事業用自動車事故調査報告書

 

未熟? 意識もうろう? 脇見? 指導不足? 点呼の質? それとも一人荷下ろしの疲れ? 山形県中型トラック追突事故の詳細報告書、多すぎる要因が再発防止の難しさを浮き彫りに。

2025.1.10

 

2024年11月1日 事業用自動車事故調査報告書が1件追加されました。

本人の口述がないのは、会社を辞めてしまって連絡が取れなくなったからだろうか?

https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/jikochousa/pdf/2133202.pdf

・2時45分頃に山形県上山市所在の当該事業者の営業所(以下「当該営業所」という。)に出社し、出勤簿に押印し、当該車両の鍵を受け取り、日常点検を行った。
・2時58分に始業点呼を対面で実施した。
・始業点呼では、健康状態(疾病、疲労、飲酒、睡眠不足)の確認、日常点検の結果確認、アルコール検知器(以下「ALC」という。)による酒気帯びの有無の確認、体温測定等を行った。健康面に異常は認められなかった。また、連続運転が4時間を超えないこと、眠気を感じたらすぐに休憩をすること等について注意した。
・始業点呼では、最初の目的地のA社には7時00分頃、次の目的地のB社及びC社には午前に荷下ろしをし、最後の目的地のD社には14時00分頃に到着するよう指示したが、どこで休憩するかについては指示しなかった。
・荷物(外壁材約2,500kg)は、3日前に積んであったので、始業点呼が終わるとすぐにA社がある宮城県石巻市に向け出発した。
・6時00分頃、A社に到着した。この時、運行記録計に記録紙を装着していないことに気付き装着した。そのまま7時10分頃まで休憩を取った。
・7時10分頃から9時20分頃まで荷下ろし作業を手作業で行った。ここで荷下ろしした荷物は、少なくとも一個あたりの重量が約20kgのものが36個であった。
・9時20分頃、B社がある宮城県仙台市に向け出発した。
・10 時50分頃、B社に到着し、11時20分頃まで荷下ろし作業を手作業で行った。ここで荷下ろしした荷物は、少なくとも一個あたりの重量が約30kgのものが28個であった。
・11時20分頃、同市内のC社に向け出発した。
・11 時30分頃、C社に到着し、11時40分頃まで荷下ろし作業を手作業で行った。ここで荷下ろしした荷物は、少なくとも一個あたりの重量が約30kgのものが2個であった。
・通常は2名で荷下ろし作業を行っているが、今回は、配送先の3社のうち2社において、当該運転者1人で手作業により行ったと聞いているが、どの配送先か不明である。
・A社では荷下ろしに約2時間かけているが、B社では約30分で荷下ろしが完了しており、作業量と作業時間からB社では2名で荷下ろしした可能性が高く、A社とC社では1人で荷下ろしした可能性が高い。
・11 時 40 分頃、D社で翌日に配送する予定の外壁材を積込むため、D社がある山形県寒河江市に向け出発した。
・13時01分頃、山形県東根市で事故が発生した。

P3 (2) 事故当日の運行状況 より

 

A社での1人での荷下ろしに約130分を要したため、B社以降の荷下ろしの予定時間に間に合うよう7時10分頃から事故発生時の13時01分まで、約6時間、休憩を取らないまま荷下ろしと運転を継続している。 このように、当該事業者は、運転者への負担増となる配送先での荷下ろし作業について、適切に管理していなかったと考えられる。 よって、1人での荷下ろしの負担が重かったこと及び長時間にわたり休憩なしで運転等を続けたことが当該運転者に強い疲労を感じさせ、意識レベルの低下の原因となった可能性が考えられる。

P30 (1) 事故前の運行状況 より

 

本件、国土交通省から全日本トラック協会に対して、全国へ本事例を展開するよう要請が出ています。
国土交通省は今回の事例について、特別なリーフレットをつくったようです。

荷主に対しても再発防止が示されている。

運送事業者への適切な業務依頼(荷主)

運送事業者や運転者にとって負担となる「荷待ち時間の増大」「無理な到着時間の設定」「やむを得ない遅延などに対するペナルティ」や「過大な荷役作業」などを削減する適切な業務依頼