのか?

ギモンでございます。

50人未満事業所にストレスチェックを義務づけた場合、衛生管理制度や産業医制度は どうなるのでしょうかねえ。こちらはいじらずに? 

50人未満も義務化してデータを集める。今後のよりよい制度のために。

10年後の議論のために、厚生労働省がデジタルガバメントを標榜するなら、小規模事業者のデータを責任をもって集められる制度にすべきだと思う。

この半年4回の検討会で報告されている内容が、ここ10年のすべてだとしたら、あまりにもデータが少なすぎて話しにならないと思う。

データに基づき政策決定するなら「50人未満」事業所の義務づけが必要だと思う。将来のために。

で、結局、57問を80問に変更するだけ、になったりして?