運輸安全AIラボ 第3弾 ~軽井沢スキーツアーバス事故から10年、インバウンド活況のなか貸切バス業界の安全性を、あえていま問う。 ”BUS QUALI” オープン。
2025.12.24
この度本誌(運輸安全Journal)は、”運輸安全AIラボ”第3弾として、国土交通省のオープンデータを使い、貸切バス会社をAIによって総合評価・可視化する ”BUS QUALI” のサービスを開始致します。
消費者、旅行会社、ランドオペレーターにとっては、自分が乗る・手配するバス会社の安全チェックツールとして、また、貸切バス会社にとっては同業同士、繁忙期の業務委託パートナーを探すツールとしてご利用いただけます。
オープンデータと、AI
2012年以降、政府は「電子行政オープンデータ戦略」、「オープンデータ 2.0」等の取り組みにより、公共データは国民共有の財産であるとの認識を広めながら、ついに2016年12月、基本法である「官民データ活用推進基本法」を施行しました。これらの取り組みや法制度は、官民データ活用の推進により国民が安全で安心して暮らせる社会及び快適な生活環境の実現に寄与することを目的としています。
そして本年2025年10月、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(いわゆる、AI法)が施行されました。国、自治体、各省庁、AI事業者、国民等、それぞれのAIへのスタンスはますます「意味ある活用」が問われるようになってきています。有用なAIモデル開発には、過去のデータセット、いわゆるビッグデータの活用が重要になってきています。
運輸安全・交通安全業界にとってのオープンデータ
内閣府、警察庁、国土交通省等、交通や安全に関わる省庁は毎年白書等でいわゆる「交通事故データ」や「犯罪データ」「コンプライアンス違反データ」等を公表しています。これら交通事故・犯罪関連、行政処分データ等は、紛うことなき国民の共有財産と言えます。政府、国民、事業者、メーカー、防犯機器・サービス業者等は、「交通事故をゼロにする」「犯罪をゼロにする」「法令違反をゼロにする」という社会正義のために、これらのビッグデータを有用に使う責任があると言えましょう。

今年の秋以降、本誌は、各省庁により国民のために集められたビッグデータを可視化し、これらを「AI」技術を活用することにより、事業開発と公共の福祉を両立させる研究開発プロジェクト“運輸安全AIラボ” を立ち上げました。
軽井沢スキーツアーバス以後のオープンデータ
10年前、楽しいスキーツアーに行こうとしたバスの乗客14名が、一瞬でこの世から消えるという事故が起きました。
覚えておられますか?
この事故を機に、国土交通省・貸切バス業界および旅行業界によって数多くの再発防止策が打たれました。
そのうちのひとつが、「ツアーに行く消費者が自分が乗るバス会社が本当に安全かどうかをわかるようにする」というものです。

この施策により、貸切バス事業者は毎年、自社の安全設備やドライバーの雇用状況等をオープンにすることが義務付けられたのです。
「運輸の安全」をジャーナリスティックに研究、調査報道をする編集方針を掲げる本誌としては、バス事業者が大変な思いをして自社の安全情報を集めて国(運輸局→国交省)に報告しているのに、10年たっても世に知られていないのではないかと考え、より身近にこの貴重なオープンデータをより身近に感じるサイトを制作しました。
アーカイブとしての、BUS QUALI(バスクオリ)




レイテイング・ランキング×地図
バスクオリのサービスは3つ。
ひとつは一般ランキング。

たとえば、「北海道でいちばん貸切車両を多くもってる会社は?」を調べたいとき。一社一社のウェブサイトを調べる必要はありません。なかには、保有台数がわからなかったりそもそもウェブサイトがない会社もあったりします。

↓

たとえば、「海外からVIPが静岡にきて、富士山を観光してもらう。先進的かつ安全なバス(ASV搭載バス)じゃないとマズイ。でも中型車でいいんだよな」。
そんなオーダーに対応できる会社はどれくらいあるだろうか? を知りたい場合。

こんなふうにお使い頂けます。

個社をクリックすると

各社が国交省に提出したデータ(自己申告データ)がそのまま出てきます。
また、単純な「バス会社検索」機能もあります。
沖縄県の大型観光バスを持つ会社は何社あるだろうか?

AIランキング
運輸安全AIラボは、ジャーナリズム×ビッグデータ×AI というコンセプトの研究をしています。
今回、オープンデータを複数使い独自のレイティングをつくりました。




上記のアルゴリズムで、都道府県ランキングが出ます。

例えば、平均スコアがいちばん良いのは、山形県です。(が、四半期ごとの自己申告データによってかわります)

山形県の1位は、とある事業所様ですが

かならずしも、都道府県でスコア1位だからといって全国1位スコアとは限りません。
なお、参考までに全国1位スコア96.40 同率1位は20事業所あります。うち6社をトップページに表示しています。
本サービスは、貸切バス事業者が運輸局・国交省に提出する「安全情報」に空欄がなくなり、かつ、「事業者としての情報」と「営業所としての情報」の混同がなくなってゆかない限り、精度はあがってゆきません。
現時点では無償で提供致します。規約にもとづき、ご自由にお使いください。
将来的に対象とするデータの正確性と網羅性があがり、AIモデルの完成度が上がってくれば、いずれ、事業者のマッチング(BtoB事業)や、旅行商品の販売等(BtoC事業)、有償化する構想を持っております。



