遠隔点呼、業務前自動点呼、業務後自動点呼、事業者間遠隔点呼・・・。
いずれも、「運行管理者不足を補う」であるとか、運行管理者を営業所同士で「シェアリング」することで不足を補う、といった状況に対応すべく作られた制度(もちろんそれだけが目的ではないが)。
一方で、
「運行管理者が、不足している」
「運行管理者は、足りている」
これらの実態を表すデータが実は乏しい。
「不足か否か」という全数調査を、誰もしたことがないのだ。
国交省も、業界団体も。
全業種 更新制であれば5年に1回は状況が分かるかもしれないが。
運行管理者数(バス編)
バスを見てみよう。

H21からすると、ほぼ倍に増えている。
それでもなお、足りない?
いや、事業者も増えているのでは・・?

15年たって、事業者数は一時は増えたがその後、ほぼ同数に落ち着いている。
まとめると、こうだ
H21年を100としたとき、運行管理者は181ポイント増。

運行管理者数(タクシー・ハイヤー編)
タクシーはどうだろう?

運行管理者の数は、ほとんど変わっていない。
では、事業者数はどうか?

結果、ほぼ変わらない。
では、タクシー・ハイヤーの事業者数はどう変わってきただろう?

減り続けている。
1万以上の事業者数減とは、随分と減ったものだ。
まとめると、こうだ。

H21を100としたとき、運行管理者数と事業者数の開きは、バスほど極端ではない。
運行管理者は、足りているのではないか? 逆に、事業者のあいだに余剰感はないのだろうか?
運行管理者数(トラック編)
トラック業界を見てみよう。

トラックの運行管理者は増え続けている。
事業者数は?

あんまり変わってない。
まとめると、こうだ。

30ポイントの差がある。
上記3業種をまとめると
バスとトラックは運行管理者の補充?or余剰の確保が進み、タクシーは純減が自然。
ということになろうか。
出典:国土交通省 数字でみる自動車2025 運行管理者より
https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001894888.pdf
いや、でも、なんか、実態と違うかも。
「運行管理者不足」という表現は、適切か?
そもそも、法定数は必要で、足りてないとおかしい=選任数違反、だ。
国土交通省の行政処分データを分析してみた。
去年1年で、運行管理者選任の違反認定は 7 事業者。
一方、点呼未実施50%以上が認定された事業者は 35 事業者
一方、点呼と同じく運行管理者の業務のひとつである「指導監督」の告示義務違反は、77 事業者
https://complyzer.jp/?violations=372,374,376,378&sortOrder=desc&sortBy=date&dateRange=last-year&violationsSortOrder=desc&violationsSortBy=sanctionCount
点呼の、倍 ある。
実は、タイトルにある、点呼態様の緩和と、運行管理者数に、明確な相関があるとは限らないかもしれない。
冷静にみれば、運輸規則や輸送安全規則は、運行管理者の業務を25項目程度規定しており、いずれも行政処分違反対象だ。点呼は1/27の業務に過ぎない。
いわゆる
「点呼だけが運行管理者の仕事じゃない」
ってやつだ。
今後分析が必要なのは、
以下の仮説ではなかろうか。
「運行管理補助者が、不足している」
「運行管理補助者は、足りている」
「点呼制度改革によって、点呼実施率違反以外の運行管理者業務の未実施状況(例 指導監督告示遵守)が、どれくらい変わったか?」
さらに言えば。
点呼制度改革が当然に「事故予防効果」を期待されているとするならば(まさか、働き方改革のためだけの点呼告示をつくったわけではないはず)、以下の指標をフォローしてゆく必要があると思う。
「自動点呼、遠隔点呼によって、監査における『点呼実施義務違反 認定率』 は変わってゆくか?」
(当然、低くなることが期待されている)
「事故惹起事業者における『点呼実施義務違反 認定率』 という指標をつくれるか?」
(点呼が重要であるというエビデンス候補)
この2点を定量化できないと、最終的には「運行管理者は不足しているか?」の論点は終わらないと思う。
運行管理者が不足していることから、いったい何が起きていて、何が起きていないのか?
法令が守られていないのか?
運行管理者のオーバーワークなのか?
事故が増えているのか?から、法令が守れていないのか?
政策評価を何で測るのだろうか?
今回の運行管理者の数字を見て思った。
運行管理者数が増えているならば、なぜ、事業用自動車安全プランの定量目標が達成できない状況が続くのだろうか?
イヤミではない。素朴な疑問だ。
