遠隔点呼

 

業務前自動点呼

 

業務前自動点呼と事業者間遠隔点呼。4月から「先行」を外し点呼告示改正へ。とするとプラン2030への宿題は「運送事業者ではない事業者による点呼、一元化された運行管理の受委託」だけか。

2025.1.11

年末12月24日、運行管理高度化ワーキングにて、事業者間遠隔点呼(現在先行実施)、業務前自動点呼(現在先行実施)の予定と内容の最終局面が明らかになりました。

https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk2_000082.html

「先行」外して正式な点呼告示改正は、4月から

事業者間遠隔点呼、要件定義最終便

 

事業者間遠隔点呼は、「受委託点呼」と「遠隔点呼」が掛け合わされた点呼であるといえる。現在、貨物運送事業者間で実施が可能な受委託点呼(共同点呼)は、基本的に対面での実施のみを認めており、実施場所と委託営業所の車庫の距離は5km、実施時間は連続 16時間/日以内と制限がある。事業者間遠隔点呼を使うことでこのような制度は、不要になるのではないか。

上記の論点については

現行の同一事業者の営業所間や、完全子会社間での遠隔点呼でも制限をしていないことから、事業者間遠隔点呼では、実施事業者間の距離や実施時間の制限は設けないこととする。

このような運用規則になるようです。当然ですね。

また、効果については

実に、いいことだらけ。

また、懸案とされていた適切な運行指示の件については

委託側と受託側でリアルタイムの情報共有を行う環境や、定期的に意見交換や情報共有を行う場を整えることが考えられる

企業間でチャットツールが使われるようになってはや10年。コロナ以降ウェブ会議ツールを日常的に使うようになって5年。モデル契約書に、連絡方法としてデジタルツール使用が記載されることになるでしょう。

管理の受委託契約書のモデルにもリアルタイムの情報共有の環境整備、情報共有を定期的に実施する旨の具体項目を盛り込む

 

業務後自動点呼、要件定義 最終便

さすがにこれはどう見ても4/1からですね。

先行実施は144事業者だという。

自動点呼機器メーカーの、「血圧・体温測定」のヒアリング結果。

令和6年12月17日時点、点呼機器メーカーからの問い合わせに対し、先行実施の機器要件を満たすことが確認できたのは、7社9製品である。

 

先行実施に取り組む営業所のうち48.7%が「以前から、業務後自動点呼機器を導入し使用している」状況にあり、業務後でも自動点呼を利用予定の営業所が6割、対面と併用していく営業所が4割となっている。

以前より業務後自動点呼を実施しており、運転者は機器操作に慣れていた。先行実施事業開始一週間後には全ての運転者が機器操作に関して戸惑うことが全くなくなった。

 

運転者ごとに設定した平常時血圧値について、「先行実施開始前10日間の血圧測定値の平均を参考とした」が大半であった。また、平常時血圧値からの許容範囲では、 10~20mmHg程度の乖離を許容する者が多かった。

⚫最大血圧が平常値からの許容範囲を超えたが、再度測定をしたところ平常値となったため、自動点呼を再開させた。(11月、一般貨物)

こういうこともあれば

⚫血圧が設定数値から外れた数値だったため、運行しなかった。(11月、一般貨物)

こういうこともあるでしょう。

 

⚫アルコール呼気濃度が0ではなかったため、運転者を交替させた。(11月、一般貨物)

こういうこともあれば

⚫ネットの不具合が発生し、対面点呼により対応。(11月、一般貨物)

⚫Bluetoothの接続エラーにより体温測定できず、立会いの運行管理者が対面点呼を実施して出発。翌日機器の設定を変更し解決。(11月、一般貨物)

⚫パソコンがフリーズし、一切の操作が出来なくなり、運行管理補助者の対面点呼により対応した。同日午後3時頃に運行管理者がパソコンを強制再起動。各種測定機器の作動状況等に異常がないことを確認した。(11月、一般貸切)

こういうこともあるでしょう。

業務前自動点呼機器の使い方について

⚫業務前は、運転者の出発時間が早朝であるため、運行管理者や補助者が出勤していない時間帯に自動点呼機器を利用する。一方、業務後は、運行管理者や補助者と運転者がコミュニケーションを取る場として対面を残している。(一般貨物B)

良い運用バランスですよね。

気象状況や道路状況の変化などリアルタイム情報への対応について

⚫点呼予定を立てる時点では対応できないが、スマートフォンを用いたグループチャットで情報を共有する体制を整備しており、即座の情報共有ができるようになっている。(一般貸切A)

ごく一般的に、企業のデジタルツール利用が進んでいるということでしょう。

運転者さん本人から

体温と血圧の測定が習慣化することで、健康に対する意識が向上した

点呼そのものは安全確保の最低限の義務であり、どちらかというと、自動点呼制度化の真の効果はこっちだろうと思う。

実質「運行管理者の兼務禁止ルール」の緩和ですね?

 

<旅客 通達>
なお、運行管理者は、他の営業所の運行管理者又は本条第3項に規定する補助者を兼務することはできな
い。
ただし、「一般乗合旅客自動車運送事業の管理の受委託(高速バス路線に係るものを除く。)について」(平成16年6月30日付け国自総第139号、国自旅第79号、国自整第51号)に基づく管理の受委託又は「高速乗合バスの管理の受委託について」(平成24年7月31日付け国自安第55号、国自旅第236号、国自整第78号)に基づく乗合バス委託型管理の受委託(以下これらを「乗合バスの管理の受委託」という。)に基づく運行を行う場合であって、受託者が管理の受委託に係る一般乗合旅客自動車運送事業(以下「受委託事業」という。)のために使用する事業用自動車その他の諸施設と受託者が自ら行う事業の用に供する施設とが同一敷地内にある場合については、旅客自動車運送事業運行管理者資格者証又は一般乗合旅客自動車運送事業運行管理者資格者証を有する運行管理者に限り、受委託事業と受託者自ら行う事業の運行管理者を兼務することができる。この場合は、受委託事業のために使用する事業用自動車と当該営業所が運行を管理する事業用自動車の合計数に応じて運行管理者を選任すること。

<貨物 通達>

第18条 運行管理者等の選任
1.第1項に定められている運行管理者の選任数を表にまとめると、次のとおりである。ただし、5両未満の事業用自動車の運行を管理する営業所であって、地方運輸局長が当該事業用自動車の種別、地理的条件その他の事情を勘案して当該事業用自動車の運行の安全の確保に支障を生ずるおそれがないと認めるものについては、運行管理者を選任することを要しない。
 なお、本条の趣旨からして、運行管理者は他の営業所の運行管理者又は第3項に規定する補助者を兼務することはできない。ただし、事業者が道路運送法第4条の一般旅客自動車運送事業の許可又は同法第43条の特定旅客自動車運送事業の許可を受けている場合であって、一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業(以下「一般貨物自動車運送事業等」という。)の用に供する事業用自動車の運行を管理する営業所と旅客自動車運送事業の用に供する事業用自動車の運行を管理する営業所が同一敷地内にある場合については、運行管理者は、当該営業所の旅客自動車運送事業の運行管理者又は旅客自動車運送事業の補助者を兼務することができる(兼務することができる運行管理者は、資格者証及び旅客
自動車運送事業の種類に応じた道路運送法第23条の2の運行管理者資格者証を併せて有する者に限る。)。この場合、各事業の種類ごとに必要な運行管理者の選任数を満たすとともに、同一敷地内の営業所において運行を管理する運行管理者の総数は、当該営業所で運行を管理する事業用自動車の総数に応じて、より多くの数の運行管理者を必要とする種類の事業における選任数の定めを満たすこと。また、本通達第7条1.(5)、1.(6)及び1.(7)及び1.(8)により他の営業所の点呼を行う場合は、運行管理者の兼務に該当しない。

実証実験にて兼任する運行管理者が実施する運行管理業務については、旅客自動車運送事業運輸規則、貨物自動車運送事業輸送安全規則に適合するものとする

(メモ)

・・・もしかして「兼務」と「兼任」を使い分けるのだろうか。兼任はするが(形式要件)、兼務に制限をかけるとか?

・・・遠隔点呼では「同じ種別の事業者間」となっている。貨客混載の運行管理者資格者の補助者兼任がOKなのでもったいなくないか?

・・・運行管理者資格者の名義貸し的運用が懸念されるか? 規則内における補助者の法的位置に近づくと混乱するか?