国の方針です。女性に関して。
出典 内閣府 https://www.cao.go.jp/press/new_wave/20240709.html
重点方針は4つ。
Ⅰ 企業等における女性活躍の一層の推進
Ⅱ 女性の所得向上・経済的自立に向けた取組の一層の推進
Ⅲ 個人の尊厳と安心・安全が守られる社会の実現
Ⅳ 女性活躍・男女共同参画の取組の一層の加速化
このうち、
Ⅱ 女性の所得向上・経済的自立に向けた取組の一層の推進
のなかに、
(1)所得向上、リスキリングの推進
(2)仕事と育児・介護の両立の支援
(3)仕事と健康課題の両立の支援
(4)地域における女性活躍・男女共同参画の推進
とあります。
このうち(3)のなかに、女性特有の問診項目追加が示唆されています。以下。
① 健康診断の充実等による女性の就業継続等の支援
働く女性の月経、妊娠・出産、更年期等、女性のライフステージごとの健康課題に起因する望まない離職等を防ぎ、女性が活躍し、また、健やかで充実した毎日を送ることができるよう、プライバシーに十分配慮した上で、事業主健診(労働安全衛生法に基づく一般定期健康診断)において、月経随伴症状や更年期障害等の早期発見に資する項目を問診等に加え、その実施を促進する。あわせて自治体検診における骨粗鬆症検診について検診受診率向上に向けた取組を進める。また、更年期に係る症状を自己評価により把握し、受診などの適切な行動に結びつけられるようセルフチェックを活用するなどの取組を、企業や自治体に促す。あわせて事業所内に働く女性の相談に対応する担当者を配置するなど女性の健康を話題とする場づくりを推進する。
「労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会」の中間とりまとめ
1年前から一般健康診断の検査項目のみなおしが行われています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36255.html
現在のいわゆる”健康診断”(主に職域)項目はこのようになっています。
既往歴の問診部分については このようになっています。
先月11月に 中間とりまとめが公表されています。
このなかに、問診項目の見直し、とくに女性特有の項目追加が予定されているようです。
2 女性特有の健康課題に関する項目について
(1)検討の前提
・ 近年及び今後の労働者の健康を巡る情勢としては、急速に進む高齢化の中、職業生活が長期化してきているとともに、女性の就業率の増加に伴って、女性特有の健康課題への対応の重要性が一層高まっている。
・女性特有の健康課題については、「女性活躍・男女共同参画の重点方針2023(女性版骨太の方針 2023)」中の「Ⅲ 女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現」、「(5)生涯にわたる健康への支援」において、「②事業主健診の充実等による女性の就業継続等の支援」が盛り込まれ、「働く女性の月経、妊娠・出産、更年期等、女性特有のライフイベントに起因する望まない離職等を防ぎ、女性が活躍し、健やかで充実した毎日を送り、安心して安全に働けるよう、事業主健診(労働安全衛生法に基づく一般定期健康診断)に係る問診に、月経困難症、更年期症状等の女性の健康に関連する項目を追加するとともに、産業保健体制の充実を図る。」と記載されている。
・また、「女性活躍・男女共同参画の重点方針 2024(女性版骨太の方針 2024)」(令和6年6月 11 日すべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推進本部決定)中の「Ⅱ 女性の所得向上・経済的自立に向けた取組の一層の推進」、「(3)仕事と健康課題の両立支援」において、「①健康診断の充実
等による女性の就業継続等の支援」が盛り込まれ、「働く女性の月経、妊娠・出産、更年期等、女性のライフステージごとの健康課題に起因する望まない離職等を防ぎ、女性が活躍し、また、健やかで充実した毎日を送ることができるよう、プライバシーに十分配慮した上で、事業主健診(労働安全衛生法に基づく一般定期健康診断)において、月経随伴症状や更年期障害等の早期発見に資する項目を問診等に加え、その実施を促進する。(中略)さらに、健康課題が把握された従業員に対し、事業主が行うことが望ましい対応について、ガイドラインや指針などを作成することを検討するとともに、女性の健康に関する取組の好事例等を事業主に周知する。」と記載されているとともに、「Ⅲ 個人の尊厳と安心・安全が守られる社会の実現」、「(7)生涯にわたる健康への支援」にも、「②健康診断の充実等によ
る女性の就業継続等(再掲)」が盛り込まれている。
・月経随伴症状や更年期障害等の女性特有の健康課題と業務との関係について、論文検討では、夜勤やセデンタリーワーク(sedentary work。継続的な座位による業務)との関係性を示唆するとの研究報告を確認できた程度であり、業務起因性又は業務増悪性を示す明らかなエビデンスがあるとまでは言えない。
・また、労働者のプライバシーの配慮については、事業者に知られたくないという労働者に配慮する必要があること、全ての健康情報は個人情報として配慮すべき事項であり、それを上回って事業者が責任を果たすべき内容であった場合に初めて事業者はその情報を取得するという正当性を持つことから、健康診断において女性特有の健康課題に関する個人情報を事業者が知るという意味はあるのかという意見があった。
・一方で、本人の希望があれば、産業医をはじめとする産業保健スタッフなどに情報共有されるということが、健康管理や職場環境改善の観点から有効ではないかという意見があった。この場合、会社に情報提供を希望するかスクリーニングをした上で、会社に情報提供を行う形式であれば、労働者のプライバシーを保護することができるとする意見や、ストレスチェック制度における長時間労働者への面接指導において同様の仕組みがあることから対応可能ではないかという意見があった。
・こうした意見に対して、女性特有の健康課題が業務起因性又は業務増悪性を示す明らかなエビデンスがあるとまでは言えない以上、事業者として労働者への支援を検討するに当たっては、労働者が受診した医師の意見と併せて事業者に申し出ることを出発点とすべきという意見があった。これに関連して、専門医の受診を経なければ事業者が適切な配慮を行えるのか疑問という意見や、専門医の受診が引き続き進まなければ、女性労働者の健康課題の解消につながるか疑問という意見があった。
・月経困難症、更年期障害等により仕事上の困難を感じている、あるいは、会社からの支援の必要性を感じている女性労働者は少なくないという研究報告があった。また、女性特有の健康課題、特に月経困難症等で一番難しいのは、労働者本人が自らの健康上の不具合を疾患だと思わないことであり、自覚症状がないと捉えてしまうことが非常に問題であるという意見があった。
・健康診断の実施方法については、血液検査による更年期障害の判定は難しいという意見や、既存の質問紙については、質問数が多すぎることや質問紙のスコアは重症度を必ずしも反映しないことからスクリーニングとしては適さない可能性があること、臨床場面では困っていることを重視することや、職場に知られたくない労働者も存在していることに留意が必要との研究報告があった。
・また、健康診断実施後の事業者における対応について、衛生委員会の設置義務がある事業所においては、衛生委員会において論議・決定することや、設置義務のない事業場においては、労働者代表の意見を聞くなど、労使間で十分に話し合うことが重要との意見があった。
・加えて、事業者が法定外の健診や、一般健康診断問診票1に記載されている項目以外の問診を行うに際し、衛生委員会等で議論することとされていないことを踏まえると、画一的に労使の協議事項とすることは、行き過ぎた対応であるとの意見があった。
このような議論を経て・・・
(2)検討結果
① 一般健康診断問診票への女性特有の健康課題に関する質問の追加
・上記(1)を踏まえると、一般健康診断の機会を活用し、女性労働者本人への気づきを促し、必要な場合には、産婦人科医等女性特有の健康課題に係る診療を専門とする医師(以下「専門医」という。)への早期受診を勧奨し、また、女性特有の健康課題に対する配慮について申し出を行いやすい職場づくりにもつながるよう、一般健康診断問診票に女性特有の健康課題(月経困難症、月経前症候群、更年期障害等)に係る質問を追加することが適当である。
・その場合、次のような質問を設けることが考えられる。
質問:女性特有の健康課題(月経困難症、月経前症候群、更年期障害など)で職場において困っていることがありますか。 ① はい、② いいえ
・健康診断を実施する機関(以下「健診機関」という。)で健康診断を担当する医師(産業医が健康診断を実施する場合も含む。以下「健診担当医」という。)は、この質問に「①はい」と回答した労働者に対して、必要に応じて、女性特有の健康課題に関する情報提供や専門医への早期受診を促すこ
とが適当である。
・その際、健診担当医が、女性特有の健康課題に関し、必ずしも専門的な知識を有していないことを前提とすべきであり、健診担当医が情報提供等を行うに際し、活用できるツールの作成や健診担当医に対する研修等が必要である。
② 女性特有の健康課題に関する質問に係る事業者への情報
・質問に対する労働者の回答は、健診機関から事業者に提供しないこととする。この点については、労働者本人が希望するのであれば、事業者に提供してもよいのではないかという意見があった。一方、現時点では、一般に女性特有の健康課題とその業務起因性等との関係が明らかにされていないことから、労働者が受診した専門医の意見(適切な配慮の内容等)ととも
に事業者に申し出ることを出発点とすべきとの意見があった。
・以上を踏まえ、厚生労働省において、女性特有の健康課題を抱える個々の労働者と事業者をつなぐ観点から、望ましい対応を、健診機関向けマニュアルに示すこととする。
・具体的には、労働者が女性特有の健康課題で職場において困っている場合、専門医の早期受診を勧奨すること、その上で、専門医の診断書を持って事業者に相談することは可能であること(既に、専門医の診断を受けている場合も同様に可能であること)を健診機関向けマニュアルにおいて明示する。
・また、女性特有の健康課題で職場において困っている労働者を対象に、自らが事業者に女性特有の健康課題に関する相談を行うことは現時点であっても可能であるとともに、その場合には、専門医による診断書等を示すことが望ましいことを事業者向けガイドラインにも明示する。なお、これらの取扱いについては、あらかじめ衛生委員会等において、労使間で十分に話し合うことが考えられる。
・一方で、望ましい職場環境の拡充等の観点から、女性特有の健康課題に配慮した職場環境を積極的に推進する企業においては、労働者に説明した上で、女性特有の健康課題に係る質問における労働者の回答を集計した情報(以下「集計情報」という。)を健診機関より入手し、取組みに活用することが考えられる。なお、労働者のプライバシーに配慮するために、受診できる健診機関が複数ある場合を含め、1つの健診機関あたりの受診者が例えば 10 人未満の場合など個人が特定されやすい場合は、集計情報を提供しないことが必要である。また、自分の回答を集計情報に使用されたくない場合は、本人の意思を確認の上、集計情報を使用させないようにすることが必要である。
そうなんだ!
運輸業界の女性といえば、女性タクシー運転手さんもかなり見かけるようになってきましたし、女性バス運転手さんもこれから必要でしょうし、トラック業界も女性採用を増やしてゆかねばならないでしょう。
女性の働きやすい環境は、もっともっと進んでゆく必要があるでしょう。
男性更年期~?
③ 男性の更年期障害について
・男性の更年期障害についても一般健康診断に含めるべきではないか、問診項目で特に男女を区別して聴く必要はないのではないかという意見もあったが、業務起因性等に係る知見が乏しい項目を安衛法のスキームに追加することは極めて抑制的であるべきとの意見や、現時点では、男性の更年期障害という疾患概念自体に曖昧さがあることに加え、労働者個人の精神的な状態が前面に出やすく、鑑別の課題もあり、健康診断における問診でのスクリーニングが困難であるとの意見があった。
・男性の更年期障害については、自分の抱えている不調が更年期の症状であるという理解促進を促すことについて、問診とは別に検討を進めて欲しいとの意見があった。今後、厚生労働省は、更なる医学的知見の集積を踏まえ、必要に応じて検討していくこととする。
そうなんだ・・・。
歯は大丈夫ですか?
(2)検討結果
① 健診項目を検討する際の要件、着眼点を踏まえた検討結果業務起因性又は業務増悪性、就業上の措置
・歯周病については、成人の8割程度がり患しているとするデータもあり、平時からの歯のブラッシング等のほか、症状があった場合は重症化する前に、早期に歯科を受診することが有効であると考えられる。
・顎関節症については、職場の労働者の発症率が、住民より高いことが示唆される研究論文はあったものの、研究論文中で使用されている有所見者の定義を確認すると、質問票の「どちらともいえない」という回答を「有所見」と判断しており、業務起因性又は業務増悪性を判断するエビデンスとしては乏しい。
・また、ストレスと顎関節症の関連が示唆されているが、ストレスと顎関節症における定量的なエビデンスは存在しないことから、事業者が講ずべき事後措置について明確な基準を設けることは困難であるという意見があった。
・なお、心理社会的要因を「有所見」の判断項目としているが、労働者のストレス状態はストレスチェック制度を通じて把握すべきとの意見があった。
・歯科疾患について、これまでの労災疾病臨床研究、厚生労働科学研究において、業務起因性又は業務増悪性を示す明らかな知見は得られていないことから、安衛法に基づく一般健康診断を実施する意義は乏しいのではないかという意見があった。
そうなんだ・・・。
健康診断に膨大な費用をかけ、誰がどのように「有効に」活用されているのか? 就業上の措置の根拠として使われることが期待されているが、
実際は??????????????????????????????????????????
みなさん、健康診断データ、ほったらかしになっていないですか?