行政処分

 

監査

 

事業用自動車総合安全プラン2025

 

なぜ国土交通省は「法令違反白書」をとりまとめて公表しないのか? 自動点呼や遠隔点呼の「運輸安全貢献度」は何で測る?

2024.8.14

監査統計(件数のみ)

今日は、監査という事後チェック(事業開始後の法令遵守確認)の仕組みと、行政が消費者に代わって得た違反内容のデータ利活用について、提言致します。

国土交通省(各地方運輸局及び各運輸支局)では、自動車運送に係る事故防止の徹底を期すとともに、運輸の適正を図り、利用者利便を確保するため、運送事業者に対する監査を実施しています。

監査の結果、法令違反が判明した場合には、文書警告、自動車の使用停止、事業停止、許可取消などの厳正な行政処分を行うとともに、改善についての命令等の措置を講じています。

https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03punishment/baseline.html

監査は許認可に次ぐ監督官庁の基本的な業務であり、消費者に代わって、運輸局が自動車運送事業者の安全性、健全性をモニタリングする法ツールです。

さて、全国の運輸局による監査の結果は、年度ごとにとりまとめられ、本省が運営するウェブサイトで公表されています。

ふむふむ、スゴイ件数の監査が日々行われているんだな・・。

この年間統計からは、

 ・緑ナンバー監査は平均11,300件/年 実施されている。

 ・緑ナンバー6.7社に1社が監査を受けている(概算11000社/74000社) 

 ・監査確率は、乗合バスは1社/8.8社、 貸切バス1社/0.8社、 1社/1.6社、 1社/13.3社

 ・トラック事業者が最も件数が多いが、もっとも監査にあたる確率が低い

 ・令和5年度には、許可の取消が大幅に減っている

このようなことが分かりますね。

 

行政処分の結果(内容と件数)

また各運輸局は、毎月個々の監査結果(違反内容)を公表したり、定期的に累積点数を公表したりしています。

https://wwwtb.mlit.go.jp/hokkaido/content/000328971.pdf

https://wwwtb.mlit.go.jp/tohoku/content/000329247.pdf

https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/content/000304707.pdf

このような結果はすべてデータベース化され、消費者にもいち早くわかるようになっています。

いわゆる「ネガティブインフォメーション」です。

https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03punishment/cgi-bin/search.cgi

軽井沢スキーツアーバス以後、すべての緑ナンバー事業者の行政処分の結果が漏らさず公表されるようになり、透明性が増しました。どこの地域の何とい名の企業がどんな違反をしたのか? かなりの粒度で確認できるのであります。

この検索システムの元データは、個々の運輸局の日々の監査結果です。

監査結果・行政処分データのナガレはこうです。

運輸支局→運輸局→ネガティブインフォメーション→消費者

監査と行政処分、結果の詳細分析を政策に反映すべきは誰か?

運輸局によっては、行政処分の「内容」の分析をしっかりやっている(公表している)ところと、そうでないところ(分析業務不明、公表ナシ)があるようです。

 

運輸局名法令違反内容別 年度別
北海道運輸局法令違反内容年計 ナシ
東北運輸局法令違反内容年計 ナシ
関東運輸局R5年度 法令違反内容(トラック)
https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/content/000326769.pdf
R5年度 法令違反内容(トラック)
https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/content/000326770.pdf
中部運輸局法令違反内容年計 ナシ
近畿運輸局令和5年度自動車運送事業者に対する監査と処分結果https://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/content/000329679.pdf
神戸運輸管理部法令違反内容年計 ナシ
四国運輸局法令違反内容年計 ナシ
中国運輸局法令違反内容年計 ナシ
九州運輸局法令違反内容年計 ナシ
沖縄R5年度 法令違反内容(路線バス)
https://www.ogb.go.jp/-/media/Files/OGB/Unyu/shobun/ryokaku/yearly/R5-rosen.pdf
R5年度 法令違反内容(貸切バス)
https://www.ogb.go.jp/-/media/Files/OGB/Unyu/shobun/ryokaku/yearly/R5-kashikiri.pdf
R5年度 法令違反内容(ハイヤタクシー)
https://www.ogb.go.jp/-/media/Files/OGB/Unyu/shobun/ryokaku/yearly/R5-taxi.pdf
R5年度 法令違反内容(トラック)
https://www.ogb.go.jp/-/media/Files/OGB/Unyu/shobun/kamotsu/yearly/R5-kamotsu.pdf




○近畿運輸局 令和5年度 行政処分内容と違反内容


○近畿運輸局 令和5年度 行政処分内容と違反内容


読者のみなさん、上記、運輸局ごとの分析情報(の有無)は何を意味すると思いますか?

はい。

関東運輸局や近畿運輸局のように、すべての運輸局が、やろうと思えば、違反内容、つまり、「何を守れて、何を守れていないのか」といった分析を公表できるハズなのです。

そう、運輸局は、過去そして今後も、日常業務として監査の結果(違反内容と処分内容と点数)を常に持っています。

 

つまり、「法令違反白書」なるものをつくれるわけです。

 ・運輸局別 監査実施件数

 ・運輸局別 行政処分発出数

 ・監査種別ごと 法令違反内容

 ・都道府県別 法令違反内容

国土交通省におかれましては、このような結果を、運輸局別、都道府県別の事故数とクロス集計し、しかるべき審議会やワーキングで、遡上に乗せるべきではないでしょうか?

高度化、デジタル化は二兎を終えることを証明してほしい

いま、各省庁において、規制改革推進会議を中心に、デジタルガバメント化による国民の利便性を目指すべく、さまざまな取組が行われています。とくにデジタル化を中心に。

運行管理の高度化やICT化は、間違いなくドライバーや管理者の負担を減らせることが出来るでしょう。

でも、それだけじゃありません。

路上の安全、安心に対して、まずもって貢献できるはずです。

そもそも自動点呼や遠隔点呼は、生産性文脈で語られすぎです。

デジタルで証明できる法令遵守は、間違いなく事業者の健全性と路上の安全度を上げるはず。

いずれ、事故減少や違反数減というデータで証明されるでしょう。

 

余計なお世話かもしれませんが、「生産性」向上の方です。

「管理者やドライバーの負担軽減」や「労働生産性」や「働き方が改革された度合い」について   運行管理高度化ワーキング事業用自動車安全プラン2025検討会は どうやってビフォーアフターを図るのでしょうか?

 

賃金? 雇用? 有効求人倍率? 輸送統計? 運行管理者の残業? 

実は正確なKPIは決まっていないのではないでしょうか?

 

 

それに比べて、安全性に関しては、監査結果や事故数など、データが事実を証明します。事故防止に関してはKPIが設定しやすく、施策評価をデータで表現しやすい状況にあると思います。ましてや以前よりもデータベースのアップデートも早くなっています。

是非お願いしたい。

自動点呼と遠隔点呼が多く実施されればされるほど、ICT化が進むのみならず、監査において指摘される「点呼実施・記録ナシ不備」が減ることなる・・・ハズ。

自動点呼、遠隔点呼の普及数と、点呼関連違反の減少、事故の減少。

これらを監督官庁として、きっちり証明していただけませんか?

ワーキングの委員各位は、きっちりここを議論していただけませんか?

だって、行政はデータを持っているのですから。

関東運輸局と近畿運輸局が ヒントを出してくれています。

遠隔点呼、自動点呼の本格普及時代だとするならば、今後点呼が15%はあり得ないはずです。

 

持っているデータは、隠さず、積極的に公表したり、検討会の場にあげたりしてほしいです。