今年に入り、トラックの飲酒運転事案はぐっと減ってきております。「ゼロ件」に向けて良いナガレであると感じておりましたが、今週こんな事案が発生しました。
(9)大型トラックの酒気帯び衝突事故
3月8日(水)午後3時頃、福岡県の高速道路において、大阪府に営業所を置く大型トラックが運行中、第三車線から第二車線に車線変更しようとした際、乗用車と衝突した。
この事故による負傷者はなし。
事故後の警察の調べにより、当該大型トラック運転者の呼気からアルコールが検出されたため、道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで逮捕された。
メールマガジン「事業用自動車安全通信」第699号(R5.3.10)
昼間、仕事中に、しかも高速道路で・・!
福岡で起きた飲酒運転事故。その一報を聞いた大阪の事業者、運行管理者はどんな一声を発したのでしょうか。
「そんな馬鹿な! 点呼したのに!」
なのか
「・・・点呼やっときゃよかった・・!」
なのか
「やっぱりあのひとか・・」
なのか
「まさかあのひとが!?」
こういうのは、二日酔いとかうっかり残酒で、という話ではなく故意犯。もしくは、重度のアルコール依存症。
もしくは、社会性・公共性が異常に低く、社会に対して悪意のあるひと。
それにしても、気になります。
・点呼(対面もしくはITもしくは電話)は実施されたのでしょうか?
・義務化されているアルコール検知器は、役に立たなかったのでしょうか?
・当該ドライバーの飲酒習慣(auditの点数等)はどうだったのでしょうか?
・警察による呼気アルコール検知器の結果数字は、どれくらいだったのでしょうか?
・濃度数値は、残酒なのか。点呼後の故意の飲酒なのでしょうか?
今後、このような事実を、メールマガジンの内容には含めていただき、かつ、「事業用自動車総合安全プラン2025」検討会でも、全件分析してほしいです。以前はもっと詳細が報告されていたのになぜ隠すのでしょうか。
ところで、プラン2025
国土交通省は、2021年3月にプラン2025で宣言した飲酒運転防止の施策を、1年たっても、ほぼやっていません。
何か事情があるのでしょうか? 意図的な放置なのでしょうか?
先日、令和5年の予算案が閣議決定されました。
自動車局の令和5年予算を見ると、どうやらプラン2025の飲酒運転防止施策が少し具体化しそうです。
あれ? でも
アルコール検知器の要件追加による、点呼時のアルコールチェックの強化
事実に基づく調査のために記録型アルコール検知器を使用する義務ですとか、事実に基づく調査のために、点呼した事実が『後付けで改ざんしにくい点呼記録簿』として残る「電子点呼データ保存の義務」に踏み込めばいいのになと思います。
実効性のある施策というのはこういう具体的な施策なのではないでしょうか。
先日、白ナンバーのアルコール検知器の義務化開始延期が決まったようですが、プラン2025の施策も延期ですか?
2023年ということは、気づくとプラン2025もはや折り返しの時期です。
本誌は、プロドライバー・プロ事業者の飲酒運転ゼロのための実効性ある施策例として、以下が必要と考えています。
- アルコール検知器の性能要件を、「デジタル記録」必須とする。(DX掲げてますよね)
- 記録型のアルコール検知器の結果を定期的に運輸支局か県トラック協会局へ提出することを義務づける(けっこう効くと思います)
- クラウドアルコールチェックの仕組みで、運行ごとに、運輸支局または県トラック協会へリアルタイムでデータ送付することを義務づける(いちいち現場にいかなくても、運輸局で一目瞭然です)。
- 飲酒事案があった場合、再発防止として、「アルコールインターロック装着」を行政指導(罰則)で義務づける。当然罰則なのでこの場合のアルコールインターロック助成金利用は禁止です。
- 点呼実施の証拠が残る「点呼機器の設置」を義務づけ、点呼データの提出を3年間義務づける
- 指導や教育の問題であれば、「飲酒教育の実施と記録保存」を義務づける
<ヘッドライン写真と本文は直接の関係はありません>
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