IT点呼・遠隔地IT点呼

IT点呼(2007年)

2007年。
プラン2009においてアルコール検知器の義務化が決まるその2年前。

貨物事業者運送事業輸送安全規則の改正において、「IT点呼」という概念が誕生しました。

「国土交通大臣が定めた機器」

「国土交通大臣が定めた機器」とは、営業所で管理する機器であって、そのカメラ、モニター等によって、運行管理者等が運転者の酒気帯びの有無、疾病、疲労、睡眠不足等の状況を随時確認でき、かつ、当該機器により行おうとする点呼
において、当該運転者の酒気帯びの状況に関する測定結果を、自動的に記録及び
保存
するとともに当該運行管理者等が当該測定結果を直ちに確認できるものをい
う。
<通達 貨物自動車運送事業輸送安全規則 解釈及び運用について 第7条点呼等>


点呼においてIT機器を使うこと自体は、世の中のテクノロジーの流れからいって、当然の考えでしょう。

が、当時、「アルコールチェックの結果が自動的に及び保存」という機能要件が盛り込まれたことは、画期的でした。

なぜか?

2011年 国土交通省令が定めた「アルコール検知器の性能要件」は

貨物自動車運送事業輸送安全規則第七条第四項の告示で定めるアルコール検知器は、呼気中のアルコールを検知し、その有無又はその濃度を警告音、警告灯、数値等により示す機能を有する機器とする

 ○警告音
or
 ○警告灯
or
 ○数値

表示に関しては、この3つのいずれかを満たせば良いという要件だったからです(2020年時点いまでもそうです・・)

つまり、IT点呼とは、対面点呼とは違い、「必ずアルコールチェックの日時が電子的に記録される」ことが担保される点呼なのです。

対面点呼は、アルコール検知の結果にも、自動的に保存という電子記録形式にも当時もいまも言及していません。

いま世の中では、「DX」という言葉が流行っているようです。

IT点呼とは、映像、通信、点呼結果およびアルコールチェックの結果デジタル保存、DXの基礎となる要素が法的に定義された、一大トピックであったと考えます。乗務日報が、デジタルタコグラフで電子化されたことと同じくらいのインパクトがありました。言ってみれば、IT点呼とは、「デジタル点呼グラフ」なわけです。

すべての点呼が、デジタル化、IT化されていれば、どんな事故も、Evidence-based な運行管理の実態分析が可能となり、真の再発防止につなげることができるでしょう。

しかしながら、現在、IT点呼というこの「点呼テクノロジー」は、「Gマーク制度」普及のインセンティブとして位置づけられています。
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk4_000013.html

2011年(車庫IT点呼解禁)

2007年から4年経過し、IT点呼の制度に、若干の規制緩和がありました。
「営業所と離れた車庫」は、2007年当時は、「対面」であり、電話点呼すらNGでした。

プラン2009により、IT点呼の要件緩和拡大の方針が明記され、結果的に、2011年、車庫IT点呼が解禁となりました。

<報道資料 2011年3月31日>
安全性優良事業所(G マーク認定事業所)に対するインセンティブの拡大について

https://www.mlit.go.jp/common/000139588.pdf


2016年(非Gマーク解禁・遠隔地IT点呼)

さて、2016年。
大きな緩和がありました。

 ○IT点呼はGマーク事業所のみ→Gマーク以外でもIT点呼実施OK(但し条件あり)
 ○遠隔地IT点呼(電話点呼のIT点呼化)

大きく2点。詳細は、こちらをご確認ください。
https://jta.or.jp/wp-content/themes/jta_theme/pdf/anzen_kisoku_kaitei20160706_1.pdf

2018年(バス、タクシーIT点呼解禁)

IT機器を用いた点呼の適用範囲を拡大!!~バス・タクシー事業でもIT点呼が実施可能となります~

https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha02_hh_000339.html


ようやく緩和となりました。
が、車庫と営業所間のみの、IT点呼です。

貸切バス事業者やタクシー事業者は確かにトラック事業者のように複数拠点をもつ企業は少ないです。しかしながら、いないわけではないですし、路線バスにいたっては基本複数営業所があるため、運行管理者の負荷軽減観点で、IT点呼のニーズは潜在的に高いと考えられます。

https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03safety/resourse/data/construction_ryokaku.pdf

プラン2030がそろそろ策定されるようですので、IT点呼、遠隔地IT点呼のバス・タクシーへの全面解禁(トラックと同等のルールにしてしまう)は、盛り込まれるべき施策であろうと期待しております。

このページでは、対面点呼、電話点呼、IT点呼、共同点呼等、点呼にまつわる話題を中心に取り上げてゆきます。

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