事業用自動車事故調査報告書

 

アナタコ、デジタコ、ドライブレコーダー、どれが一番 事実を語っているか?

2024.11.6

事業用自動車事故調査委員会の調査報告書が一件追加されました。

https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha02_hh_000670.html

結局、居眠り? 疲労? 本人は居眠りを否定しているようだ。

でも、ドラレコがすべてを物語ってますよね、という話なのではなかろうか。

 

デジタコとドライブレコーダー、ダブルで義務化すべきでは? と思わざるを得ないレポート。

事故の概要

令和3年 10 月 18 日 13 時 01 分頃、山形県東根市沼沢の国道 48 号において、中型トラック(以下「当該車両」という。)が、バス停で客扱いのため停車していた乗合バス(以下「相手車両」という。)に追突し、相手車両に乗車しようとしていた乗客2名を路上に転倒させ、うち1名を車両底部に巻き込み、さらに歩道に乗り上げて停止した。この事故により、相手車両に乗車しようとしていた乗客2名が重傷を負い、当該車両の運転者(以下「当該運転者」という。)及び相手車両の運転者が軽傷を負った。なお、車両底部に巻き込まれた乗客は、事故の発生から約1年後に死亡した。

 

事故の原因(当該運転者からの情報)

当該運転者からは、運行状況等について口述を聴取することができなかった。当該事故に関して当該運転者が当該事業者に提出した事故報告書(社内用)では、次のように記述している。
・【事故発生の原因と状況】
国道 48 号線を走行中、現場に停車中の東根市民バスによそ見をしていたため発見が遅れ衝突してしまいました。眠気を紛らわしつつ休憩する場所を探していたため。
・【反省点】
いつもと違う作業で疲れを感じてしまい眠気を感じてしまったためその前に十分な休憩を取るべきでした。

運行記録計の記録状況

当該車両には、アナログ式の運行記録計(以下「運行記録計」という。)が装備されていた。運行記録計による事故当日の記録状況は次のとおりであった。なお、当該運転者が、事故当日に当該営業所を出庫する際、運行記録計に記録紙の装着を忘れ、それに気付き装着したのが6時 00 分頃であるため、当該営業所を出庫してから6時 00 分頃までの間は記録されていない。また、運行記録計による
記録が残っている全ての運行において、運行距離は記録されていない。
事故当日の運行記録計による記録については、実際の時刻に対して5~6分の時間遅れが認められるが、本項においては、運行記録計の記録から読み取った時刻をそのまま記載した。
・出庫時から6時 00 分頃までの運行状況は不明である。
・その後、9時 20 分頃まで停車している。
・9時 20 分頃に発車し 10 時 50 分頃に停車している。この間、60km/h~70km/h
で走行しているが9時 40 分頃から9時 55 分頃の間は車速が上がり、最大で約 90km/h となっている。
・10 時 50 分頃から 11 時 20 分頃まで停車している。
・11 時 20 分頃に発車し 11 時 30 分頃に停車している。この間、40km/h~50km/hで走行している。
・11 時 30 分頃から 11 時 40 分頃まで停車している。
・11 時 40 分頃に発車し 12 時 55 分頃に事故地点に達している。この間、50km/h~70km/h で走行している。

 

 

ドライブレコーダー

当該車両に装着されているドライブレコーダー(以下「ドラレコ」という。)には、事故の約 15 分前から事故の 43 秒前までの映像(車両前方)が記録されている。(表4参照)この記録によれば、当該運転者の事故前の運転状況は、ふらつき走行や速度の増減をしながらの走行を繰り返している。また、途中、何カ所も待避所があったにも関わらず、休憩のため停車していない。

運転特性に係る分析

2.4.3.6 に記述したように、当該運転者は、採用後約半月の間に2回の車両単独事故(物損)を惹起しており、今回の事故が3回目となる。このように、採用から1ヵ月半の間に事故を3回も惹起するということは、前職で自動車のメカニックとして働く中で車両運搬車(4トン車)の運転も行っていたとはいえ、当該運転者は職業運転者としての運転技術が未熟であったものと考えられる。

衝突被害軽減ブレーキ

当該運転者は、車速約 70km/h で運行中、事故の約2秒前に相手車両を認知しブレーキをかけたが間に合わずに事故に至ったと考えられる。このような場合に「最新の保安基準に適合した衝突被害軽減ブレーキ」を装備していれば、事故を回避できた、または被害を軽減できたと考えられる。