本年度の第1回運行管理高度化検討会が6月29日行われました。
どんな方々が、運行管理の高度化の画を描いているかといいますと・・。
トラック13、バス8、タクシー2事業者。
第一回目の申請は、23社という結果でした。これって、多いんでしょうかね。少ないのでしょうかね。
そういえば、運行管理高度化検討会では、「XX事業者くらいは申請があるだろう」とか、数の見立てはあったのでしょうかね。議事録で見た記憶がないのですが・・。
緑ナンバー10万事業所のうち、どれくらい高度化された事業所があると、この政策は成功だと見なしているのでしょうか? 聞いてみたいものです。
さて、機器は?
機器についてはすでに実証実験が行われてきていますし、申請事業者、メーカーともに、遠隔点呼実施要領について適合しているとの認識で申請してきているので、とくに目新しいものはないと思われます。
実施要領に従い、次のようにチェックをしたのだと思われます。
R4年度遠隔点呼は、序章に過ぎない。
さて、重要なのは、ここからです。
23社しかいなかった理由はカンタンです。まだまだ制度として未完成だからです。
ですので、ここから先の対象拡大(規制緩和含む)が本番です。
いや、問題あるのでは? 電話点呼の遠隔点呼(遠隔地IT点呼の高度化)はどうするのでしょう。
続報、運行指示書の一元化
これって、トラックの運行指示書の方はどうするんでしょう。
2地点間のバス中心でやっているようですが、トラックの「運行指示」「配車(法令には存在しない用語だが実態として運行現場の主要業務)」の慣習を捉えておく必要はないのだろうか?
あれ? 自動点呼(ロボット点呼)は議論されなかった?
最終とりまとめだけで作業完了? 機器認定制度の経過は? 別紙類は掲載されていませんでした。
何か議論はなかったのでしょうか・・。
出席者のなかに、実証実験で多く使われていた 日本貨物運送協同組合連会の方がいらっしゃいましたね。
日本貨物運送協同組合連会 のウェブサイトを見ると、
https://www.nikka-net.or.jp/information/?id=279
連動するアルコール検知器側で? 欠品があるようです。機器認定制度、自動点呼申請開始時期と、アルコール検知器不足(半導体不足)の影響について、話し合いはなかったのでしょうか?
(本原稿執筆時点2022.07.02 17時時点で 議事要旨 未公開)
意見。
今回の申請事業者数が多いのか少ないのか?
例えば、「トラックにおけるGマークとからめたIT点呼初年度(2008年)」というデータがもし存在していれば、比較で言うことができましょう。
遠隔点呼のさらなる拡大のために、どんな緩和がどんな効果があるのかについても、国土交通省や運輸局がもっている、「IT点呼報告書」の15年分がデジタル化されていれば有意義な議論が出来たことでしょう。
・・・残念、今回の検討会でも、遠隔点呼承認数と比較されるべき、過去のIT点呼の承認数は出てこなかったです。
いまのままでは、「Gマーク維持して IT点呼のほうが面倒くさくない」(例 飲酒デジタルデータだけあればよいウェブ点呼)と思い違いをして、「運行管理高度化」を選択する事業者は、期待以上は増えない可能性があります。
運行管理高度化検討会のみなさま、IT点呼の歴史をもういちど振り返るべきではないでしょうか。データで。
なぜ点呼未実施行政処分数がかくも多く(例 中部運輸局)、なぜ事業用自動車事故調査委員会事案での点呼未実施状態の事業者が散見されるのか。
IT点呼制度は、何に貢献してきたのか?
その前に、実際、日本でどれくらいIT点呼が実施されてきたのか? これすら誰もわからないというのは異常ではなかろうか。
たかだか1枚のIT点呼報告書が、なぜカウントされ報告され、次ぎの政策に活かされないのか? 「検討会」なのに、定量的に捉えた(evidence-based)根拠が少なすぎだなあといつも思います。
カンタンなことです。
IT点呼も、共同点呼も、遠隔地IT点呼も、旅客IT点呼も、実績を公表しましょう。
そのうえで、遠隔点呼の拡大や自動点呼の拡大を考えないと、あとで、「実態」「事実」に、ちゃぶだい返しされてしまうと思うのですよ。
検討会はいつか解散するのでしょうが、法令規則はいったん決まるとそうすぐにはカンタンには変えられない。
半年前の遠隔点呼のパブリックコメントで、本誌(運輸安全JOURNAL誌)として、遠隔点呼の承認と公表のあり方や、今後の緩和のために必要なこと等、意見を提出しておりました。おそらく自動点呼のパブリックコメントでも同様の意見を提出することになると思います。
持っているデータは早めに検討会に挙がらないと、あとでマズイことになる予感がします。
高度化は絶対必要だと思います。それは、日本における中小企業全般が、成熟社会において、業種を問わず生産性を高めることが必要という意味でもあります。
許認可がからむ業界の場合、行政側の生産性と事業者側の生産性は、表裏一体。極論、アナログと心中するか、デジタルと心中するか、行政側の覚悟が問われます。
今回、運行管理高度化検討会は、実質後者を宣言したことは、すごく良かったと思います。安全性を担保しながら事業者の生産性が上がり、かつ、コロナのような不測の事態にも制度として耐えられるという意味でも。
でも、せっかく宣言しているのに、過去の制度はそのまま・・? この状態は、やばいです。
点呼制度のカオス状態を奇貨として、遠隔点呼やロボット点呼(点呼支援機器って・・)でお茶を濁さず、いっそのこと・・・行政側のデジタル化をさきにやったほうがてっとり早いかもしれません。
このようなカオス状態の日本の運行管理をよそに、中国やタイやフィリピンでは、部分的には日本より高度な運行管理が行われているという話がよく耳に入ります。
このままでは、国交省のインフラ輸出ビジョンとか言っていながら、日本が高度な運行管理を他国から輸入することになりかねないという・・・。
なぜ、運行管理高度化検討会は、すべて未来の安全、安心にかかわる制度設計なのに、細かく見れば見るほどモヤモヤした気持ちになるのだろう。
運行管理高度化検討会
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk2_000082.html
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