閣議決定の前に、大臣折衝が行われておりました。
とくに大きく取り上げられたのは
「日本よ、地域交通、マジでどうする?」問題です。
エリア一括協定運行事業の創設
○ これまで、路線バス事業等については、主として民間の交通事業者が主体となり、行政が運行サービスに対して赤字補填を行う手法を基本として、その維持を図ってきたところ。
○ 地域における路線の維持に効果がある一方、多くの交通事業者が厳しい経営状況にあり、事業改善インセンティブの課題や利用者減少局面における赤字拡大等、持続可能性の点で懸念があった。
○ 持続可能性と利便性・効率性の高い地域公共交通ネットワークへのリ・デザイン(再構築)を推進するため、交通事業者のインセンティブも引き出す「従来とは異なる実効性ある支援」として、複数年にわたる長期安定的な支援を可能とするエリア一括協定運行事業の創設を要求。
○ 折衝の結果、財務大臣より、要求どおり認められることとなった
社会資本整備総合交付金における地域公共交通再構築事業の創設等
○ ローカル鉄道やバス等の地域公共交通は、利用者の大幅減等により、路線によっては現状のままでは地域交通ネットワークの維持が難しい状況になっている。
○ このような中で、本年6月に閣議決定した骨太の方針において、地域公共交通ネットワークの再構築について「従来とは異なる実効性ある支援等を実施」することとされている。○ 地域づくりの一環として、「地域公共交通ネットワーク」再構築に必要なインフラ整備に取り組む自治体への支援を可能とするため、新たに社会資本整備総合交付金の基幹事業として「地域公共交通再構築事業」を創設することを要求。
○ また、既存の「都市・地域交通戦略推進事業」においても、まちづくりの将来像の実現に必要な都市の骨格となる基幹的な公共交通軸の再構築について、既存のLRT・BRT等に加え、鉄道の走行空間の整備を支援対象に追加することを要求。
○ 折衝の結果、財務大臣より、要求どおり認められることとなった
予算本編も併せてご確認ください。
12月27日 の記者会見 「地域公共交通再構築元年」
閣議決定後、国土交通大臣が記者会見でこのように述べました。上記の社会資本整備の件です。
今年の夏、二つの有識者会議から提言がなされました。
一つは、地域公共交通全体について、これからの地方再生の中で、地域公共交通はなくてはならないものです。
どのようにして地域公共交通を持続可能なものにしていくのか。
また、地域に住んでいる方々にとって利便性の高いものにしていくのか。
その地域公共交通、リ・デザイン(再構築)という提言書。
そしてもう一つは、ある意味ではそれとまさに連動しますし、その中に含まれると考えても良いかと思いますが、ローカル鉄道に対しての提言。
今のままで放置して良いはずがない。
これを地域の地方自治体、そして事業者が真剣に話し合う。
そしてそこに必要があれば国が関与するという仕組みで、まず話し合いをしましょう。
そしてそのためには予算措置も必要になってまいります。
そういうことに対しての、この2つの提言がありました。
私は来年は、この2つの提言を受けて、「地域公共交通再構築元年」そういう年にしていかなくてはならないと思っています。
ローカル鉄道についても、2者ないしは国も入って3者がしっかりと現状を認識して、どうしたら持続可能な、そして地域の方々に喜んでいただけるような公共交通になるのかを真剣に話し合う。
そのために、こういう実証実験をやってみようという結論が出れば、それはしっかりと実証実験をやる予算を国としても用意する。
そして「存続ありき廃止ありき」ということではなく、議論をしてある一定の結論が出たとしたら、その結論を実行するために例えば予算が必要になる。
そういう予算についても、例えば社会資本整備総合交付金、これをこれまではインフラが対象でしたけれども、鉄道、地域公共交通も対象に基幹事業として加えるということも行いました。
こういう形でしっかり支援をしていく。
こういう形にしたいと思っています。
そのためには法改正が必要になってまいりますので、来年の通常国会には、この法律案を出したいと思っています。
そういう形で地域の公共交通を再構築するその元年の年にしたい。
そのためには地域の皆さまと本当に真剣に信頼関係を持って話し合わなければいけない、そういう場を国として用意したいと思っています。
元になっているのは、この有識者会議。コロナまっただ中、令和4年の3月から随時開催されています。
委員はどなたでしょう?
地域公共交通再構築元年という言葉には、コロナでいたんだ移動産業もさることながら、そもそも人口動態上、避けられない事態もあるでしょう、ということもふくまれていると思います。
提言の「はじめに」と「まとめ」を読むと、確かにいよいよ再構築元年だな、と思います。
<はじめに より抜粋>
地域交通は、住民の豊かなくらしの実現や地域の社会経済活動に不可欠であり、その充実の度合いや魅力によって、地域やまちの価値が規定されると言っても過言ではない。高齢化の進展に伴い運転免許返納者が近年大幅に増加しており、公共交通による移動手段の確保は重要性を増している。地域交通は、生活の不安を解消し、くらしやすく魅力あふれる地域を作り上げるため、そして、地域間の人の流れを創出し、観光客や交流人口の増加を図るために必要な基盤的サービスである。しかしながら、これを取り巻く状況は、長期的な人口構造、地域構造の変化により、厳しさを増す一方であった上、新型コロナウイルス感染症の拡大により、追い打ちをかけられている。
<まとめ より抜粋>
地域交通を今の形のまま単純に延命するだけでは、全国各地で明るい未来を展望することは困難であり、本検討会における以上の議論に加え、我が国として推進している技術や投資も取り込んで地域交通をより良くしていくという視点が重要である。具体的には、自動運転や MaaS などデジタル技術を実装する「交通 DX」、車両の電動化や再エネ地産地消などの「交通 GX」、①官民の間、②交通事業者の相互間、③他分野との間の「3つの共創」により、利便性・持続可能性・生産性が向上する形に地域交通を「リ・デザイン」し、地域のモビリティを確保するというコンセプトの下でさらに議論を深化させていくことが求められる。
これによって、個々の交通サービスや交通というセクターに着目した「部分最適」ではなく、地域交通の需要と供給が相互に合理化・創出され、さらには「エリア生活総合産業」の一環として地域交通が安定的に供給されるような「全体最適」への道が開かれる。
地域交通に、市区町村がこれまでよりもより「お金」の面で関わりを深めるなら、おそらく、緑ナンバーや白ナンバーの安全管理・運行管理の境目も、融合・溶け合う・・という状況も出てきそうです。市民同士の輸送や、特定自動運行・・・。
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