アルコールインターロック

 

第12次交通安全基本計画

 

なぜ20年たっても製品化されてない車内飲酒ドライバーモニタリングに期待する結論となるのか? 合理的なのか?

2026.10.31

第12次交通安全基本計画が4月に開始されてから3ヶ月後、アルコールインターロック装置・技術について、交通政策審議会陸上交通分科会自動車部会「技術安全ワーキンググループ」が、独自の意見を出している。

『交通事故のない社会を目指した今後の車両安全のあり方について』

https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s304_gijutsuanzen04wg.html

 

1年ほど前の審議会まで遡り、第12次交通安全基本計画の開始を経て、ここ(2026年6月30日)にいたる議論(資料)をいくつかピックアップしながら、最終的な「車両安全のあり方」の意見の妥当性を検証してみたい。

  

第一回 2025年12月25日

https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/jidosha10_sg_000093.html

まず、この事実が提示されている。断っておくが、「緑ナンバー」だけのデータではない。緑ナンバーも含むが、だいたいが一般ドライバーの飲酒運転事故である。

ASV関連の報告資料。

ここ数年、アルコールインターロックは「ASV」に位置づけられている。

 

自動運転。

論点の整理 資料より

「ドライバーモニタリングの性能向上・搭載拡大(眠気、脇見、飲酒検知)」

とある。また、「その他」に

「後付けを含むアルコールインターロック装置の効果的な活用策の検討」

とある。

この時点では、第12次交通安全基本計画は「案」であった。アルコールインターロックについては、この時点ではこのように言及されている。

 

イ 近年の交通事故実態を踏まえた先進安全自動車(ASV)の開発・普及促進先進技術を利用して運転者の安全運転を支援するシステムを搭載した先進安全自動車(ASV)について、産学官の協力による ASV 推進検討会の下、車両の開発・普及の促進を一層進める。
例えば、制限速度の超過や飲酒運転の対策として、道路標識注意喚起装置や後付けも含めたアルコール・インターロックの普及促進を図る。
 安全運転の責任は一義的には運転者にあることから、運転者の先進技術に対する過信・誤解による交通事故を防止するため、先進技術に関する理解醸成の取組を推進する。

上記のような資料つかって、どういう議論が行われていたのか、議事禄をみてみよう。

https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001978825.pdf

続いて、4ページ目をお願いいたします。こういった状況を踏まえまして次のような対策が考えられるのではないかとしております。それぞれ事故をより未然に防ぐというそれぞれの段階より先のものから並べているものでございます。まず運転支援技術といたしましては、やはりこういった安全運転を言っている状況もございます。そういった観点でドライバーモニタリング、こういったものが既に普及が始まってきておりますけれども、そういったものの性能を向上してその搭載を拡大するという方向性が重要ではないかと。ここには飲酒検知というのも書いてございます。なかなか難しいという話も聞いているのですけれども、今後に向けてはこういった飲酒状態を検知できるようなシステムを開発していく方向性もあるのではないかと考えております。

その他といたしまして、後づけを含むアルコールインターロック装置の効果的な活用策の検討を挙げさせていただいております。

 

第二回 2026年2月4日

https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/jidosha10_sg_000097.html

トラック協会より。
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001980571.pdf

 

バス協会より
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001983426.pdf

第1回WGの審議事項を踏まえた「今後の車両の安全対策」に関する各団体からの意見
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001980574.pdf

自工会は、公式にこう考えている。

ドライバー・モニタリングの飲酒検知技術は研究段階であり、血中濃度を絶対値で判定できるものはまだない。

犯罪や故意の事故(飲酒運転、スマホながら運転、子供の置き去り)に対しては、コスト負担や効果の迅速性を踏まえた慎重な検討が求められる

議事禄より。

次に、40ページで飲酒運転防止への対応でございます。この飲酒運転防止の技術は大きく3つあると考えております。これは世界的に見てベンチマークをしておるのですけれども、DADSS と呼ばれる自然呼気検知のもの、あとはドラモニによるもの、あと車両挙動で判別するものと。ただ、ドラモニと車両挙動というのは呼気中のアルコール量を直接計測するものではないので、飲酒運転との関わりは慎重に考えていかなければいけないと考えております。
あと、世界的にも行われているものは、やはり人対策がとても重要であろうということで、欧州のインターロックの違反者プログラムなんかも目的はリハビリテーションでされているということがございました。これはとても重要なことですので、我々もどういう技術が使えるかというのを注視しながら国際的に情報を集めているところでございます。

次に、飲酒運転防止への対応の補足なのですけれども、ここはぜひ新しいプロセスを加えていただけたらと考えております。1ポツ目は、飲酒運転は刑事罰の対象となる事案です。これらの悪意ある運転者を制御する技術を、ルールを守る大多数のユーザーに高コストで義務づけるということの妥当性が合理的に説明しづらいと苦心しております。NCAP、
車両基準として扱うべきか、法律・社会コスト、ユーザー受容性の3つの観点から車両安全対策検討会等において検討いただくのがいいのではないかと考えております。
なお、自工会は、事故被害に遭われたご家族様の要望については心中より理解しておりますことを付け加えさせていただきます。

これらの悪意ある運転者を制御する技術を、ルールを守る大多数のユーザーに高コストで義務づけるということの妥当性が合理的に説明しづらいと苦心しております。

そのとおり!

【岩貞委員】 意見が4つと質問が2つあります。
意見のほうが、まず26ページで、発展途上の技術は効果と負担のバランスを考え、お客様に迷惑をかけないというご意見がありましたが、迷惑をかけないのはイコールお金という部分もあると思います。それはアルコールインターロックにもすごく関わってくる話だと思っていて、やはり体質的に飲まない人、飲めない人までこれを装着した車両を買わせるようにするのかというのは検討していただきたいということで、では、誰につけるのかというところでも、一度飲酒事故を起こした方はもう飲まなくなる傾向にあるというのはデータでも以前見たことがあります。すみません、どこからのデータか覚えていないのですが。なので、ここは慎重に考えていただきたい部分だと国交省さんにお願いしたいです。先ほども車両の価格が上がっていると買換えが鈍るというご説明もありましたので、これによって買換えが鈍化するのであれば、やはり本末転倒も起こりかねないと思っています

一度飲酒事故を起こした方はもう飲まなくなる傾向にあるというのはデータでも以前見たことがあります。

ほんとかなあ! やはり再犯率のデータがないと(警察庁が公式に持たないと)、こんな意見がまかりとおる。

第三回 2026年3月25日

https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/jidosha10_sg_000101.html

交通政策審議会陸上交通分科会自動車部会技術安全ワーキンググループ報告書 骨子(案)

https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001993185.pdf

○ アルコール・インターロック装置の効果的な活用について、政府全体の関係施策との連携が重要。飲酒運転防止に資する車両安全技術として、ドライバーモニタリングシステムなどの開発を推進していくことが必要。

誰が「技術開発」「製品開発」するというの??

被害者家族の懸命な活動により厳罰化への動きが見えますが、警察庁による令和 6 年の飲酒運 転死亡事件は 140 件と前年より 28 件増加しています。飲酒運転根絶を「4車両の安全性確保」内に 「飲酒運転
根絶のための整備」などとし、アルコールインターロックなど飲酒を感知したらエン ジンがかからない装置を全車両に義務付けを推進していただきたいです。ドライブレコーダーが普及していることを考慮
すれば実現可能な対策だと考えます。飲酒運転は防ぐことができる犯罪です。年間 100 名以上の命が奪われることを予防できます。

「全車両」という言葉をご遺族がだせばだすほど、以下のロジックにはまる。

 

アルコールインターロック装置の全車両への義務化については、なりすまし防止策や、大半を占める飲酒運転を行わない車両所有者へのコスト負担増等の課題があることから、慎重な検討が必要と考えているが、引き続きアルコール・インターロックの普及促進を図っていく。

 

「全車両」ではなく「飲酒運転検挙者全員への装着」と言い換える必要が、戦略的に必要だと考える。

これまでの議論を見てもお分かりであろう。

巧妙に、「飲酒運転検挙者2万人」や、再犯率(のデータがないことの不都合)について触れていないのである。

この委員会は。

議事禄をみてもわかる。

https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001996170.pdf

それからアルコール・インターロック装置でございます。こちらも効果的に活用するためには政府全体の関係施策との連携が重要であると考えております。一方で、車両安全技術としては、ドライバーモニタリングシステムなど飲酒運転を検知するとか、そういった方向での開発を推進していくことも重要であろうと考えておりましてこのように記載をしているところでございます。

2点目は、被害者の家族からの依頼もありましたが、アルコールのインターロックというのは、確かに全部の車につけることを考えると不要ではないかと思うのですが、トラックで飲酒、焼酎の缶が転がった状態で運転して対向車に突っ込んでいって3人亡くなっているという事故もあると思うのです。この事故については最近裁判で有罪の判決も出ていたと思うのですが、こちらに参加されているバス協会とかトラック協会、こういった大きなところは多分社内的にちゃんと対応して運転手が飲酒状態で運転できない形で事業をされていると思うのですが、中小企業ではこのような協会に入っていないところもあるのではないかと思っていて、当該中小企業に対してどう効果的に対応するのかというのが質問になります。
それから、アルコール・インターロックも古い車両に対してどう対応していくのか。ドライバーモニタリングシステムが装備されている社有車であれば、アルコールチェッカーや顔が赤くなっているといった形で飲酒の検知が可能にはなるのですが、古い車に対してどうしていくのか、エンジンがかからないようにする等もネット上には書かれていると思うのですが、何か今現時点でアイデア等があれば伺いたいというのが2点目になります。

 

 

それから、トラックとアルコール・インターロックとの関係で、まずアルコール・インターロック装置につきましては、やはり車両法でこれを義務づけることはなかなか難しいと思っております。事業用自動車につきましては、これも現在見直しをしていると思いますが、事業用自動車の総合安全プランのほうで施策については取りまとめが行われているかと思っております。その上で車両安全対策という観点からは、まずはドライバーモニタリングシステムを長期的にやりつつ、短・中期的には事業用総合安全プランに掲げられているようなソフト面の対策、周知啓発、そういったものとの組合せで対応していくものと考えているところでございます。

【猶野車両基準・国際課安全基準室長】 飲酒運転対策やアルコール・インターロックについて補足をさせていただくと、今松坂が申し上げたとおりだと思っているのですが、やはり全ての車に対して、全てのトラックに対してアルコール・インターロックをつけるというのは、やはりなりすまし対策の問題、ほとんどの人、99%の人は飲酒運転していないにもかかわらず、その人たちにコストの負担をさせるのかという問題でなかなか難しいだろうと思っています。そういった中でやはりもう繰り返し飲酒運転をした人などの制裁として、そういった人に対してはアルコール・インターロックつきの車でないといけないという、全体の、例えば刑法的な方針があれば、その人の車にはつけられるようにするという策はあると思っています。そういった意味で、ここにも書かせていただきましたけれども、車両だけの問題というよりも、政府全体として飲酒運転対策をどうやっていくのかという1つのツールとしてアルコール・インターロックがあるのではないかと思っています。そういった中で政府全体の飲酒運転対策をやる中で、その一環としてアルコール・インターロックやドライバーモニタリングをどう活用していくかというのを考えていくべきなのではないかと思ってこう書かせていただいたところです

 

 

あと、アルコール・インターロックは今ご説明いただいた内容で理解しました。あと、先ほどもちょっとありましたけれども、検査後にすり抜けといいますか、飲んでしまうケースもあると聞いていますので、例えば車両の挙動から飲酒運転ではないかとか
推定するような技術もあるということも伺っていますので、幅広く技術を検討してもらうといいのではないかと思いました。

それから、アルコール・インターロック、飲酒運転対策でございます。こちらも先ほど猶野から説明があったように、政府全体の取組の1つとしての車両安全対策、アルコール・インターロック装置だと思っております。抑止力といたしましては今ドライバーモニタリングシステムを記載してございますが、先ほど廣瀬委員からコメントがありました車両の挙動でそれを未然に事故に至る前に止めるとか、そういった技術もあり得るかとも思っております。そういう意味で車両安全対策として何ができるかというところを引き続き考えていきたいと思います。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

第四回 2026年5月24日

https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/jidosha10_sg_000106.html

この時点では、「一般ドライバ-」よりも、トラックやバスの対策に、トーンが、すり替わっている。

再犯者と、再発防止と、予防安全が混同され、、「ゼロイチ」議論になっている。

議事禄より
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/002009888.pdf

84ページ目、飲酒運転対策というところで、こちらも複数ご意見を頂いておりました。特に大手ではなくて中小事業者の対策をどう進めていくのか。アルコール・インターロック装置というのがございますが、古い車に対してはどうやって取り組んでいくのか。それから、飲酒運転については幅広い技術を考慮すべきである。それから、事後の制裁だけで
はなくて抑止の観点でも検討していくべきであるというご意見を頂いておりました。
それを踏まえまして、報告書の中では当然人対策もやっておりまして、大きな効果がこれまで出ていると思っておりますが、依然としてそういった交通事故は後を絶たないということを踏まえまして、車両側での保護対策も重要であるとは考えているところでございます。
アルコール・インターロックにつきましては、今、事業用自動車を対象に、これは中小事業者も含む形ですが、かつ後づけ装置も含めて導入支援を行っているところでございます。今後これをさらに別の使い方をする、もしそういった検討をするに当たっては政府全体で連携していく必要があるのかなと考えております。この技術単体では、例えばこれを
全ての自動車に装着を義務づけるとなった場合にはコスト負担の問題もありますし、あと
運用面での課題もあります。そういったことも踏まえながら政府全体でどのように効果的
にこれを活用していくかというのは検討すべきであるとしてございます。
一方で、今後の飲酒運転対策につきましては、飲酒運転に特化した装置だけでなくて、通常の運転時においても安全性向上に寄与するような汎用性の高い技術の活用の可能性を検討すべきと。具体的にはドライバーモニタリングとかそういった技術を考えているところでございます。
そういった状況を踏まえまして、最後、「このため」の後でございますが、特に中小個人事業者が所有する事業用自動車とか、あるいは個人が所有する自家用自動車、こういったものの飲酒運転対策につきましては、これを単独の課題として捉えるのではなくて、先進運転支援技術とか車両安全技術の発展の中で考慮すると。飲酒の運転が疑われる場合には注意喚起とか運転支援の制御を行う。そういった総合的なアプローチを検討していくべきであるとしているところでございます

そしてこうなるのであった・・・

交通政策審議会陸上交通分科会自動車部会報告書(2026年6月30日)

○飲酒運転対策の推進
飲酒運転の撲滅に向けては、取締りや処罰、交通安全教育といった事後的・抑止的な「人」対策を中心として政府全体で対策が講じられてきた結果、飲酒運転による交通事故件数は大きく減少してきたものの、依然として、悲惨な交通事故は後を絶たない。

このような状況を踏まえ、「人」対策に加え、車両側で飲酒運転を物理的・技術的に防止する仕組みの導入を検討すべきである。例えば、アルコール・インターロック装置については、タクシーやトラック、バスといった事業用自動車を対象に、後付け装置を含め導入支援を行っており、安全管理体制の
一環として一定の効果を上げている。当該装置の更なる活用を検討するに当たっては、政府全体の飲酒運転対策の方向性を踏まえつつ飲酒運転を行う運転者は全運転者の中では限られた存在であること、実効性を確保するためには検知を回避しようとする不正行為への対応も求められるなどコスト負担や運用面での課題が存在することも考慮する必要がある。

こうした点を踏まえると、今後の飲酒運転対策においては、飲酒運転に特化した装置に加え、通常の運転時においても安全性向上に寄与する汎用性の高い技術の活用の可能性を検討すべきである。具体的には、蛇行や急加速・急減速といった運転挙動を検知・分析する技術や、カメラやセンサーを用いて視線の動き、まばたきの頻度、姿勢の変化等を把握するドライバーモニタリング技術等が挙げられる。これらの技術は、飲酒運転に限らず、居眠り運転や体調不良、注意力低下といった様々な危険状態の早期発見にも活用できるものであり、安全運転支援全体の高度化につながる可能性がある。このため、特に中小個人事業者が所有する事業用自動車や個人が所有する自家用自動車の飲酒運転対策については、これを単独の課題として捉えるのではなく、先進運転支援技術や車両安全技術の発展の中で考慮することとし、飲酒の影響が疑われる場合には注意喚起や運転支援の制御を行うなど、総合的なアプローチを検討していくことが重要である。あわせて、自動車メーカーや部品メーカー、研究機関等と連携し、技術の信頼性向上や誤検知の低減、社会受容性の確保に向けた開発を促進することで、「人」対策との両輪により、より実効性の高い飲酒運転防止対策を検討すべきである。

先進技術開発はしなければならないし、するが、「飲酒運転違反者・2万人検挙」を野放しにしていい理由にはまったくならない。

マジで2万人検挙者とはまったく関係なく行われる対策が、合理的・実効性が高いと言えるのだろうか?

ちなみに調べればわかることだが、2010年以後「ドライバー飲酒モニタリング」技術はささやかれるが、製品化されていないではないか? これを 誰が合理的に説明するのか? 

自工会も、製品化にはほど遠いと認めているではないか。