バス事業者による 飲酒検査の身代わり事案がありました。
https://www.nankaibus.jp/info/70301/
アルコール検知器メーカーとして、この20年、カメラと連動した検知器を長らく運輸業界に提供して参りました。悪意のある身代わり(共謀)、巧妙なりすましに対抗するには、リアルタイム動画点呼しかないと思い、そのようなシステムも、逐次、開発・販売してきました。
やはり、静止画+電話点呼では、ダメなようです。当社の、静止画タイプのスマホ連動アルコール検知システム器は、いまだに1万を超えるユーザがいますが、発覚しないだけで、なりすましは今でも多く起きているのかもしれません。残念ながら。
先般の、貸切バスの動画録画義務化の国交省の施策の正しさが、このタイミングで証明されたことになります。
運輸規則 身代わり 行政処分
2015年前後だったと思います。バス業界でアルコールチェックの身代わりが散見されたため、国土交通省は、「なりすましアルコールチェック」行政処分規定を設けました。
具体的には、規則48条点呼ではなく、規則38条指導監督の告示 対する違反行為として、です。
出典:貸切バス(一般貸切旅客自動車)の行政処分等に関する関係通達 一覧
【別表】(貸切)違反事項ごとの行政処分等の基準 より
https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03punishment/baseline.html
P4にある
飲酒運転防止に係る指導監督義務違反(注2)
初違反 60日車 再違反120日車
コレです。そして、注2として
アルコール検知器の不適切な使用が確認されたときは、指導監督義務を果たしていないと判断する
コレです。なりすまし・身代わり行為は。
以上が、「運輸行政上」事業者に対する処分。国交省としては、コレで終わりです。
想像するに、社の規定で今回のドライバーさんは、何らかの処分が下されるのでしょう。
でも、運転免許証は? 道路交通法の罰金もなく、違反点数もかわらず、キレイなままですよね?
身代わり呼気提供は、重罪である(飲酒運転 ほうじょ罪)。
個人的には、「呼気の提供」は、道路交通法65条にある、いわゆる飲酒運転周辺3法(ほう助)のうち、「車両提供罪」に該当すると考えたいです。今回バスの事案でいえば、呼気提供を依頼した人ではなく(こちらは第一項違反)した人の罪(第二項)を問うかたちです。
65条1項 | 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。 |
65条2項 | 何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し、車両等を提供してはならない。 |
65条3項 | 何人も、第一項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。 |
65条4項 | 何人も、車両(トロリーバス及び道路運送法第二条第三項に規定する旅客自動車運送事業(以下単に「旅客自動車運送事業」という。)の用に供する自動車で当該業務に従事中のものその他の政令で定める自動車を除く。以下この項、第117条の2の2第6号及び第117条の3の2第3号において同じ。)の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者に対し、当該車両を運送して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が第1項の規定に違反して運転する車両に同乗してはならない。 |
警察庁 https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/torishimari/inshu_info/inshu_bassoku.html
道路交通法を改正して、もう1項目加え「周辺4法」にすべきと考えます。
65条5項 | 何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し、「呼気」を提供してはならない。 |
なりすまし、や、身代わり事案は、「いたちごっこ」として、顔認証テクノロジーや、点呼録画、監視カメラソリューションの話になりますが、そんなつまらない話ではないです。
呼気提供は、本当に悪意のある行為であることを認識する必要があります。
飲酒運転防止や飲酒検査重要性が、指導監督項目であることは正しいと思います。
が、指導監督バス事業者の指導監督の項目のなかに、「アルコールと飲酒運転防止関連法に関する専門科目」を明確に、別項目としてもうけるべきではないでしょうか。
⑨ 交通事故に関わる運転者の生理的及び心理的要因並びにこれらへの対処方法長時間連続運転等による過労、睡眠不足、医薬品等の服用に伴い誘発される眠気、飲酒が身体に与える影響等の生理的要因及び慣れ、自らの運転技能への過信による集中力の欠如等の心理的要因が交通事故を引き起こすおそれがあることを事例を説明すること等により理解させるとともに、旅客自動車運送事業運輸規則第二十一条第一項の規定に基づき事業用自動車の運転者の勤務時間及び乗務時間に係る基準を定める告示(平成13年国土交通省告示第1675号)に基づく事業用自動車の運転者の勤務時間及び乗務時間を理解させる。また、運転中に疲労や眠気を感じたときは運転を中止し、休憩するか、又は睡眠をとるよう指導するとともに、飲酒運転、酒気帯び運転及び覚せい剤等の使用の禁止を徹底する。
旅客自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針 より
指導監督の⑨から、飲酒関連を切り離して、独立した項目にしたほうがよいと思います。
その内容としては、
・アルコール基礎と依存症対策
・飲酒運転防止関連法(幇助罪含む)
・アルコール検知器の適切な使い方
テキストも作り直して・・・。