2024年4月1日からの貸切バスの点呼関連規制強化により、運輸規則の点呼条項に次の内容が加わりました。(赤文字部分です)
5 旅客自動車運送事業者は、第一項から第三項までの規定により点呼を行い、報告を求め、確認を行い、及び指示をしたときは、運転者等ごとに点呼を行つた旨、報告、確認及び指示の内容並びに次に掲げる事項を記録し、かつ、その記録を一年間(一般貸切旅客自動車運送事業者にあつては、その内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第二十六条第一項において同じ。)を三年間)保存しなければならない。 一 点呼を行つた者及び点呼を受けた運転者等の氏名 二 点呼を受けた運転者等が従事する運行の業務に係る事業用自動車の自動車登録番号その他の当該事業用自動車を識別できる表示 三 点呼の日時 四 点呼の方法 五 その他必要な事項 |
6 一般貸切旅客自動車運送事業者は、第一項から第三項までの規定により点呼を行つたときは、その状況を録音及び録画(電話その他の方法により点呼を行う場合にあつては、録音のみ)して電磁的方法により記録媒体に記録し、かつ、その記録を九十日間保存しなければならない。 |
7 一般貸切旅客自動車運送事業者は、第一項、第二項及び第四項の規定によりアルコール検知器を用いて運転者の酒気帯びの有無について確認を行うときは、当該確認に係る呼気の検査を行つている状況の写真(当該運転者を識別できるものに限る。)を撮影して電磁的方法により記録媒体に記録し、かつ、その記録を九十日間保存しなければならない。ただし、当該状況を前項の規定により録画する場合はこの限りでない。 |
出典:e-gov 旅客自動車運送事業運輸規則 第24条 点呼
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=331M50000800044
デジタル点呼データの漏れ、アルコール検査写真保存忘れ、行政処分はどれほど?
本件のパブリックコメントが終わりまして。3件しか意見がなかったようです。概ね妥当な規制ということなのでしょうか。
ということで、4月1日から、次のような行政処分基準に改訂されています。
改正 | 点呼 | 内容 | 行政処分 (初違反) | 行政処分 (再違反) |
---|---|---|---|---|
運輸規則第24条第4項 | アルコール検知器備え義務違反 | 60日車 | 120日車 | |
運輸規則第24条第4項 | アルコール検知器の常時有効保持義務違反 | 20日車 | 40日車 | |
運輸規則第24条第5項 | 1 記録なし又は記録の保存なし | 40日車 | 80日車 | |
運輸規則第24条第5項 | 2 記載事項の不備 | 警告 | 10日車 | |
運輸規則第24条第5項 | 3 記録の改ざん・不実記載 | 60日車 | 120日車 | |
新・行政処分 | 運輸規則第24条第6項 | 記録なし又は記録の保存なし | 警告 | 10日車 |
新・行政処分 | 運輸規則第24条第6項 | 記載事項の不備 | 警告 | 10日車 |
新・行政処分 | 運輸規則第24条第6項 | 記録の改ざん・不実記載 | 60日車 | 120日車 |
新・行政処分 | 運輸規則第24条第7項 | アルコール検査状況の写真記録義務違反 記録なし又は記録の保存なし | 警告 | 10日車 |
新・行政処分 | 運輸規則第24条第7項 | アルコール検査状況の写真記録義務違反 記載事項の不備 | 警告 | 10日車 |
新・行政処分 | 運輸規則第24条第7項 | アルコール検査状況の写真記録義務違反 記録の改ざん・不実記載 | 60日車 | 120日車 |
運輸規則上で気をつけなければいけないのは、「改ざん」系です。
時にはうっかり、もあるでしょう。「あ、写真撮り忘れた」とか「録画し忘れた」とか。
でも、慌てないでください。モレ・ヌケに気づいたときは、素直にそのままにしておくべきです。
1000点呼中の1発のモレで、警告になるわけでもないですから。
「かいざん」だけは御法度です。余計なことは絶対にしてはいけません。
故意犯ですので、重くなるだけですから!
警告(ヌケモレ系)<60日車(改ざん)
まあ、そもそもやりたい放題だった「手書き点呼簿」。この考え方がなくなり、デジタルになったことで、改ざんのハードルが相当上がりました。そんなに「デジタル改ざん」をやる人が出てくるとは思いません。
貸切バス(一般貸切旅客自動車)の行政処分等に関する関係通達
https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03punishment/data/transmittal_r104.pdf
(本記事執筆2024年4月7日時点では、このリンクにある行政処分別表に上記6項、7項の処分基準は反映されていませんでした)
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