アルコール検知器

 

遠隔点呼

 

自動点呼

 

さよなら、なりすまし防止特許、こんにちは システム点呼時代。

2022.12.27

唐突ですがみなさん、「特許」って有効期限何年か知ってますか?

第六十七条 特許権の存続期間は、特許出願の日から二十年をもつて終了する。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=334AC0000000121

はい、特許法によれば、20年となっています。そう、特許ってのは永遠に持てるものではないんですよね!

特許は誰のもの? 20年過ぎれば企業のものではなく、社会のもの。

本記事は、読者の皆様にはあまり関係ない話かもしれません。

当社がアルコール検知器メーカーとして歩み出した社歴と関係する話題です。

 

業務用アルコールシステム 初代ALC-PRO 前夜

時は2001年頃。1999年に起きた東名高速のトラック飲酒運転事故の裁判の報道が続いていた頃です。


このような事件の余波が続くなか、高速バスドライバーがお酒を隠し持って乗務をしていたという事件がありました。

当社は「企業向け」に特化した、社員管理がしやすく、かつ、なりすまし等不正防止に強い『業務用アルコール測定システム』を開発すべく試作に入りました。

そして、試作中に特許を申請しました(その後数件特許が成立しました)。

 

2002年12月27日、そう、いまから20年前の今日 のことでした・・・。

 

このような図面で出願したときには、どういう形になるか考えてませんでした。
結果的に、2003年8月 こんな感じで商品化しました。

 

センサーが問いかける、「万全と言えますか?」は、個人的に今でも気に入っております。

誰が誰に問いかけたか?

被害者が、社会が、「プロドライバーとは?」、「プロの運輸事業者とは?」と問いかけていたと思います。当時次々と起きていた運輸業界での飲酒事案を見て。

正直申します。

この頃は、まだアルコール検知器は完成しましたが、アルコール検知器の奥の深さ、運輸業界の社会的な存在意義なんて、考えていませんでした。考える余裕が無かったのです。静岡県にある、大手メーカーの下請け、孫請けの組立企業でありましたから、「売れなかったら、会社潰れるかも・・」というのが正直なところでした。

20年という月日はふしぎなものです。まさか点呼ロボットの話をしたり、このようなブログ記事を書くことになるとは・・。

 

20年たって、飲酒運転は減った? 身替わり事案は減った?

さて、残念ながら、技術と、それを乗り越える悪意ある不正はいたちごっこというやつで、どうやら無くなっていないようです。

風船をつかったり、ロングチューブをつかったり、時には変装したり・・・。ここまでやれば不正はないだろうと考えていろいろ機能を加えてきましたが、「悪意のオーバーライド」はどうしても起きてしまうのです。

正直、今年スタートした遠隔点呼や乗務後自動点呼に、「監視カメラ」が要件に入ったのはメーカーとしてはとても残念なことでした。作り手として。

現在の遠隔点呼システムや自動点呼機器単体では不正(なりすまし)は防げない、ドライバーや事業者はまた不正をするだろう、と国交省は「100%性悪説」にたったわけです。反論できない過去の事案があるのもまた事実。
一方で遠隔点呼機器メーカーや自動点呼機器メーカー側の技術開発の限界、投資余力を見透かされたかのように私は感じました。少なくとも当社では、適度なコストで監視カメラ録画並のカンペキな不正防止機能を製品に盛り込むことができなかったです。

メーカーが作り込んでくれないから、監視カメラを義務にしたんだぞ、と聞こえたわけです・・。悔しいなあ。

さて、国土交通省は、プラン2025においてアルコール検知器の要件追加を予定しています。

どういう機能になるのでしょうか? 身替わり防止? 生体認証? 

2022年から遠隔点呼時代、自動点呼時代に入りました。生体認証のあるシステム的な点呼のほか、カメラで監視できることが条件の点呼制度です。

この状態でなお不正が起きるとしたら何だろう?  それとも、身替わり系の不正はもはや起きず、これにて技術開発は打ち止めだろうか??