地域公共交通

 

ライドシェア

 

自家用有償運送事業

 

岸田首相かく語りき。『ライドシェア事業に係る法制度について、6月に向けて議論を進めます』。

2024.1.30

 

 

あらためて、ライドシェアやってゆくと宣言。

第213回の国会、岸田首相が施政方針演説で、あらためてライドシェアについてこう言いました。

特にライドシェアの課題については、地域の自家用車や一般ドライバーを活用した新たな運送サービスが、四月から実装されるよう、制度の具体化と支援を行います。これらの施策の実施効果を検証しつつ、ライドシェア事業に係る法制度について、六月に向けて議論を進めます。

2023年1月30日 第二百十三回国会における岸田内閣総理大臣施政方針演説より

 

『制度の具体化』とは、昨年12月の中間答申のP6~P10のことです。

P9とP10抜粋しまーす。

【今後の検討課題】
1  諸外国の最新のライドシェア関連制度等を踏まえた検討 OECD加盟38か国中25か国でライドシェア(一般ドライバーが自家用車を利用して容易に有償運行が可能であり、かつ、変動運賃を利用できる事業であって、現地法制上は「タクシー」とされているものを含む。)が制度化され、広く提供されているという指摘も踏まえ、また、各国におけるライドシェア事業の規制等の実態や制度アップデートの経緯を踏まえる必要があること。

2  ライドシェア事業者に対する徹底した安全対策のための規制の導入 以下の各事項を含む徹底した安全対策をライドシェア事業者に義務付ける必要があること。
・ ライドシェア事業者が利用者に対する直接の法的責任を負うこと(直接の法的責任を負わない仲介行為の禁止)
・ ドライバーの事前審査、事故歴確認義務、健康診断書の確認、自賠責保険・任意保険の確認
・ ドライバーの事後審査(苦情の適切な処理、レーティング機能等)
・ 事業者による保険加入義務 ・ 事業者によるドライバーの運行管理(遠隔点呼(デジタル機器等を活用したアルコール呼気検査や検温による健康チェックを含む)、稼働時間管理、運行管理者、相互評価(レーティング))
・ 性犯罪対策(犯罪歴審査、乗車中の緊急通報体制等)
・ アプリを活用した記録保持義務(GPSによる運送の開始・終了地点や時間、料金、距離等を記録 等)
・ 自家用自動車の要件(ドライブレコーダー等)

3  新たな働き方の尊重、副業・兼業の推進 ドライバーとライドシェア事業者との契約関係について、ドライバーの相当数は諸外国と同様に、副業・兼業としての就労が予想され、また、そうしなければ、必要なドライバー数を確保できない可能性が高いことを踏まえ、雇用に限らず、業務委託を含め、個人が「好きな時に好きなだけ」働ける制度設計とすること。また、その際、いわゆる「ワーキングプア」を生むのではないかとの懸念に十分に配慮すること。

4  自由度の高い料金規制 必要に応じて現行ハイヤーに対する料金規制の緩和を行い、ライドシェアとハイヤーとのイコールフッティングを確保すること。

5  地域・時間帯・台数の不制限 ライドシェア事業について、運営可能な地域・時間帯の制限をかけず、また、事業に利用する自家用車の台数制限をかけないこと。

6  その他 ライドシェア事業を実施するに当たって、我が国の生産年齢人口が大幅に減少しつつあることを踏まえ、これまでの人口増加を前提とする利害調整のための会議を各地域で行うことを義務付けないこと。

 加えて、ライドシェア事業に関するものではないが、タクシー・ハイヤーのドライバーを十分に確保するため、また、自家用有償旅客運送を含む他旅客事業とのイコールフッティングを実現するために、タクシー会社に係る運転手との契約に関する規制について見直し、業務委託契約も可能にすることも含めて検討される必要がある。

 

もうコレ、条文構成 出来てますよね。。

 

1月30日 ライドシェア調査がR6年度予算に新たに計上された。

本日1月30日、北陸能登半島地震を受けて増額された予算ほか、その他調整された予算案が国会に提出されました。

どうやら、ライドシェア新法がらみの予算が増えたようです。

といいますのも、昨年8月の概算要求では、下記のとおりライドシェア予算など入っていませんでした。
 

令和5年8月の概算要求より
 

こういう内容でしたが・・・本日1月30日の 国会提出案では、 

  
金額と内容に変更がありました。

 
「多様な移動手段に関する調査」

ライドシェアっていう言葉を使うのを控えたようですが、いわゆるライドシェア調査のことですね。
補正予算がつきました。これでやるのでしょうね。

・海外における多様な移動手段確保に係る先進的な事例の調査
・諸外国の多様な移動手段の先進的な事例を具体化させるにあたっての制度構築に係る現状及び制度内容に関する調査
・多様な移動手段を総動員するに際して、整理が必要となる論点や関連する既存制度を整理
・具体的な制度改正の要否や対応の方向性を検討

 

こんなナガレ?

今後1年、こんなイメージでしょうか・・。

1)2024年3月末 第213回国会 予算通過成立
2)2024年4月初 検討会立ち上げ、第一回開催(ライドシェア一部解禁)
3)2024年5月末 第二回検討会
4)2024年6月中 第三回検討会
5)2024年6月末 第四回検討会(最終案)
6)2024年7月初 令和7年 政府予算方針
7)2024年8月  令和7年 国交省概算要求にライドシェア新法予算計上
8)2024年9月  第214回 臨時国会「デジタル旅客利用運送事業法(ライドシェア法)提出
9)2024年10月 各種規則・通達改正・パブコメ連発(自家用有償運送事業関連)
10)2025年2月 第215回 国会 新法 可決。
11)2025年4月 新法施行。

 

 

地方の成長も後押しするため、二〇三〇年訪日客六千万人、消費額十五兆円を目指します。その際、一部の地域・時期への偏在によるオーバーツーリズムを未然に防止し、全国津々浦々に観光の恩恵を行き渡らせるため、観光地・観光産業の高付加価値化と地方部への誘客を強力に推進します。

もし6000万人が実現すると、1.2億の人口は、実質1.8億の「ひと」が日本の国土に滞留・滞在していることになります。

人口減少の地域の足を確保しつつ、人口増(滞留滞在人口)エリアの足を増やしてゆくには、自家用車ドライバーの存在は、避けては通れない道ではないかと。

 

ライドシェアというピースなしで、地域公共交通のデザイン(パズル)を完成させるのは不可能だと思う。
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_tk_000055.html

ピースがか欠けた状態で、すでにマスタープランを着く始めている自治体がいると思われます。
本来この法律と同時に議論されるべきだったので、実質、ライドシェア新法議論は、1年遅いとすら思う。