延期のあいだに増えた「やってみての意見by安全運転管理者」。対面無理ゲー&アルコール検知器アヤシい? 白ナンバーアルコール検知器義務化パブリックコメント結果を全件分析してみた。
2023.11.22
2年前のこと。あの千葉県八街市の事故から半年後、安全運転管理者制度におけるアルコール検知器の義務化の施行内容がきまり、パブリックコメントが実施されました。そのときの意見は87件、以下のような集計結果でした。
2年後、2023年12月1日施行(延期の終わり)決定時のパブコメ
いろいろありまして延期となっていましたが、今年8月に再開のパブリックコメント結果が公表されました。
上記文書にて警察庁は簡単に総括しておりますが、はたして実際の意見、トーンはどんなものだったのでしょうか?
この度、当社の担当の者が243件全件を警察庁で閲覧し、テキストに起こしてみました(閲覧も、転記も、公表も合法行為であることを確認済みです)。
やっぱりムリだ
対面義務(直行直帰、深夜も、休日出勤時も)は、2年前も今回も不評でした。
ただ2年前と違うのは、当時「ムリではないか?」という推測・見立てが多かったわけすが、今回は「実際まじめにやってみたが、本当にムリ」という実体験に基づいた意見がかなりあった、と言う点です。
今回あらためて「反対」を強く表明した方が多かったです。とくに、緑ナンバーとの比較、一般人の飲酒運転者の数との比較において、証拠統計もなく、かつ、制度的にバランスが悪い悪法である、と。
アルコール検知器協議会の認定機器に、疑義あり??
これまた前回との違いが出ました。
前回は、「アルコール検知器、要件がユルイ・アイマイ、大丈夫なのか?」という推測・見立てでしたが、今回は「実際使ってみたが、おかしかった」という意見が思いのほか多く見られました・・・。
ネットサイトでアルコール検知器協議会の五万円するアルコールチェッカを買いましたが、 自分で酔っている感覚があって顔も真っ赤なのにアルコールチェック結果は0.00だった。 高級品でもこんな状態の中、 時期尚早では?しっかり警察で調査して欲しい。
大量に入手したアルコール検知器協議会のアルコールチェッカーがエラーばかりで社内でクレームが出てい ます。 アルコール検知器協議会の話を鵜呑みにしないでエラーの出ないアルコールチェッカーの供給体制が 揃うまで延期してほしい。 本運用となったら社内で炎上案件になってしまう。
当社はチェッカー導入にあたり十数種類のチェッカーを購入して選定作業をしました。 しかし、 大多数が出鱈目な精度のものでした。 その中にはアルコール検知器協議会の認定品も含まれています。 安全運転管理者 の七割が必要台数のチェッカーを保有しているとのことですが、 本当に信頼できるチェッカーを保有しているのはひと握りと考えます。このまま本施行すれば警察が飲酒運転にお墨付きを与えることになりかねません。 急がずにしっかりとしたヒアリングを行なって体制を整えてから本施行とすべきと考えます。
広報資料を見ました。 アルコール検知器協議会の供給体制が整っているとのことですが、 我が社で確保したアルコール検知器協議会認証品のアルコールチェッカーはあまりに精度が悪く買い替えを検討しています。 安全運転管理者の7割がアルコールチェッカー確保済とのことですが、 同様に精度の悪いものを確保しているのではないでしょうか。 急いで施行をすると飲酒運転が横行することになりかねません。 アルコール検知器協議会および安全運転管理者への事実確認をしっかり行ってから施行時期を決めるべきです。 飲酒運転被害者を無くすためにも急がずにいま一度御再考ください。
アルコール検知器協議会製の検知器を買ったがアルコールを飲んでもゼロとでる。ちゃんと警察で取り締まってから実施すべき。
アルコール検知器使用義務化に先立って、 検知器の導入を行いましたが、 ある程度信頼のおける検知器メー カー (T社)の商品ですら、 1ヶ月経たずに故障してしまいました。まだ検知器が品薄になる前に購入していたものに関しては、長く使えているのですが、 同じ品番の商品でも 品薄になって以降に購入した商品は製造を急いでいるのか作りが甘いです。信頼のおける検知器メーカーの商品ですら上記のような状態ですので、 義務化の前に再度アルコール検知器 の製品の精度について見直すべきだと考えます。
当社(東海電子)もアルコール検知器協議会に加盟しており、認定を受けている機器を持っています。業界団体としては、まさに上記のような意見が出ないように認定制度をつくり維持してきたつもりでありました。また、当社としても積極的に認定機器を増やしていこうという方針を持っておりましたが、この1年で、見えないところでかなり信頼を失ってしまっているのではないかという事に、気付きました。
今回、上記のような意見が20件以上もあったことから、メーカーや業界は、DX!! とか、管理がラク!とか、そういう面ではなく検知器そのものの信頼性があってはじめて予防のシステム化やIT化が最良である、と自戒を込めないと行けないなと、強く思った次第です。
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