ライドシェアの件です。
昨年11月30日の第3回 地域産業活性化ワーキング・グループ で、こんなアンケート結果が掲載されておりました。
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2310_05local/231130/local01_02.pdf
主に、「地域公共交通会議」体(仕組み)や、そこに参加する交通事業者に対する不満が赤裸々に語られています。匿名だと、正直な意見が出ますね。以下、抜粋します。
9 何を決めようとしてもそして住⺠にとって⼤切なことが⾻抜きになる。したがって、どんなに改善を施してもこの会議が残る限り焼け⽯に⽔である。むしろ78条2号の中⾝をいじるよりは、3号の課⻑通知を充実した⽅が地⽅は使いやすい。
24 タクシー議連の議員からのプレッシャーを感じる。タクシー協会の権益と被りそうな分野について議論すらさせない圧⼒を感じる。このような実態を知りながら地域公共交通会議に任せるのは、国交省による実質的な既得権への配慮だと感じる。
55 近隣市町村と福祉有償運送運営協議会を設置しているが、市町村ごとに問題意 識や課題に⼤きな乖離があるため、協議を整えることが困難になる。
77 地域の交通事業者が全くいない、もしくは極めて少ない場合は導⼊がスムーズにいくと思うが、バス、タクシー事業者がいる場合は導⼊を認める協議が難しい。
88 路線バス、タクシーとも運転⼿不⾜のため、住⺠や観光客のニーズに応えられない。⾃分たちがニーズに応えられないにもかかわらず、特にタクシー会社の抵抗が強い。
96 制度の建て付けが限定的過ぎて、応⽤が効かない。またニーズに対して⼿を打つにしても「地域公共交通会議」、「運営協議会」などの合意形成に時間と⼿間がかかりすぎ、迅速かつ効果的な⼿が打てない。どころか場合によってはタクシー会社からの反発で本当に必要な⼿が打てないケースもあった。使いづらい限定列挙的な制度は後回しにして、フレキシブルな⼿を打てる制度に⼒を⼊れていただきたい。そうでもしないと地域が「移動できない街」になってしまう。この制度誰を守るためのものなのかを今⼀度原点に返って考え、住⺠が⼼地よく移動でき、暮らし続けられる地域にしていくための制度に作り変えるときである。
98 交通空⽩地帯対応、福祉輸送対応いずれも「関係者の協議」「登録」そして実施という⼿順に時間がかかる点が問題。しかも交通事業者も含めての協議をすることで、本当に必要なところに必要な⼿を差し伸べられないケースが続出。結果的にタクシーやバスに気を使い、使いづらい移動⼿段に税⾦を使って作るという悪循環に陥っている。さらに、必要な時に必要に応じてエリアを広げたり、対象を広げたりできないため、突発的な需要増加に対応しきれない。あくまでもレアなケースに使える制度になってしまっていて、結果的には「使いづらい」ものになっている。現状は、タクシーのいない深夜帯や増加する外国⼈観光客に対応できるようなスキームが強く求められている。もっと⼿広く対応できる仕組みがいち早く望まれる
105 ①既存バス事業者等との兼合いがあり運⾏エリアを限定して運⾏しているが、エリア外への移動要望には対応できていない。 ②上記①に関連して、新規エリアの運⾏開始にあたっては、交通事業者と地元協議が難航した。 ③運⾏エリアは、観光拠点の中⼼地である城下町周辺から離れた⼭村部(過疎地⼜は同等地)であるため、観光客は対象外としている(観光の移動ニーズもほとんどない)。 ④運⾏主体(ドライバー等)は地域住⺠で⾏っているが、運⾏エリアが過疎地⼜は同等地で⼈⼝減少・⾼齢化しているため、ドライバーとなる⼈材の⾼齢化、⼈材不⾜が近い将来に発⽣する。 ⑤ニュースでライドシェアの導⼊などと聞くが、本来、移動に係る課題があるのは⼭村部である。⼭村部は、⾼齢化・⼈⼝減少で公共交通の空⽩地となっており、また、移動を担う⼈材もいない状況である。ライドシェアの導⼊の検討の余地があるが、そもそも⼈⼝減少が進む⼭村部には、ドライバーとなる⼈材も少ないことを考慮して制度設計していただきたい。まず、国⺠優先で検討いただき、タクシーが頻繁に往来している都市部の外国⼈観光客等の移動は、⼆の次で構わない
106 タクシーやバスなど既存事業者と協議を調えることは⾮常に難しい。地域公共交通会議等での協議を必須としている⾃家⽤有償運送制度は、事実上制度破綻を起こしている。 また、制度上、複数の⾏政区が連携して地域公共交通会議等を設置することも可能とはなっているが、これもまた⾮現実的である。 13 ⼀つの⾏政区内でも難しいことを、複数で連携することができるはずもない。 国は、現場の⼈々の暮らしや営みを体感し、⽴法事実を正確に把握するべきだと思う。
124 全国の⾃家⽤有償旅客運送の事例は交通空⽩地で、タクシー事業者が乗合許可を持っていないケースが多く、乗合をもつタクシー事業者がある⾃治体では参考とならない。また、事業者協⼒型⾃家⽤有償旅客運送の事例が乏しい。 ・タクシー事業者との共存を図るための具体的な⽅針・施策などを⽰してほしい。
126 当町はフルデマンド運⾏を実施しています。 区域内運⾏が⼤原則であるため、⼩規模の⾃治体に鉄道駅や⼤型病院・商業施設等が無い場合、隣接⾃治体へ乗り⼊れる必要があります。交通事業所との協議を調えることに特に困難を感じます。 ⾃分で乗降できなくなった、乗降できにくい利⽤者への対応、予約指定の時間場所に居られない⾼齢者等への対応に時間を要している。
128 当市では、交通空⽩地ではない地域で⾃家⽤有償輸送をできないかという要望をうけ、福祉輸送を⾏う⾃家⽤有償旅客運送の検討を令和4年度に⾏ったが、市内のタクシー事業者から営業を圧迫すること、安全⾯が懸念される等の理由により強い反対を受け、実施を⼀旦⾒送ることとなった経緯がある。地域からニーズはあっても、⾃家⽤有償旅客運送について既存のタクシー事業者から理解を得ることは困難と感じている。
130 ⾃家⽤有償旅客運送制度は導⼊・維持の事務や乗務員の募集に多⼤な労⼒を要することから、事務の簡素化、乗務員の報酬や運賃の弾⼒性を持たせることが求められる。当市においては昨年末をもって市内唯⼀のタクシー事業者が廃業し、市外の事業者に頼っており、タクシーを呼んでも時間がかかるといった問題が発⽣している。現在の道路運送法は規制が⾮常に厳しく、新規事業者の参⼊が難しくなっている。また、10⽉1⽇の改正でも協議運賃の協議が地域公共交通協議会から分離され、別途運賃協議会を設けて協議しなければならなくなるなど、事務が煩雑化している。ライドシェアを含めた規制緩和や事務の簡素化が急務である。
134 当市では地区を限定して、令和2〜3年度と2年間にわたる実証実験を踏まえ、令和4年度からは通年での本格運⾏(無償)を実施しております。しかしながらタクシー協会等からの要望を踏まえ、移動距離やエリア等、様々な制限を設けながらの実験でしたので充分な検証ができておりません。また、これまでアプリ限定で実施しておりましたが、⾼齢者が多い地域故に利⽤に伸び悩んでいました。そこで本年から電話対応を解禁したことで利⽤者が急増しました。そのことからニーズはあるとの⼿応えを掴んだところです。また無償で実施していたことも、⽇本⼈の特性上「タダでお願いするのは申し訳ない」との感情が先⾛っていることも利⽤率の低下を助 17 ⻑していました。よって来年度からは有償での実施を進める予定です。
146 交通空⽩地域におけるタクシー事業のサービス圏域で⾃家⽤有償運送を⾏う場合、タクシー事業者はサービス圏域であることから輸送サービスの提供が困難でないと主張し、難⾊を⽰すことから合意形成が難しい。 ・地域住⺠は利⽤料⾦が⾼いからそもそも⽇常の⽣活移動には利⽤しないという感覚がある。
153 ⾃家⽤有償旅客運送については、交通空⽩地の住⺠の移動⽀援を⽬的として、過去に導⼊しており、観光客の移動⽀援には繋がっていない。 また、導⼊にあたり、協議会では既存の運送事業者から⼀定の批判は出ていた経緯があるようです。
173 公共交通機関の利⽤が困難な⽅の「移動の⾜」として福祉有償運送の運営協議会を設置している。福祉有償運送登録事業者からは、国に⽰されているタクシー運賃の1/2を⽬安とした”営利と認めない範囲”の運賃では、事業の継続が困難であるとの声が寄せられており、課題の1つと捉えている。
189 当市では、中⼭間地域の公共交通空⽩地域に対して、移動⼿段のない住⺠の⽇常⽣活の移動の⾜を確保する⼿段として、⾃家⽤有償旅客運送を実施している。当該地域は、⺠間の交通事業者と競合がないため、地域公共交通会議で協議を調えることについて、⼤きな困難はない。しかし、観光地や市街地において⾃家⽤有償旅客運送を⾏う場合は、⺠間交通事業者と競合が発⽣することが想定される為、交通会議で協議を調える場合に困難が⽣じる可能性がある。
193 当市では、福祉有償運送とともにNPOにより交通空⽩地有償運送を実施しているが、特に交通空⽩地有償運送について ●降⾞・乗⾞区域の制限があることについて、ニーズを踏まえた更なる規制緩和(隣接町域・市域への乗降⾞等)をお願いしたいこと ●その場合、タクシー等の既存公共交通機関との競合が⽣じ、当該有償運送とタクシー等との相互発展を可能とする制度環境づくりが⼤切になってくる(※) このため、78条第2号を改正し運⾏主体に「タクシー等地域の交通事業者」も加えて、タクシー等の当該営業区域に限ってライドシェア有償運送を可能とする規制緩和をお願いしたいこと。 ①そうすることで、ライドシェアについては、NPO運⾏地域のそれとタクシー事業者による同営業区域におけるそれとで相互乗り⼊れをして共存共栄していく ②タクシー経営については、⼀の事業者においてタクシー部⾨と第2のビジネスモデルとしてのライドシェア部⾨とを両⽴させて、サービス品質に差異メニューを設けながら営業統括していく ことができ、NPO、タクシー間の相互発展、何より潜在化している利⽤者ニーズの掘り起こしが広くできる。 (※)交通⼿段が限定される地⽅地域にあっては競合による⼀⽅事業者の撤退と交通空⽩地化の懸念を避けるためには、NPO、タクシー等の両交通事業の相互発展こそ、利⽤者⽬線を起点とした解決⽅途であることはご理解いただきたい。 このように、法78条第2号の改正をお願いしたいが、 迅速にモデルケースを作り対応していく必要性からは、第3号の「公共の福祉の確保」のための運⾏主体の緩和(タクシー等にまで緩和することで万博等の公共性の⾼い観光確保の上で⽋かせない
268 現在策定中の地域公共交通計画について、今後、課題や施策を設定する際には、複数の⺠間バス事業者、タクシー事業者が運⾏している当市では、調整に時間を要することも想定しています。⾃家⽤有償旅客運送に関しては、現在導⼊していないこともあり制度の改善点について、申し上げることができませんが、導⼊によって、既存バス事業者の撤退を招きかねず、慎重な議論が必要だと感じています。当市では、⼈⼝の伸びが必ずしも路線バス利⽤者の増加につながっておらず、⾃家⽤⾞から路線バスへの転換を図る効果的な施策が必要と考えていますが、施策を展開できたとしても運転⼠不⾜によって路線の維持すら困難な状況が⽣じることが予想されます。運転⼠の給与や待遇⾯を改善することでの運転⼠確保が急務と考えます
「調う」は、撤廃される?
12月26日の中間答申では、
② 地域公共交通会議における協議を迅速化及び円滑化するため、地域の移動ニーズに対応した交通サービスに関する議論を始めてから、相当の期間を要してもなお結論への道筋に至らない場合には、首長の責任により判断できるようにすることで、道路運送法第79条の4第5号にいう「協議が調つ」たものと取り扱い得る旨を、「地域公共交通会議に関する国土交通省としての考え方について」(平成18年9月15日国自旅第161号。以下「地域公共交通会議に係る通知」という。)に追記、及び、これらを標準とする地域共交通会議に係る通知におけるモデル要綱を見直すなど、所要の措置を講ずる。「相当の期間」については、2か月程度を念頭に、年度内に地域公共交通会議に関する実態調査を行い、具体的な期間を決定する。
とされている。
無期限の『調う』は、袋小路に陥るので「2ヶ月程度で、問答打ち切り・時間切れ」とする改正が5月頃行われると思われます。